足尾鉱山の鉱物

足尾鉱山の鉱物

1.初めに

足尾鉱山は、日本有数の銅山として、また日本の公害の原点として、良くも
悪しくも1つの時代を築いた鉱山です。
鉱物コレクター必携といわれる「燐灰石」をはじめ、美しい結晶鉱物も
たくさん産出した。
通洞坑は観光坑道として、江戸時代から閉山した昭和48年までの採掘の様子を
人形などを使いながらあます事無く展示しています。
鉱山の範囲も広く、ズリでも各種の鉱物が採集できます。
(平成12年9月採集)

2.産地

群馬県大間々町から途中草木湖を右に見て渡良瀬川沿いに進む。その先が
足尾町で、今でも、そこかしこに、赤茶けた製錬所跡やズリなど鉱山町の雰囲気が
漂っています。
赤倉地区から銀山平に到る道(途中から未舗装)に入ると、3大坑の一つであった
「本山坑」跡があります。ここは、足尾銅山発祥となった、備前楯山の北側に
あたります。
最近作った砂防ダムを迂回して水の無いだだっ広い本口沢を上流に進むと、左右の
岩壁には「狸堀」の跡が何ヵ所も見られます。
赤茶けた露頭やズリがあちこちに有り、ここが産地です。

本口沢(備前楯山北側)の広大なズリ

3.産状と採集方法

赤茶けた露頭を叩くと、その下から黄銅鉱や黄鉄鉱を含む母岩が採集できます。
凹んだ露頭には、粘土に混じって黄鉄鉱の結晶があります。
ズリの条件の整った場所には、自然銅や青色の2次鉱物が有ります。
4.産出鉱物
(1)黄銅鉱【Calcopyrite:CuFeS2】
黄鉄鉱より黄色味が強く、結晶することが少なく、貝殻状の断面をしているので、
分かる場合もあるが、黄鉄鉱と密に混ざっている場合、判断に苦しみます。
(2)自然鉱【Native Copper:Cu】
皮膜状、糸状や小さな樹枝状で産出します。

自然銅
(3)珪孔雀石【Clrysocolla:(Cu,Al)2H2Si2O5(OH,O)4・nH2O】
通常、皮膜状で産出します。結晶した青い2次鉱物がありましたが、珪孔雀石か
確認しています。

珪孔雀石(?)

5.おわりに

(1)足尾銅山観光の坑道は、通洞坑をそのまま使ったもので、江戸時代から閉山した
昭和48年までの採掘の様子を人形などを使いながら余す所無く展示しています。
坑道のなかでは、今でも孔雀石、自然銅が成長しているのや沈殿銅を回収している様子を
観察でき、入坑料620円は高くは有りません。
(2)足尾銅山観光の構内には、江戸時代に「寛永通宝」という銅銭を作った、
「鋳銭座」の様子が再現してあります。
1741年から5年間で2000万枚鋳造されたと記録にあり、1枚3gとして、使われた
銅の量は60トンとなり、これ以上の銅が採掘された訳です。
ここで作られた一文銭の裏には、足尾を意味する「足」の字が鋳込まれており、
「足字銭」と呼ばれています。骨董市で見かけると、できるだけ買い集めています。

足字銭(寛永通宝)
(3)観光会館は、無料で入場でき、足尾銅山はじめ各地の鉱物・岩石標本と
足尾銅山関係の資料が展示してあり、こちらもおすすめです。
紫水晶は圧巻です。
(4)小滝地区にある、国民宿舎「かじか荘」は、600円で入浴だけの利用も可能で、
谷川のせせらぎを聞きながら、露天風呂から仰ぐ月は、天下一品です。
また、小滝地区にも、古い産業遺跡が残っており、是非回ってみたいものです。