第三十五回 エリック・ルゴッシュ


 

フィラデルフィア出身のギタリストで、現在はシカゴ在住。
1984年のナショナル・フィンガー・ピッキング・チャンピオンで、
その確かなテクニックと音楽性は、本格派のギタリストだと言える。

彼と音楽の結びつきは、子供の頃にフィラデルフィア少年合唱団で
コーラスしていた事が始まりらしい。
現在もその体験が役に立っていて、作曲に際して、楽曲の全体像を先ず思い浮かべるそうだ。
そして何をモチーフにするのか、どんなメロディ・ラインにするのかを考えるという。
又、彼がギターを始めたのは12歳の時に兄のギターを弾いたのがキッカケで、
特にゲイリー・デイビス、ミシシッピ・ジョン・ハートのギター・プレイには
大いなる刺激を受けたそうだ。
彼のギター・スタイルはフィンガー・ピッキングなのだが、
爪や付け爪を使わない、いわゆる肉弾きと言われるスタイルなのだ。
このスタイルはハギレの良い、どちらかと言えばスタッカートぎみのサウンドが出せる。
(でもサスティーンのあるサウンドは出せないので、
その手のギター・スタイルが好きな人には不向きだと思う)
嘗てのブルース・マンや、一部のルーツ系のギタリスト達が好んでこの肉弾きでプレイしていた。
僕も以前チャレンジした事があるんだけど、指にマメができ、又、それが破れたりして、
とうとう指先が硬くなる前に諦めてしまった。

1999年にドイツで行われたインターナショナル・ギター・ナイト・ツアーで
エリック・ルゴッシュと一緒になり、初めて彼のライブ・パフォーマンスを見聴きする事が出来た。
CDでのプレイである程度、肉弾きのギタリストだと判っていたけど、
その暖かみのあるサウンドに驚いてしまった。
アメリカという国で生まれたスティール・ストリングス・フィンガー・ピッキングの
本来のスタイルだという事が、彼のプレイを聴くとよく判る。

又、このツアーで彼のホビーがモデル・エアー・クラフトだと判り、意気投合してしまった。
ツアー後も彼とは時々メールでやりとりしていて、航空機の写真集を送ってあげたり、
又、彼からもバイ・プレーンのモデルを送ってもらったりしている。
 


 

このアルバム " Kind Heroes " はエリックの2nd アルバムで、
1999年にドイツのAMRからリリースされている。
8曲のオリジナル曲と、6曲のカヴァー曲が収録されていて、
内容的にもヴァラエティに富んでいて、ノヴェルティ・ソングやオールド・ジャズが
好きな人には楽しんでもらえるだろう。
" Primate House " でのプレイは、かのリック・ラスキンを彷佛させる。
そして ソニー・ロリンズの " St. Thomas " ではジャズ・フィーリング
いっぱいの素晴らしいプレイが聴ける。
又、ヴォーカル曲が3曲入っているが、ドック・ワトソンを若くしたような
味のある声で楽しませてくれる。

普段はシカゴでアニマル・ドクターをやっている彼だが、
ギタリストとしてももっと評価されて良いと思う。
アメリカでさえそうなんだから、日本で彼の事を知っている人っているのだろうか・・・。


Eric Lugosch

" Kind Heroes "

Acoustic Music Records  Best.Nr.319.1188.242



 

  1. Kind Heroes
  2. Primate House
  3. I'm Confessin' ( That I Love You )?
  4. Lingua Franca
  5. All I Wanna Do
  6. St. Thomas
  7. Dissertation in the Park
  8. Tripping on My Own Feet
  9. It's Not True
10. Livin' in the Country
11. Her Grace
12. Windy and Warm
13. I'll be All Right
14. I Love You Don't I






ドイツのアコースティック・ミュージック・レコードのCDを扱っている
楽器店やCDショップで入手出来ると思います。