岩手県玉山金山の水晶

岩手県玉山金山の水晶

1.初めに

岩手県陸前高田市にある玉山金山は、かつて奈良の大仏を鍍金するための
黄金を献上したのとの伝説を持つ古い鉱山です。
今でも、「山金」状の自然金が採集できるとの情報もありますが、金と共に、
良質の水晶も産したので「玉山」と呼ばれるようになった、と言われるように、
オーソドックスでありながら日本で一番美しい水晶の産地だと思っています。
(平成12年8月採集)

2.産地

国道45号線の竹駒神社を目指し、鳥居をくぐり、そこから「玉乃湯」の
標識に従って、氷上山を登る。「玉乃湯」の裏手一帯が玉山金山のズリで、
何処を掘っても水晶が出そうな雰囲気である。
「千人坑」や「右ェ門坑」など、短期間に、莫大な黄金を産出した伝説(?)
を持つ坑道の周辺ズリや露頭で採集できます。

「玉乃湯新館」左上の坂道を登ったところが産地

3.産状と採集方法

ここは、粘板岩質の母岩に貫入した石英脈に胚胎した水晶、金鉱脈で露頭と
ズリで採集できる。
玉山神社の裏のズリや、陥没した坑道跡などで、表面採集と露頭叩きが楽しめます。
表面採集では、ハーキマダイアと見まがうような屈折率の高い水晶が採集でき、
露頭では、金がはさまれているかも知れない武石もシッカリ採集できます。
「和ェ門坑」裏のズリでは、レベルを把握すれば、良品が採集可能です。

「和ェ門坑」裏のズリ

4.産出鉱物

(1)水晶【Rock Quartz:SiO2】
ここの水晶は、次のような特徴を持っています。
・両錐が多い。
・細長いものが多い。
・屈折率(透明感)が高い。
ハーキマダイアと見まがうような水晶がズリに落ちています。

玉山金山の両錐水晶(結晶7cm)
(2)武石【Limonite:FexOy】
ここの露頭では、金がはさまれているかも知れない武石も採集できますので、
たかが「武石」と馬鹿にしないで持ち帰りましょう。

玉山金山の武石

5.おわりに

「玉乃湯」(1泊5500円)に泊り、「千人坑」から引いたという「霊水」を
暖めた温泉で疲れを癒す事ができます。
また、翌朝は日の出と共にズリに向かい、一汗かいて「玉乃湯」に入浴するのも
格別です。
「玉乃湯」の従業員の方に、「玉山金山関係の本や資料」の有無を尋ねると、
地元紙「東海新報」の切り抜き「みちのく産金遺跡を行く」のコピーを持って
きてくれた。
これによると、慶長12年(1607年)頃に、矢作村の小野寺源太郎が氷上山
(標高400m)の麓で、金を掘ったのが始まりとされている。
金と共に、良質の水晶も産したので「玉山」と呼ばれるようになった。
金山の最盛期は、40〜50年で、元禄の頃には、湧き水のため、衰退した。
明治以降、金山の所有者は、二転、三転し、昭和40年代にも金採掘に多くの
事業家が乗り出したが、金価格の低迷もあって撤退した。
玉山金山の名物男、金多門氏は、金鉱脈発見に執念を燃やしたが、
「富鉱」を見る事なく、平成12年2月に亡くなった。
一方では、今年6月に玉山神社の境内で、「石割ケヤキ」が発見されたと言う
ニュースもあります。
(大船渡市にある「東海新報」社に電話して、「みちのく産金遺跡を行く」が
単行本として出版されているか問い合わせたが、その計画なしとのこと。残念。)