福島県八茎鉱山の鉱物

福島県八茎鉱山の鉱物

1.初めに

平成12年で創立50周年を迎える福島県平地学研究会恒例の巡検が八茎鉱山で行われ
約20名の老若とともに、私も参加した。
八茎鉱山の発見は、600年以上前の明徳2年といわれていますが、近代的な工法で
採掘されたのは、明治39年7月にドイツから、オット・ライメルス氏を招き、外国
資本と技術を導入して以降である。
しかし、大正の初めに山火事で精錬所が焼け、加えて、第1次世界大戦後の不景気で、
一時は日本屈指の銅山といわれた八茎鉱山も操業を中止した。
その後、磐城(現住友)セメントが、石灰岩を掘ったが、採掘条件が悪く、磐越東線
神俣駅近くに新たな石灰岩鉱床発見を契機に、昭和27年に採掘を中止した。
現在は、新八茎鉱山が、石灰岩を採掘している。その関係で、鉱山への入場は厳しく、
今回、平地学研究会の巡検で念願のバビントン石をはじめ、希産と思われるコバルト華
などを採集できた。
(平成12年11月採集)

2.産地

八茎鉱山は、いわき市四倉町八茎字片倉地内にあり、常磐道四倉インタでおり、
玉山鉱泉を経て、新八茎鉱山に行く。ここが、230m通洞坑口である。
更に、銅山林道を奥に進み、橋を渡ると320m通洞坑口である。

八茎鉱山【320m通洞坑】
橋の下から上流50mの範囲が、採集ポイントの1つである。
更に林道を100m進むと、河原まで左手一帯にズリが広がり、ここでも各種鉱物が
採集できる。

八茎鉱山のズリ

3.産状と採集方法

八茎鉱山は、釜石鉱山と並ぶ日本にける代表的な接触交代鉱床である。古生層の
石灰岩・粘板岩に貫入した金属成分に富むマグマ(石英閃緑岩)が石灰岩と高温で反応し、
鉄、銅、タングステンなどを含むいわゆるスカルン鉱床が形成された。
金属鉱物は、石英閃緑岩(下)側から、磁鉄鉱、黄銅鉱、磁硫鉄鉱、閃亜鉛鉱そして方鉛鉱の
順に形成されている。
スカルン鉱物は、下部の粘板岩から上部の石灰岩まで、緑簾石帯、灰鉄柘榴石帯、灰鉄輝石帯
そして珪化帯の四層をなして配列している。
ズリでの採集ですが、目的の鉱物がどの脈石と一緒に出るかを知っていると、良品を採集できる
確率がグット高くなります。今回、平地学会の関口幸介氏が同行し、解説してくれ、下記の
ような鉱物を採集できました。

4.産出鉱物

(1)バビントン石【Babingtonite:Ca2(Fe,Mn)FeSi5O14(OH)】
灰鉄輝石の中に脈状あるいは自形結晶として産出する。灰鉄輝石に真っ黒い脈状の鉱物が見えたら、
割って見ると探せます。特に灰鉄輝石の空隙にあるものは、方解石が埋めているため、方解石を
酸で溶かせば、はっきりした結晶が出てきます。

バビントン石
(2)コバルト華【Erythrite:Co3As2O8・8H2O】
通常ピンク色の粉状結晶で、美晶は希といわれていますが、今回、ルーペサイズですが、
針状・菊華状の結晶のついたコバルト華が採集できた。
磁鉄鉱の表面に、桃色のしみ状のものが付いていたら、割ってみて下さい。
コバルト華があるという事は、輝コバルト鉱があるのですが、はっきり結晶が分かるものは見当たり
ません。
もう10年近く前に、山口県の長登鉱山に輝コバルト鉱を採集に行った時に、あちこちにピンク色に
染まったズリ石があった事を思い出します。

コバルト華
(3)藍銅鉱【Azurite:2CuCO3・Cu(OH)2】
磁鉄鉱を割ると、緑色の孔雀石の回りにルーペサイズの青色の粒状で産出します。
このほか、黄銅鉱・磁鉄鉱・灰鉄輝石・灰鉄柘榴石などは、普通に採集できます。
ビスマス(蒼鉛)鉱物のヘイロフスキー鉱、コサラ鉱、ホセ鉱などが産出するとありますが、
今回採集できませんでした。(採集していてもわからない?)

5.おわりに

今回3時間余りの採集でしたが、ズリは豊富で、ビスマス鉱物、コバルト鉱物や
2次鉱物好きにはたまらない産地です。