バイエルン地方の鉱物
(Die Mineralien des Bayerichen Waldes)

1.初めに

2000年5月に、2週間ドイツ国ミュンヘン郊外のLandshut市への
出張があり、 休日にバイエルン地方の鉱物産地を回る好機を得た。
出張先のDr.Englmuellerが、" Die Mineralien des Bayerichen Waldes"という
本を貸してくれ、またこの地方の地質について解説してくれた。
この本によれば、Tittling近くのMatzersdorfのSteinbruch(採石場)の写真があり、
ベリルが採れ、しかも68年、78年2葉の採石場の写真がほとんど同じなので、
20年以上たった今も変わっていない事を期待して、ここを中心に訪れることにした。
(2000年5月採集)

2.産地

バイエルン地方の北、チェコスロバキアの国境まで40kmの地域には、北西から
南東に巨大な石英帯が走り、その一部が10km以上にわたり、"Grosse Pfahl"
(大きな柱)や単に"Pfahl"(柱)と呼ばれ、断続的に地表に露出している。
この周辺には、花崗岩を中心とする採石場が点在しており、ここで各種のペグマタイト
鉱物が採集できる。
Tittling近くのMatzersdorfのSteinbruch(採石場)は、道路からも見え、村の入口の
標識があり、幸運にも一発で探し当てることができた。
道路から200mほど入った採石場の入口には、ドイツ語で標識があるが、立入り禁止
を示している様子もないが、恐る恐る入っていった。
78年の写真とほとんど同じ状態の小屋と採石場があった。
すると、日曜なのに珍しく従業員らしき人がいたので、片言のドイツ語で
「日本から来た」「この本にあるベリルを探したい」と聞くと、「ベリルは採れない
だ ろう。でも採りためた鉱物がある」と言って小屋の鍵を開け、一箱出してくれた。
見ると針状の緑簾石が菊花状にビッシリ付いた20cm大の標本をはじめ、ゴロゴロ
ある。「持って行って良い」との事で、"Danke !"を連発。
改めて、採石場での採集をお願いすると、簡単に許してくれ、「中央部が良いだろう」
との事。早速ペグマタイト脈を探すと、幅40cm大のものが、採石場の中央部を
約70度の傾きで走っている。桃色長石、煙(透明)石英、黒雲母からなり晶洞は
みあたらなかった。
採石場

3.産出鉱物

(1) 電気石【Tormaline; 】 ペグマタイト脈の石英部分に、針、棒状の電気石がある。真っ黒で、周囲が茶色に
酸化しているところから、鉄電気石と思われる。
(2) 緑簾石【Epidote; 】
桃色長石と石英の母岩に針状の緑簾石が直径2〜3cmの球状に集合し、その破面が 菊花状になっている。
(3)黄鉄鉱【Pyrite; 】
数cm大の塊状黄鉄鉱があったが、ノッペリした面にあり、Landshutの町で急遽
購入した平タガネでは掻き取れず、採集できたのは、1cm大のもの。
(4)黒雲母【 ; 】
石英や長石の境界面に箔状で産出する。
(5)忍石【 ; 】
花崗岩の境目に侵入したマンガンが酸化し、絵を描いた様に見える。ドイツ産の標本を
何かの図鑑でみた記憶があり、本場のものを採集できたのは、幸運であった。
(6)鉄チタン石【Ilminite; FeTiO3】
" Die Mineralien des Bayerichen Waldes"には、この採石場で、鉄チタン石が採集
できるとあり、その写真と結晶図が載っています。BR> それらしき小さな標本を採ったのですが、まだ確認できていません。

4.おわりに

チェコ国境近くのBodenmaisの町には、Grosse Phahlの豊富な石英と、豊かな森林と
いう材料が揃っていたことから、ボヘミヤガラスの有名な産地で、多くの観光客がお土産に
ガラス製品を買うために訪れていました。
町はずれには、Silberberkと呼ぶ歴史的な銀鉱山跡もあり、絵葉書に載っていますが
今回は訪れる事ができず、次回の楽しみです。
この産地の採集にあたり、図書、情報を提供してくれた Dr.Englmuellerと自動車を
運転して案内してくれたMr.Hashimotoに深謝致します。