栃木県大鷲鉱山の輝水鉛鉱

1.初めに

「鉱物採集の旅 -関東地方とその周辺-」を読むと、関東地方で
珍しい輝水鉛鉱の採れる大鷲鉱山が出ています。そこで、
梅雨の合間を縫って採集しました。
直径1cm前後の輝水鉛鉱は、今でもズリで簡単に採集できます。
また、この本にある正長石も拾えますが、ひび割れており、完全な
単結晶は探せませんでした。
(平成12年6月採集)

2.産地

鹿沼市から古峰神社を目指して走ると、道路左手に「下大久保」の
バス停がある。ここを右に入り、道なりに約200m行くと左に墓地、
右に廃屋がある。手前を右に登ると人家の入口になるがその手前を右に
折れると、すぐ左に轍の跡がかすかに残る草に覆われた道が有りここを
約50m行くとコンクリートで護岸した沢を見下ろす駐車スペースがある。
ここから、山道を登ると、約150mで高さ15mのダムの下にでる。
左に巻く山道があり、これを登り、ダム(水はほとんどない)の岸を
進むと杉林の中に入る。右手に白い石英が散乱するズリが有ります。山道を
そのまま進むと、金網で囲まれた坑口が3つほど見られます。
坑口の手前の山道の脇(左側)が長石の産地です。
大鷲鉱山のズリ

3.産状と採集方法

ここの輝水鉛鉱は、斑状花崗岩に接する石英脈にあり、本の記述通り白色と
煙りがかった石英があり、後者に大きな結晶があるようです。
従って、採集方法は、ズリをクマデで掘り返しながら、石英を探せば良い事になります。

4.産出鉱物

(1)輝水鉛鉱【Molybdenite;MoS2】
銀色、六角板状で産出するが、柔らかいので、ズリで採集できるのは、角が丸まっている
場合が多い。まれに、晶洞からでるものは、板状の結晶が立っています。
輝水鉛鉱(横4cm)
(2)硫砒鉄鉱【Arsenopyrite;FeAsS】
ズリで採集したものは、錆びて虹色を呈していました。ここのものは、コバルトを含む
とあり、気のせいか桃色に色付いた「コバルト華」らしきものも有りましたが、確認
できていません。
(3)自然蒼鉛【Bismuth;Bi】
石英を割ると、粒状で産出すると有りますが、短時間の採集でしたので
採集できませんでした。
(4)灰重石【Scheelite;CaWO4】
現場では、分かりませんでしたが、自宅に帰って、紫外線を当て、存在を確認しました。
(5)正長石【Orthoclase;KALSi3O8】
斑状花崗岩が風化して抜け落ちた正長石が山道脇の土の上に落ちていますが、
ひび割のため、完全結晶は探せず、かろうじて輝きのある結晶面を数面もった
ものを拾った。

5.おわりに

ここは、1時間もあれば、一通りの鉱物は採集できます。従って、この先にある、
小来川鉱山や手前の引田鉱山などとセットで訪れると良いでしょう。