カンカンカン―――――
踏切の警報音が響く
高い気温と湿度
周りの景色は不自然なぐらい白く霞み、ゆらゆらと揺れていた
まるで蜃気楼の中に迷い込んでしまったようだ
きっとあの街のあの辺りだろう、と思うも確証は無い
踏み切りの向こう側に男の子が一人立っていた
高校生だろうか
夏用の制服を着た彼は、こちらをじっと見詰めている
よく見ると何かを呟いているようだ
勿論、その声は届かない
そもそも、音を発しているのか否かすら分からない
遠くから音が聞こえてくる
電車の音だ
音はどんどんこちらに近付いてくる
彼の口唇は尚も動き続けている
二両きりの赤い電車はあっという間に目の前を通過し、白い景色の先に消えた
それと同時に彼の姿も消えてしまった



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ShigetsuKanamezaki Original Novel Website 『月光催眠研究所 電脳実験室』