山梨県鈴庫鉱山の鉱物

山梨県鈴庫鉱山の鉱物

1.初めに

「鉱物採集の旅-東京周辺を訪ねて-」には、塩山市の北にある鈴庫鉱山の
「カニュク石」が掲載されています。「カニュク石」はチェコ(今は?)の
クトナホラとここでしか発見できない希産鉱物です。
約10年ぶりで訪れてみると、広大なズリは健在ですが、「カニュク石」は、
見当たらず、ズリの環境が変わってしまったようです。
しかし、今でもズリは豊富で、坑道も残っており、自然銅をはじめ各種の金属鉱物が
採集できます。
(平成12年12月採集)

2.産地

塩山市街から北に411号線を柳沢峠に向かって走り、竹森の水晶山を右に
見て坂道を登って行くと左手に「山女魚釣堀」があります。この先約300mで、
道は2手に分かれ、右の鈴庫林道を進みます。
途中、新しい林道が分岐していますが、左、左と進み、約3km走ると、左に
大きく曲がるカーブがあり、カーブのネック部に橋が架かっています。
右手の沢から、鈴庫鉱山の坑道からの湧き水が流れ込んでいます。
橋の手前左に、2〜3台駐車できるスペースがあります。
沢の右岸を沢沿いに約100m登って行くと、第1のズリの下端に着く。
ズリの急斜面を約30m登ると平坦になっており、その右手に坑道が口を開けている。
第1ズリの平坦部の突き当たりの水が流れている沢を登ると、第2のズリがある。

鈴庫鉱山のズリ

3.産状と採集方法

「日本鉱産誌」によれば、黒雲母花崗岩中の金銀石英脈で、方鉛鉱、硫砒鉄鉱、
黄銅鉱、黄鉄鉱、閃亜鉛鉱などを採掘してしたが、1950年には休山していた。
日本では珍しい花崗岩中の低温生成の鉱脈である。
約10年前には、「カニュク石」は、ズリの表面を特有のウグイス色で覆っていたのですが、
今回は全く見かけませんでした。
石英脈の入ったズリ石を探し、割ってみると、ここの主要な鉱物である、方鉛鉱、硫砒鉄鉱、
黄銅鉱などの新鮮な部分を採集できます。
ズリでは、硫砒鉄鉱が分解したスコロド石、珪孔雀石などの青緑色の2次鉱物が目につき、
この中から、自然銅も採集できます。
坑道が残っていますが、床が水に没しているため、危険と判断し入坑していません。

4.産出鉱物

(1)自然銅【Native Copper:Cu】
青緑色の珪孔雀石で覆われた、葉片状の自然銅を採集した。曲げてみると、粘り気があり、
破断面が特有の赤銅色です。

鈴庫鉱山の自然銅【8mm】
(2)方鉛鉱【Galena:PbS】
石英脈の中に、硫砒鉄鉱、黄鉄鉱などと共存し、特有のへき開を示す。方鉛鉱との境目には、
へき開と違う反復双晶をなす「車骨鉱」や長柱状の「ブーランジェ鉱」と思われる
鉱物がありますが、分析での確認はできていません。

鈴庫鉱山の方鉛鉱【硫砒鉄鉱、黄鉄鉱と共存】

5.おわりに

長島 乙吉氏は、ここの坑道内のペグマタイトから、四周完全な褐簾石を採集した
との記述もあり、いつかは入坑をと計画しています。
ここのズリは、南斜面で、北風を山が遮ってくれていますので、晴れていれば、
冬でも暖かく、正面に雪におおわれた富士山を仰ぎながら、快適な採集となります。
しかし、沢には、イノシシが「泥浴び」した跡が何個所かありますので、安全には
充分留意して下さい。