第二十回 押尾コータロー


 
 
 

押尾君はまだ30過ぎの大阪在住のアコースティック・ギタリストで、
確か14〜15年前に、僕が大阪で開いていたギター・スクールの生徒だった時期がある。
その当時は僕の楽曲を弾いたり、ごく普通のフィンガー・スタイル・ギターを勉強していた。
その後、一時期、東京で何やら模索しながら暮らしていたようだが、
再び大阪に戻って行った。

何しろギター一本で生活しながら創作活動を続けるというのは大変な事である。
東京で生活している頃に何度か会った事があるが、
大阪に戻ってからはどのような活動をしているのか知らなかったし、
たまに大阪へ行った時も会うことはなかった。
でも自分なりに音楽活動に取り組んでいたようだ。

そして昨年の春にドン・ロスとのライブ・ツアーで京都に行った時、
そのライブを聴きに来てくれた彼に久しぶりに会ったのである。
その時に初めて作ったというCD をプレゼントしてくれた。
家に戻ってから早速そのCD を聴いてみたのだが、
楽曲によっては影響を受けたマイケル・ヘッジスの
ギター・スタイルから抜けきっていないが、
独自のスタイルを模索しているようにも感じた。

今年に入ってから2枚目のCD をリリースし、
以前にも増してライブ活動を積極的に行っているようで、
8月に神戸で行われたコンサートで初めて彼と同じステージを踏む事になった。
何しろ彼のライブ・プレイを聴くのは初めてだったので、
どんなライブ・パフォーマンスを見せてくれるのかとても興味があったのである。
でもサウンド・チェックの時点で納得してしまった。
彼はスタンディングでプレイするのだが、立ち振る舞いが堂々としているし、
ライブ・プレイに不可欠なスケールの大きなサウンドというものも充分に備わっている。
僕が知らない間に少しずつライブをこなし、オーディエンスとの一体化した空間という、
ライブには欠かす事の出来ない大切なものをいつの間にか身に付けたのであろう。
ただ、ひとつだけ彼に望むのは、誰々の影響というものから早く抜け出して、
もうワン・ランク上の独自の楽曲やギター・プレイを目指して欲しい。
 

#12のアーティスト・るーむで紹介した住出君といい、年齢こそ違えど、
新しい感覚のギタリストがようやくこの国にも登場して来た事をとても嬉しく思う。
住出勝則、小松原俊、岸部真明、押尾コータロー、小川倫生、
皆、本物志向のアーティストと呼べるギタリスト達だ。
 


 

この " Love Strings " は彼のセカンド・アルバムでオリジナル曲の他に、
独自のアレンジによるカヴァー曲が何曲か収められている。
全体がライブのような乗りのラフなプレイだが、
ライン・ミックスのサウンドだとどうしてもダイナミックスというものがコントロールし難い。
でもそれを上手くコントロール出来なければ、よりレベルの高いプレイにまで到達出来ない。
レコーディングでのプレイは音作りを含めてとてもシビアな感覚が要求されるので、
使うマイクやそのセッティングが重要なカギを握っている。
勿論エンジニアの技量も大切なのは言うまでもない。

一曲目の " Blue Sky " はファンキーなアップ・テンポの曲で、
即興性の高いプレイはライブにうってつけの楽曲だ。
ラストの " ずっと・・・" は個人的に好きなバラードの楽曲で、曲想が素敵である。


押尾コータロー

" Love Strings "

KOTARO Records  KTA-0001


  1. Blue Sky
  2. In The Morning
  3. リボンの騎士
  4. ライムライト
  5. ピアノレッスン
  6. Love Strings
  7. 宵待月
  8. ニューシネマパラダイス
  9. 遙かなる大地
10. Hard Rain
11. リベルタンゴ
12. いつか王子様が
13. ずっと・・・







押尾君のCD は自主制作盤なので、CD ショップでは扱ってないかも知れません。
興味のある方は直接彼に連絡してみて下さい。

E-mail : Okotaron@aol.Com
Web Site : http//www.scramble-walker.co.jp/osio/