岩手県玉川海岸の琥珀

岩手県玉川海岸の琥珀

1.初めに

琥珀を鉱物に分類するかどうかは、議論のあるところです。岩石のなかから、
文字どおり「琥珀色」で産する琥珀は、是非採集してみたいと思い、過去にも、
銚子やひたちなか市の海岸を回りましたが、これぞ琥珀には出会えませんでした。
岩手県久慈市は江戸時代から琥珀の産地として有名です。大正・昭和時代には
良品は「根付」として装飾品に、品質の良くないものは、「ズク琥珀」と称して、
「蚊遣り」などに使われたそうです。
久慈市長内の「上山琥珀工芸」に立ち寄ると、田村英一郎著「琥珀誌」(1000円)が
置いてあり、琥珀の歴史と産地の地図があり、早速購入した。
久慈で今でも琥珀が採れる場所を聞くと、十府海岸の砂岩の中から採れるかも知れない
とのこと。サンプルとして、1〜2cm大の久慈産琥珀を5ケ袋に入れてくれる。
久慈産のコハクは色が濃いのが特徴との事。
最近では、久慈産と称してロシア産のコハク(アンブロイド?)を加工して売って
いる所もあるようです。
(平成12年8月採集)

2.産地

十府海岸は海水浴場で、一面砂浜で、砂岩の崖など見当たらない。道路地図を見ると
2km南に崖のマークがある。「琥珀誌」の地図では琥珀を含む「玉川層」が出ているらしい。
国道45号線「玉川」の標識で、海岸に向かう坂道を下り、三陸鉄道リアス線の
ガードをくぐってその先に駐車する。ここから、海岸に向かって人家の前の踏み分け道を
進み、砂浜におりると、屏風のような崖が断続的に1km以上あります。
この崖の砂岩の中に、炭化物に混じって琥珀は入っています。

玉川海岸の琥珀産地

3.産状と採集方法

ここは、砂岩や礫岩などが互層をなし、琥珀が産出するのは、約8600万年前
白亜紀後期の「玉川層」や「国丹層」にある。
北に行くに従い地層は新しくなり、西に行くに従い古くなる。これが、久慈や玉川の
山の中でコハクが採れる理由である。
真っ黒い炭化物を目印に探し、母岩ごと掻取ります。

4.産出鉱物

(1)コハク【Amber:C4OH64O4】
径2〜5cmのものを、4ケ採集。残念ながら、ボロボロの「ズク」だが、1ケは、
透明感がある文字どおり琥珀色の標本。
砂岩もボロボロなどで、帰宅後水性接着剤を水に溶かし、塗布し、固着させた。

玉川海岸のコハク

5.おわりに

念願の「コハク」を採集できた。貴重な情報と標本まで頂いた、「上山琥珀工芸」の
若主人に感謝致します。
また、田村英一郎著「琥珀誌」は、一読に値します。