第二十二回 ドン・ロス


 
 

2000年の4月に初めて来日した彼は、その巨体から溢れるような、
とてもパワフルなギター・プレイを各地で聴かせてくれた。
ただ僕がこのコンサート・ツアーで感じたのは、
ライブでのサウンド・メイキングが大雑把というか、あまり良くなかった。
最近のナラダ・レーベルからリリースしているCD では
とても繊細なナチュラルなサウンドに仕上がっているのに、
オン・ステージでのサウンドやプレイは非常にラフであった。
多分ピック・アップ・システムにも問題があるんだろうけど、
楽曲が素晴らしいだけに惜しい気がする。
 

1960年にカナダで生まれた彼は、わずか8歳の時にギターを始めたというから驚きだ。
そして10歳の時には変則チューニングのフィンガー・スタイル・ギターに
興味を持ったと言うんだから増々驚いてしまう。
1983年にトロントのヨーク大学の音楽科を卒業し、
その頃からソロ・パフォーマンスを始めたそうだ。

その後1988年には、アメリカのカンザス州、ウインフィールドで行われた
ナショナル・フィンガー・ピッキング・コンテストに参加し、
そして見事ウイナーになっている。
( 1996年にも参加し2度目のウイナーになっている。)
それからはギター・ファンの間で少しずつ名前が知られるようになり、
アルバムも数多くリリースされる。
 

彼のギター・スタイルの特徴は、オープン・チューニングを多用したリズミックなプレイである。
あきらかにマイケル・ヘッジスやプレストン・リードの影響を受けていて、
タッピング、スラッピング、ヒッティングといった
新しい奏法を自身の楽曲に上手く取り入れている。

ところがカナダでリリースされたインディーズ盤ではアンサンブル・プレイが多く、
それもベースやドラムスと一緒にプレイしているので
彼のギター・ワークが生かされていない気がする。
でも1999年にナラダ・レーベルからリリースされた " Passion Session "というアルバムでは、
全曲がギター・ソロでプレイされていて、
彼の素晴らしい楽曲やギター・プレイを堪能する事が出来る。
 


 

この " Huron Street " という最新アルバムもナラダ・レーベルからリリースされ、
前作の " Passion Session " よりもナチュラルなサウンドに仕上がっている。
楽曲は彼の古い作品を再レコーディングしたものだが、
新曲かなと思うぐらい素晴らしい仕上がりだ。
2曲だけアップ・ライト・ベースとのアンサンブルで、他は全てギター・ソロである。
" Big Buck " では、かなりのロウ・チューニングなのだが、
これだけ安定したプレイが出来るのはさすがである。
" Loaded, Leather, Moonroof, ", " Lucy Watusi ", " Three Hands " のような
アップ・テンポの楽曲が、ドン・ロスのギター・スタイルの神髄と言える。
個人的には " King Street Suite " で聴けるようなリリカルなプレイが好きだ。



 
 

Don Ross

" Huron Street "

NARADA  72438-50834-2-6



 
 

  1. Big Buck
  2. Thin Air
  3. Loaded, Leather, Moonroof,
  4. This Dragon Won't Sleep
  5. King Street Suite
  6. Zarzuela
  7. In From the Cold
  8. Wall of Glass
  9. Midnight March
10. Lucy Watusi
11. Catherine
12. Three Hands





ナラダ・レーベルのCD は大きなCD ショップで手に入ると思います。
他のCD に関しては彼のホーム・ページがあるのでチェックしてみて下さい。
www.gobyfish.com