第三十九回 フランコ・モローネ


 

彼は1956年にイタリアのボローニャに生まれる。

僕が彼の事を知ったのは、確か1980年の中頃だったと記憶している。
たまたまイタリアへ旅行に行った知人が、現地のレコード・ショップで
ちょっと面白そうなレコーードを買ってきたという情報が僕の元に入った。
リザード・コンベンションというタイトルのオムニバス・アルバムで、
それまで全く知らなかったイタリアのアコースティック・ギタリスト達が
一同に会した刺激的なレコードであった。
その中にフランコ・モローネとペピーノ・ダゴスティーノが居たのである。
当時の彼らはまだ20代の若さであったけど、
その楽曲やギター・プレイからは迸るような情熱が伝わってきたのを今も鮮明に覚えている。
この当時の主流だったギター・ミュージックと言えば、
ステファン・グロスマンが立ち上げたキッキング・ミュールと言う
ギター・ミュージック専門のレーベルが中心になり、
ブルースやラグタイム系(一部コンテンポラリー・ミュージックのプレイヤーも居た)の
音楽を積極的に紹介していた。
又、この頃、ステファン・グロスマンはイタリアに住んでいたので、
イタリアの若いアマチュア・ギタリスト達は少なからず、
彼からギター・ミュージックを吸収していたように思われる。
でもフランコやペピーノ達が目指したギター・ミュージックは、もっと新しいものだったようだ。

丁度アメリカでウインダム・ヒル・レーベルが注目を浴び出したのが ' 80年に入ってからで、
サウンド的にも、よりクォリティの高いレコードが評価されるようになってきたのである。
又、オリジナル・コンポジションというものが注目されるようになってきた。
僕が思うに、この ' 80 年代はルーツ系のアコースティック・ギター・ミュージックから、
よりコンテンポラリーなギター・ミュージックに変わり始めた時期のような気がする。
現にその後キッキング・ミュール・レーベルは消滅し、
ステファン・グロスマンは再びアメリカに戻って行ったのである。
後にフランコのアルバムをプロデュースする事になるピーター・フィンガーは、
このキッキング・ミュールから2枚のソロ・アルバムをリリースした
数少ないコンテンポラリー・ギタリストの一人である。

そんな訳でフランコの初めてのソロ・アルバム " Guitarea " は、
ドイツのアコースティック・ミュージック・レコードから1994 年にリリースされた。
その後も同レーベルから1996 年に " The South Wind "、
1998 年に" Melodies of Memories "、2001 年に " Running Home "
といったアルバムをコンスタントにリリースしている。
 


 

この " Running Home " は全曲がドライなサウンドに仕上げられているが、
曲想のイメージだともう少しウェッティなサウンドの方が良いように思った。
何故なら、5月のハンガリー・ツアーでのフランコのプレイはリヴァーブを効果的に使い、
とても気持ちに良いギター・サウンドを聴かせてくれたからだ。
又、このアルバムではテイラー、ケビン・ライアン、レイン・ソング
( M8 でのスライド・プレイのみ)といった何台かのギターを使い分けていて、
楽曲のイメージに対してのサウンド・カラーの違いが解って面白い。
個人的にはアイリッシュ・スタイルのブルージーな " Celtic Dog Blues " 、
最近のコンサートでもよくプレイされる、ヨーロッパの情景が浮かぶような
佳曲 " Night Drivers "、ロマンティックなメロディの " Serenata " が好きだ。


Franco Morone

" Running Home "

Acoustic Music Records  Best.Nr.319.1239.242



 

  1. Running Home
  2. Le Voyage De Giselle
  3. Picking The Joy Of Life
  4. The Wedding
  5. Celtic Dog Blues
  6. Night Drivers
  7. Followers Of Dulcamara
  8. Sliding Rain
  9. Wind Catcher
10. Serenata
11. Andy's Waltz
12. After The Run






フランコ・モローネの各CDは、ドイツのアコースティック・ミュージック・レコードの
CDを扱っている楽器店やCDショップで入手出来ると思います。
又、彼のウェブ・サイトがあるので紹介しておきます。

http://www.francomorone.it