第十一回 アレックス・デ・グラッシ


 

僕がアレックス・デ・グラッシの事を知ったのは、
1978年にウィンダム・ヒル・レコードからリリースされたファースト・アルバム
 " ターニング:ターニング・バック " を聴いたのが最初だった。
当時のウィンダム・ヒル・レーベルはアコースティック・ギター・ミュージック専門の
小さなレーベルで、オーナー兼ギタリストのウィリアム・アッカーマンが
中心になって設立された、とても可能性を秘めた素敵なレーベルであった。
(ただ残念なことに、その後ニュー・エイジ・ブームのおかげで
レーベルとしては成功を収めたのだが、
肝心の良質のギター・ミュージックは何処かへ行ってしまった。)

それまでのギター・ミュージックはと言えば、
ジョン・フェーヒイが設立したタコマ・レーベルや、
ステファン・グロスマンが友人と一緒に設立したキッキング・ミュール・レーベル
などが一時代のギター・ミュージックを築きあげてきた。
でもサウンド・クオリティがあまり良くないのと、ルーツ系の音楽が中心だったので、
アマチュアのギタリスト達に支持されただけでその役目は終わってしまった。
今になって考えてみれば、コンサート活動を伴わなかったのと、
優れたプロデューサーがいなかったのが廃れた原因のように思う。

ところでアレックスの音楽性だが、当初はウィル・アッカーマンと同じような、
オープン・チューニングを多用したフリー・ミュージックであった。
彼が最も影響を受けたギタリストとしてバート・ジャンシュ、
ジョン・レンボーンの名前を挙げている。
まあファースト・アルバムを聴く限りヨーロッパの香りが多少はするけど、
まだ自分のスタイルというものは確立されていない。
又、時代が時代で、ブルースでもないラグタイムでもない、
新しいスタイルのギター・ミュージックというものが生まれようとしていたのが
正にこの時代であった。


 

この " Southern Exposure " は1984年にリリースされたアルバムで、
通算で4枚目の作品である。
" ターニング・・・" から6年の歳月が経っているが、
その間のアレックスが吸収したものが見事に作品になり、音に表れている。
又、タイトル曲を聴くと、この当時ピエール・ベンスーザンのギター・プレイに
傾倒していたというのが良く解って面白い。
それにしてもこの時代のウィンダム・ヒルのレコーディング技術は素晴らしい。
マイケル・ヘッジスの " Aerial Boundaries " のエンジニアだった
スティーヴン・ミラーがこのアルバムでもエンジニアリングしている。



 
 
 

Alex De Grassi

" Southern Exposure "

Windham Hill  D22Y5221



 

  1. Overland
  2. Blue and White
  3. 36
  4. Cumulus
  5. Southern Exposure
  6. Weatern
  7. Street Waltz
  8. Heavy Feet
  9. Empty Room
10. Subway





現在ウィンダム・ヒル・レーベルのアルバムはBMGビクターが
ディストリビュートしています。