乙女鉱山の鉱物

乙女鉱山の鉱物

1.初めに

乙女鉱山といえば、(1)日本式双晶 (2)ライン鉱など、日本を代表する
鉱物が採集できた事で、夙に有名です。
最近、林道が整備され、車横付けだとか、ダムが建設中でダムの底に沈んでしまう
といった話を聞きます。
私のHPを見ていただいた、愛知県のKさん親子が土、日に乙女鉱山と水晶峠を案内して
欲しいとのことでした。土曜日は、台風で駄目で、日曜に、上記のうわさを確かめる
意味もあり乙女鉱山を案内しました。
(平成12年7月採集)

乙女鉱山でKさん親子と

2.産地

乙女鉱山に到るルートは次のどちらかです。
(1)黒平の集落から木賊峠に到る林道の途中から、水晶峠への登山道を約2時間歩く。
(2)大弛峠に到る林道から、乙女鉱山への道を約30分歩く。
(2)は、柳平の集落のゲートが 12月1日から翌年の5月31日まで、閉鎖されて
しまいますので、注意が必要です。
今回、私の妻も一緒で、子供もいるので、(2)のコースをとりました。
乙女鉱山に通じる道の入り口には、厳重なゲートが新設され、鍵が閉まっており、
何年か前より歩く距離が長くなっています。
林道工事のタイミングでたまたまゲートが開いている事もあるのかも知れませんが、
閉まっているものと思って行ったほうが、精神的なダメージが少なくて済みます。

3.産状と採集方法

乙女鉱山は、昇仙峡の上流、荒川を中心とした、馬蹄形の鉱体で、明治初年から、
昭和50年代まで、長年採掘していた。その結果、坑道、ズリも広範囲に広がっています。
ここでの採集は、ズリを掘るか、川岸や昔の坑道の壁を崩して晶洞を探すかの
いずれかになります。
今回は、真夏でも、手足が切れるように痛く感じる冷たい水の中を素足で渡った対岸の
ズリを掘って採集しました。
この日は、先客が3名おり、彼らは脚立を持ち込んで、左岸の崖を崩して、晶洞から
水晶や輝水鉛鉱などを採集していました。

露頭を崩しての採集【乙女鉱山】

4.産出鉱物

(1)水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶は、大きなものもありますが、結晶形がシャープでなかったり、透明感がなく、
表面が汚いものになります。むしろ、小さいものに透明感があり、美しい結晶が多い。
また、水晶の表面に、鋭錐石の付いたものもありますから、表面を良く見る事が肝心です。
(2)輝水鉛鉱【Molybdenite:MoS2】
石英塊の上に、六角の花びら状の結晶をしたものや、分離結晶などが採集できます。

5.おわりに

今回案内したKさんは、ズリで、4cm角×10cmの頭付き水晶を採集し、今まで
採集した水晶の中で、最高のものと、喜んでおられました。
ダムができるという話は、地元の甲府でも聞きません。
山梨大学の論文によると、日本式双晶がでたのは、今は陥没してしまった坑道の特定の
場所から産出したようです。