甲武信鉱山の灰重石

甲武信鉱山の灰重石

1.初めに

平成11年11月にH.Pにも掲載してあるように、甲武信鉱山で採集会があり、
草入日本式双晶をはじめ、ベスブ石、柱石など立派な標本を採集できました。
しかし、前回は、ミネラライトを持参しなかったこともあって、灰重石だけは、
良いものを採集できませんでした。
今回、福島県平地学会のS氏とO氏を案内して、1cmで結晶面の見える母岩付灰重石
をはじめ、各種の鉱物が採集できましたので、報告します。
(平成12年10月採集)

2.産地

甲武信鉱山登り口の駐車スペースに停め、直登します。大ズリ→緑水晶坑
→ベスブ露頭→松茸水晶ズリ→柱石露頭→緑水晶露頭→灰重石坑道の順で、途中、途中で
採集しながら約3時間のぼります。
松茸水晶ズリから右方向に行き、踏み分け道を登ると、柱石の露頭です。

甲武信鉱山の柱石露頭
ここから、踏み分け道を右に登ると、緑水晶のズリです。

甲武信鉱山の緑水晶のズリ
右に行くと方解石交じりのズリが落ちています。このズリの大元が、灰重石の坑道です。

甲武信鉱山の灰重石坑道

3.産状と採集方法

ここは、柘榴石の表面に凝縮した、金を目的に採集したといわれ、坑道は、各方面に
延び、大きな物です。灰重石や草入日本式双晶が採れるのは、特定の場所ですので、
ライトとミネラライトを駆使してポイントを探します。
露頭を叩いたり、先人が残した転石から探します。

4.産出鉱物

灰重石坑道や、ここまでくる間に採集できる主な鉱物は、次の通りです。
(1)灰重石【Scheelite:CaWO4】
白色色の下では、やや黄色味をおびた、白い8面体の結晶で、紫外線で青白く蛍光を
発するので、簡単に識別できます。また、暗い坑道の中では、持ってみて重く(比重6.2)
感じるのも、鑑定のポイントです。

灰重石【左:白色光 右:紫外線】
(2)方解石【Calcite:CaCO3】
坑道の中には、厚さ数十cmの方解石脈が何本も走っています。その、一部を掻けば、透明で
複屈折を示す標本が採集できます。また、晶洞部分からは、方解石の自形結晶が採集できます。
(3)曹柱石【Marialite:(Na,Ca)4(Al(Al,Si)Si2O8)3(Cl,CO3)】
柱石には、Naに富む曹柱石とCaに富む灰柱石があり、甲武信鉱山では、両方が採集できます。

柱石
(4)この他、ベスブ石、氷長石、柘榴石、緑水晶そして草入日本式双晶などが、採集できます。

5.おわりに

甲武信鉱山は、産地が広く、坑道やズリが沢山あります。また、新しい産地が発見される事でしょう。