錫高野

錫高野

1.初めに

茨城県桂村にある錫高野は、高取鉱山の北方にあり、高取鉱山と同じように
鉄マンガン重石、錫石や黄銅鉱などを採掘していた。
現在、広いズリが残っており、石英塊に入った鉄マンガン重石、粘板岩の母岩の石英脈
に伴って、トパーズなどが採集できます。
他には、螢石や頭付き水晶なども採集できます。 (2000年7月採集)

2.産地

錫高野は、「鉱物採集フィールドガイド」に詳しく記載されていますので、
詳細は省略します。
注意が必要なのは、以前は、ズリの近くまで車で行けたのですが、最近、入口に
営林署がチェーンを張り、ズリまで約25分くらい歩かねばなりません。
高取鉱山は古生代の砂岩、粘板岩の中の鉱脈で、鉄マンガン重石、錫石や黄銅鉱などを
採掘したようで、「日本鉱産誌」によれば、1953年には、探鉱中とあります。
高取鉱山で働いていた人の話では、高取鉱山の「上二」の坑道が錫高野に通じていた
との事でしたので、同じ鉱山とみなして良いのでしょう。

3.採集方法

3.1 ズリでの採集
約25分歩くと、右手に大きな砂防ダムが見える。この上流一帯が、幅50m以上ある
ズリになっている。ズリは、枯沢と平坦な部分と山際の斜面で構成されているが
良いものは、枯沢で発見できる可能性が高い。
錫高野のズリ
なぜなら、大雨が降るたびに、枯沢が濁流で洗われ、新鮮(?)なズリが表面に現れる
からです。また、行きに左岸を見て、帰りに右岸をみるなどすると良品発見のチャンス
が増える。
ここでは、水晶、白い石英塊や石英脈が付いた粘板岩〜砂岩系の母岩を探すのがポイント
です。錫石は水晶表面や内部にあることが多く、鉄マンガン重石や硫化鉱物は石英塊に
あり、黄玉(庇面式トパーズ)は母岩に薄く付いた石英脈の中にあるからです。
熊手のようなもので、表面の石を転がしながら探すと効率的です。
3.2 採石場での採集
枯れ沢の上流には、水がこんこんと湧き出している場所がある。この手前の右岸にある
高さ1.5mの壁になったような場所では、水晶や鉄マンガン重石が採集できる。
ここから、道路に上がり、約50m進むと、右側に採石場の跡が見えます。
ここが、螢石の産地であった。(過去形)しかし、今でも、取り残した螢石、雲母などが
採集できる。ポイントは、露頭右下の掘り込まれた部分の前の地面で、ここを注意深く
探すと、螢石の分離結晶や母岩付きが見つかる。
ここの、雲母は、球状に結晶しており面白い形です。螢石は、一部絹雲母化した
部分にも含まれている。
採石場跡露頭
3.3植林されたズリでの採集
採石場から更に約150m奥に進むと、左に入る小道があり、ここを進むと左側一帯は、
杉の木が植林されている。この表土の下が、一面ズリです。
私が、最初に錫高野を訪れた10年以上前には、2mくらいの背丈であったが、今では、
5m以上に成長しており、昔の面影と全く違い、久しぶりに訪山すると、面食らってしまう。
表土を剥ぎ、下のズリ石の中から、水晶や石英を探す。杉の木には、絶対傷つけない事と、
表土は必ず埋め戻すことが重要です。

4.産出鉱物

(1) 鉄マンガン重石【Wolframite;(Fe,Mn)WO4】
石英塊に、黒色で金属光沢を持ち、へき開がハッキリしている鉱物が葉片状に入っている。
比重が、7.3と大きく、手に持つとズシリとする。
へき開がハッキリしているため、逆に完全な柱状結晶は無理ですが、石英の晶洞には、
小さな頭付き結晶も見られ、錫石と共生する場合もある。
晶洞中の鉄重石(錫石と共生)
(2) 水晶【Rock Crystal;SiO2】
ここの水晶は、大きいのがありますが、透明感が低く、頭付きの完全なものが少ないので、
水晶単体では余り魅力的とは言えません。
頭がないか、裏がないのが多く、まるで私みたいで・・・・・・・・・・・。
裏のない水晶(長さ9cm)
しかし、錫石が表面に付いたり、包有されていたり、油断できません。
(3) 蛍石【Fluorite;CaF2】
採石場跡の母岩の空隙を埋める形で、雲母と共生して産しました。色は、紫、緑、透明が有ります。
螢石は、一部絹雲母化した部分にも含まれている。
螢石(球状雲母と共生)
(4) 孔雀石【Malachite;Cu2(CO3)(OH)3】
黄鉄鉱や黄銅鉱などの硫化鉱物が産し、黄銅鉱の2次鉱物として、(珪?)孔雀石が採集できます。

5.おわりに

ここを訪れたのは7月中旬の暑い日でしたが、日暮らしセミが鳴き、赤トンボも舞い、山は秋の
気配でした。
皆様に提供できる鉄マンガン重石が何個かあります。希望の方は、郵送料(切手390円)を
同封して連絡下さい。