居ずまい



 

 お盆点てが一通り終わると(つまりお道具の名前を一通り憶えると)、次は
「炉の平手前」になります。お茶室に「出入りする」という、いわゆる「立ち居振る舞い」
が加わってくるわけです。ふすまの開け閉て。足の運び。お道具の上げ下げ。
 今まで、意識してこなかったこれらの動きに、実は「こうすれば美しい」と言う、基準が
あることを、初めて知りました。

 お稽古自体は、(比べる対象がありませんのでなんとも言いかねますが)特に奇を衒った
ところのない、オーソドックスなスタイルではなかったでしょうか?先生はいつも「主客」の
席に座り、こちらの手前を見るともなく見て居られました。当初、土曜の生徒が僕だけ
の頃は何も言われませんでしたが、人が増えてくると、「小服でね」と注文が入りは
ましたが・・・。

 風炉手前の稽古のおり、柄杓を構えた瞬間に、先生から叱声を頂いたことがあります。
「身体が傾いてますな。そのまま目瞑ってごらん。左肩が下がりすぎ。」
目を閉じてみると、ほんの僅かですが、身体全体が左に傾いていることに気付きました。
畳一枚分離れた主客の席から、しかも真横から見ているのに、よくそんなことがわかる
ものだと、改めて感じ入りました。その先生から、僕が一番回数多く(稽古の中で)
伺ったことは、「とにかく、おぉきくお点前をやりなさい」と言うことだったと思います。

 「おぉきな点前」  お茶の点前に限らず、これほど簡単そうで、実は簡単でないことも
そうそうないような。そんな気が、今でもしています。


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