長野県小県郡の鉱物めぐり

長野県小県郡の鉱物めぐり

1.初めに

草下先生の「鉱物採集フィールドガイド」に、長野県小県郡の鉱物めぐりの
章があり「武石」「やきもち石」「玄能石」「蛇骨石」など、信州の奇人といわれた
保科百助ゆかりの鉱物が採集できると有ります。
これらの産地は、甲府を早朝出発すれば、楽に1日で回れることもあり、鉱物採集を
はじめて間も無い、平成元年に最初に訪れ、その後1、2回訪れていますが、
「やきもち石」だけ採れなかったのですが、今回、やっと、これぞ「やきもち石」と
言える標本を採集できました。
ここで、赤鉄鉱が採集でき、ミステリーだと思っていましたが、小川山に同行した
諏訪のU氏が、やきもち石を割ったところ、晶洞から、赤鉄鉱がでてきたとのこと。
謎が解けました。
(平成12年9月採集)

2.産地と産出鉱物

諏訪の方から行った場合、道順に産地を並べてみると、「武石」→「やきもち石」
→「蛇骨石」→「玄能石」の順が効率が良いでしょう。
2.1武石
2.1.1産地
つつじ公園を右手にみて、切り通しを抜けると正面に松林の中に岩肌を露出した
「武石山」が聳えています。この、凝灰岩の露出している露頭が産地です。

武石産地
2.1.2産出鉱物
(1)武石(渇鉄鉱)【Limonite:不純な水酸化鉄】
露頭の所々に、ベルト状に武石が分布しています。そこを掻き採ると、母岩付きが
採集できます。露頭は、場所によって固さ(変成度?)が違い、できるだけ柔らかい所を
狙います。
結晶の大きさは、5mm程度なら簡単に見つかるのですが、1cmを超えるものは、
メッキリ少なくなり、執念が必要です。

武石(結晶最大 7mm)
2.2やきもち石
2.2.1産地
美ヶ原方面に向かって進むと、「二本木」のバス停が有ります。ここから、右を見ると
山の両側に沢が2つ見え、このどちらでも採集できます。
鉱物採集フィールドガイド」には、左側の沢が「やきもち沢」として紹介されています。
草刈りしていた方に、産地を聞くと、昭和30〜40年ころ、その方が子供の頃、沢で
丸い石を探すと、コロコロと音のするものなどが拾えたそうです。
最近は、採れるかどうか、でも1日前に大水が出たから採れるかも知れないの言葉に意を
強くして、橋を渡り、沢の入り口近くに車を停め、沢に入ります。

やきもち石産地(正面の山の左側の沢)
2.2.2産出鉱物
(1)やきもち石(緑簾石)【Epidote:Ca2(Al,Fe3)3(SiO4)3(OH)】
凝灰岩にできた、緑簾石のノジュール(球状の塊)が、母岩が風化して、分離して沢を
転げ落ち、丸く摩滅したものです。ハンマで割ると、まるで饅頭のように、中にうぐいす餡を
思わせる緑簾石の針状結晶が生えた晶洞や小倉餡を思わせる茶色い泥状の鉱物(皮膜?)を
持つものが採集できます。
また、今回、運良く、母岩付きも採集できました。
美しいのは、うぐいす餡の物です。

やきもち石 (緑簾石の針状結晶が生えた晶洞)
(2)赤鉄鉱石【Hematite:Fe2O3】
この沢で、握り拳大の赤鉄鉱と水晶がついた塊を発見しました。
ここでは、赤鉄鉱も産出します。
2.3 蛇骨石
2.3.1産地
県道65号線で、塩田小学校の手前を左に入り、沢山池(湖)の表示で左に入ります。
池の周辺が産地です。
2.3.2産出鉱物
(1)蛇骨石(中沸石)【Metholite:Na2Ca2Al6Si9O30・8H2O】
火山岩の空隙中に産し、ソーダ沸石とスコレス沸石の中間的な化学組成を示す事から、
ギリシャ語のmesos(中間の)lithos(石)から命名されたとある。
切りとおしの壁面に沢山有ります。
2.4 玄能石
2.4.1産地
上田市の浦野川越戸(こうど)が産地で、浦野川にかかるで、越戸橋の右岸上流約150mに
赤茶けた粘板岩の露頭があり、車横付けの産地です。

玄能石産地
2.4.2産出鉱物
(1)玄能石(イカ石の仮晶)【Ikite:不純な方解石】
ボロボロの粘板岩を崩すと、母岩付きや分離結晶(塊?)として採集できる。
玄能石 (長さ 4cm 細かい方解石や石膏を伴う)

3.おわりに

保科百助ゆかりの鉱物(奇石?)の類が今でも、一通り採集できます。
玄能石は大工さんが使うゲンノウであれば、「玄翁」と書くべきでしょうが、「玄能」と
したのは、何か理由が有ったのでしょう。