最新の矢塚の緑簾石

最新の矢塚の緑簾石

1.初めに

福島県塙町矢塚では、透明で自形結晶をした緑簾石が産出する。
ここは、別名、長久木(ながくき)とも呼ばれている産地と同じ場所です。
「日本の鉱物」には、ここで採集した長島乙吉先生遺品の「ベスブ石」が
掲載してあります。
以前(H12年3月頃まで)は、ホームページにも掲載してあるように、
ズリの表面採集やフルイ掛けで1〜2cmの頭付きが希に採集できた。
その後、(平成12年7月)訪れて見ると、1日だけで、延べ15名が訪れ、
フィーバ状態に有り、露頭を崩したり、坑道(?)を掘っての本格的な採集と
なっており、それだけ良品を採集できる確率が高くなっていた。
その後の様子が知りたく、同じ技術士で鉱物採集が趣味の千葉県の高橋さんと
訪れ、流山の吉田さんと梓(甲武信)鉱山以来1年ぶりで、バッタリ出会った。
その2週間後にも訪れ横浜の林田さんと一緒に採集した。
一時のフィーバー状態は去り、落着きを取り戻したが、それでも訪れる人がおり、
坑道も奥行きが7m、高さは、深い所は3mにもなっています。
ポイントを当てて、1日頑張れば、2cm級を含め頭付きが20本程度採集できます。
(平成12年12月採集)

2.産地

茨城県里美村をとおり 国道349号線を北上し、片貝小学校の先で、高萩-塙線にはいる。
片貝小矢塚分校の手前にある桜橋を渡り、約1kmで、左側に矢塚林道(今では、入り口に
チエーンが張ってあり通行できない状態)があり、その手前に「矢塚山元第三土場」の看板
がある。この100m先の山の左斜面が産地である。
もう一つは、里美村のはずれで県道22号線に右折し、約5km先の里川に架かる橋の
手前を右折し、約5km行った集落の所を左折し、約1.5km行き右折し、約1kmで
産地です。このコースの方が30分くらい短時間で着けます。
地元の人の話では、昭和20年代から30年代にかけて、珪石を目的に稼行したとのことで、
この近くで何個所も採掘(試掘?)跡がみられます。

3.産状と採集方法

ここは、スカルン鉱床で、緑簾石、灰ばん石榴石や水晶が脈状に胚胎している。
石英や緑簾石の晶洞部分に、頭付きの緑簾石が産する。ガマ粘土は、黒色と黄白色
(山皮?)があり、後者から出るものは結晶面もシャープで、透明感があり、準宝石級である。
石英や緑簾石の脈を追い、晶洞を探すが、母岩が比較的柔らかい所にきていることが多い。
(逆に、柘榴石の脈にはないので、ここに突き当たったら、止めるかそこを突き破る
かの選択を迫られます。

4.産出鉱物

(1)緑簾石【Epidote:Ca2(Al,Fe)3(SiO4)3(OH)】
晶洞からでる緑簾石は、大きくてもほとんどが透明感があり、不規則な頭を含めれば、
頭付きは数パーセントの確率で存在する。完全な頭付きで、透明度の良いものは、
1cm前後のサイズである。

頭付き透明緑簾石(2cm)
(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】 水晶は、頭付きが少なく、透明度も今一つです。希に、両錐なども出ます。
インクルージョンとして、灰バン石榴石や緑簾石を含み、緑簾石を含むものは緑水晶です。
水晶の上に、頭付き緑簾石が共生するものは、美しいのですが、水晶が溶けたり、
曲がったりするほど高温の熱水(ガス?)の進入で、緑簾石は真っ黒いスス状の皮膜に覆われ
脱落して、晶洞の底に溜まったのだと想像しています。

水晶の上に共生する頭付き透明緑簾石(4cm)

5.おわりに 

一時のフィーバー状態は去り、落着きを取り戻していますので、坑道内
や新規にできたズリでも頭付きが採集できます。
産地は、寒いのでそれなりの装備が必要です。
最近3回の成果は、ブリキ製のバケツで約40杯(1000kg)の鉱石を坑外に運び
フルイ掛けして、約1kg(0.1%)の透明緑簾石がえられ、一応頭付きが280g
(0.03%)、更に標本として展示できるものは40g(0.004%)ですから、
金山の金の含有量と同程度です。
従って、頭付き完全品が1本でも採集できたら、「ラッキー」と考えましょう。