山梨県増富鉱山

山梨県増富鉱山

1.初めに

山梨県の北部には、奥秩父連山の一角をなす、金峰山(2595m)、
小川山(2418m)、瑞墻山(2230m)など、水晶で有名な山があります。
瑞墻山の麓、須玉町増富には、ラジウム含有量が東洋一と言われる
有名な増富温泉があり、その奥に、増富鉱山跡があります。
ここの銅藍(コベリン)は、ほとんどの鉱物図鑑に掲載されるほど有名でした。
今でも、小さいながら銅藍や硫砒銅鉱が採集できますので、紹介します。
(平成12年10月採集)

2.産地

ここに行くには、3つのルートがあります。
(1)甲武信や川端下などの帰りに、信州峠を越え、黒森から、瑞墻山荘を経由。
(2)黒平から、木賊(とくさ)峠を経由。
(3)塩川ダムから、増富鉱泉を経由。
いずれにしても、ここだけを目的に行く産地ではないので、上記のついでに
回るのをお薦めします。
増富鉱泉から行くと、直進の木賊峠と左の瑞墻山荘方面に別れるT字路があります。
T字路の手前の橋の上流左手が、増富鉱山のズリで硫砒銅鉱が採れ、、瑞墻山荘
方面に向かって、右手の貯鉱所跡が銅藍の産地です。
増富鉱山のズリ【真っ白い珪質岩に覆れる】
増富鉱山の貯鉱所跡【建物は既になく、床板のみ残る】

3.産状と採集方法

古生代の珪岩とこれを貫く角閃花崗岩・半花崗岩中の鉱脈で、1955年(昭和30年)
には、増富鉱山(株)が、従業員12名で採掘中と「日本鉱産誌」にある。
ズリの表面にある、「白粉肌の珪質岩」の表面に正方柱状の硫砒銅鉱が付着している。
これを、割ると、青黒い金属光沢を示す硫砒銅鉱を採集できる。
貯鉱所跡の床板の上や、その回りに、真っ白い石英の空隙に暗紫色燐片状の結晶をした、
銅藍を採集できる。
いずれも、銅の品位は高く、平均6%のCu含有量と言われているが、量的には多く
なかった模様である。

4.産出鉱物

(1)硫砒銅鉱【Enargite:Cu3AsS4】
太さ0.5mm程度、長さ3mm前後の針状結晶が、数本入っている。
以前は、珪質岩の破断面にビッシリ結晶が付いたものを採集できたが、
今は、難しくなっています。
ルソン銅鉱との肉眼での識別は難しいとされています。
増富鉱山の硫砒銅鉱【3mm】
(2)銅藍【Covelline:CuS】
銅藍は、一般的には、黄銅鉱の酸化帯に産出するが、増富鉱山の場合、火山ガスが、
石英の空隙で急に冷やされ、結晶したものと想定される。
新鮮なものは、紫色であるが、酸化して黒銅鉱(銅藍の仮晶?)になったものも多い。
増富鉱山の銅藍

5.おわりに

今でも、山梨県の代表的な鉱物が、ほそぼそですが、採集できますので、何かの
ついでに立ち寄ってみると良いでしょう。
増富鉱泉のはずれに、石灰華や希に珪華が採集できる露頭がありましたが、いまでは、
水も涸れ、採集ができません。