第四十回 岸部眞明


 

岸部君は1964年に僕と同じ大阪に生まれる。
今年(2002年)で38歳になるので、
どちらかと言えば既に中堅のギタリストということになる。
彼のバイオによると、ギターを弾き始めたのが中学2年生で、14歳の頃だという。
その頃に習いに行っていた近所のギター・スクールのインストラクターが、
あまりに上達が速いので驚いたらしい。
その結果1980年頃に、僕が大阪で開いていたギター・スクールに入学してきたのである。
その後、約10年近く、彼にはあらゆるギター・テクニックや
セオリーを徹底的に教えたのを思い出す。
ただ、ギター・スクールに在籍していた頃は、オリジナル・コンポジションというものに
興味がなかったのか、作れなかったのかは定かではないが、
ただただ楽譜になっている既製のギター曲を一生懸命にプレイしていた。
そして、1990年には何を思ったのか、アメリカのボストンにある
有名なバークリー音学院に留学したのである。
ただ残念なことに卒業する事なく途中で退学して日本に戻って来てしまった。
この辺は彼の持って生まれた性格というか、
はっきりとした目標や目的がないのに行動してしまう悪い点のような気がする。
その後は試行錯誤しながら、ようやく自身のコンポジションというものに目覚め、
1995年にセルフ・プロデュースではあるが、
初めてのギター・ソロ・アルバム " Truth " をリリースした。
今、改めてこのアルバムを聴いてみると、
作品によっては技術的に熟れていないものもあり、
その辺りのギャップというものを感じてしまう。
でもこれは当時の彼の精一杯の作品であり、又プレイなのだ。
ただ " Stream "、" 揚子江 ", " Snowfall "、" Truth " といった楽曲を聴くと、
彼の持っている優しさを感じるし、どことなく日本人ならではの音楽性
というものが自然に伝わってくる。
 


 

1999年には2nd アルバム " Growing Up " をリリースし、ライブ活動
も積極的に行うようになったようだ。
楽曲に関しては、前記した日本人の感性ならではの作品が、
より鮮明になってきたように思う。

この " Bloom " は岸部君のニュー・アルバムで2002年の10月にリリースされた。
前作から3年振りのアルバムなので、彼のファンを含め、
その内容に期待していた人が多かったのではないだろうか。
もちろん僕もその一人で、何よりも今回はどんな楽曲を書き上げたのかとても興味があった。
というのは、誰とは言わないが、アルバムを出すごとに楽曲やプレイが
パワー・ダウンしているギタリストがいるので、
つい岸部君に対してもそんな事を思ってしまったのである。
でもアルバムを聴いてみて安心した。
楽曲に関しては、日本人としての感性が薄らいだのが少し残念である。
" ドルクスの森 " は、ついヨーロッパを連想してしまうが、
カウンター・ポイントの処理が見事だ。
" Review " や " Octopus " は前アルバムの " Megamouth " と同じタイプの楽曲だが、
こういった楽曲はレコーディング時のサウンド・メイクに
もう一工夫すればもっと奥行きが出て、よりミステリアスな雰囲気を打ち出す事が出来るだろう。
個人的には " 気楽にいこう " や " 雨降る窓辺で " といったミディアム・
スロー・テンポの曲が好きである。


岸部眞明

" Bloom "

MK MUSIC  MK-2


 

 
  1. Hajimari
  2. ドルクスの森
  3. Review
  4. Baby's Eyes
  5. 気楽にいこう
  6. Eternal
  7. What's Up
  8. Octopus
  9. Athletes
10. The Water Is Wide
11. 眠れない夜に
12. 雨降る窓辺で
13. The Time of Departure



岸部君のCDは自主制作盤なので普通のCDショップでは入手困難です。
京都のプー横丁か、直接、彼のホーム・ページでの通信販売でオーダーして下さい。

岸部眞明 http//:www.jpp.co.jp/capo/index.html
プー横丁 http//:www.h2.dion.ne.jp/~slice/pooh/