Chile


「なぜ今、チリ・ワインなのだろう?」


 97年のチリ・ワイン輸入量は50万ケースを超え、96年の実に3倍。95年の4万ケースと比較すればなんと10倍以上の急成長だ。この数字を裏付けるかのように、最近では近所のコンビニでさえチリ・ワインを見かけるし、恵比寿の<ワインマーケット PARTY>では、チリのサンタ・カロリーナ・カベルネ・ソーヴィニョンが昨年4月からずっと人気商品ナンバーワンの座をキープしているという。
 チリ・ワインのセールスポイントはズバリ、安い、うまい、分かりやすい、の3点だ。スタンダードのものなら1,000円そこそこ、レセルバと呼ばれる少し上等のクラスでさえ1,500円前後の日常的価格。それでいて、安かろう、まずかろうが当然のワインの常識をくつがえす優れた品質。加えるに、たいていは4つのブドウ品種のスタイルさえ覚えておけば、こまかな地名やヴィンテージなどを気にせず選べる気軽さ。こうしたことが、ワインビギナーはもちろんのこと、昨今のボルドー・ワインの高騰に、懐を痛めるワイン通たちのハートをゲットしたのに違いない。

 チリ・ワインは安い。その最大の理由が人件費の安さにある。貧富の差が想像以上に激しいチリで、国民1人あたりの平均収入をはじき出すのはとても難しいが、高卒のホワイトカラーの平均月収がだいたい6万円だそうだ。当然、農村で働く労働者の収入は、それよりもうんと少ない。



「赤道上を行ったり来たり、空飛ぶ醸造家とは?」


 チリは南半球にあるので、我々の住む北半球とは季節が逆転する。したがって、南半球に収穫期が訪れるのは3月から4月。この時期になると、フランスやカリフォルニアの醸造家は手が空くから、チリへと出稼ぎにやってくる。北半球と南半球を飛行機で往来する彼らを指し、「フライング・ワインメーカー」(空飛ぶ醸造家)と呼ぶ。
 フライング・ワインメーカーは一般にコンサルタントと呼ばれるワイン造りのエキスパートで、フランスのミッシエル・ロランやジャック・ボワスノといった人物だ。
 そのミッシエル・ロランを起用しているのが、カーサ・ラポストール。収穫前の2月、3月〜4月の収穫時、6月と11月のブレンドの時期と年に4回訪れ、ワイン造りの助言をするのが、彼の仕事だ。初ヴィンテージのメルロが、「ワイン・スペクテイター」誌でいきなり90点を獲得。フライング・ワインメーカーの力、恐るべし。



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