第三十七回 下山亮平


 

僕と下山君との出逢いは、何年か前に東京で行われたライブ・コンサートに
お父さんと一緒に聴きに来てくれたのが最初であった。
それもはるばる山形から来てくれ、お父さんが僕のファンであったという事もあり
とても印象に残っている。
その後も北海道や群馬でのライブに来てくれたりしていたので、
本当にギターやギター・ミュージックが好きな子なんだなといつも感心していた。

現在は山梨の大学に通っていて、地元のライブ・スポットや
時々は東京のライブ・スポットなどでも演奏活動を始めているという。
そしてつい先日、東京で行われたギター・コンテストで彼とばったり出会ってしまった。
彼はコンテストに参加していて、
僕はゲスト・プレイヤーとして出演する事になっていたのだ。

初めて彼のギター・プレイを聴いた印象は、
一言で言えばとても新鮮な作品で素直なプレイであった。
それは決してテクニックに溺れる事なく、作品としても充分に完成している。
ただコンテストという特種な状況と、マイクのみでプレイしなければならない苛酷な条件だったので、
実力が100%発揮出来なかったと思う。
残念ながら入賞出来なかったけど、僕には彼の想いが充分に伝わって来ていた。
下心と野心は大きく違う。
もし下山君が今後もギター・ミュージックを追求して行きたいという気持ちがあるのであれば、
野心というものはもって欲しいと思う。
それだけの素晴らしい感性というものを既に君は持っている。
それにしても18〜19歳という若さで、オリジナリティのある作品やプレイが
出来るギタリストの登場は僕にとっては脅威だし、その反面嬉しくも思う。
自分の18歳の頃の事を振り返ると、時の流れというものを感じずにはいられない。

この " INVITE " は下山亮平君の初めてのアルバムで、
前記のコンテストの時に彼からプレゼントしてもらった。
早速、聴かせてもらったけど正直言って驚いてしまった。
以前にこのアーティスト・るーむで紹介した小川倫生君のアルバムを
初めて聴いた時と同じような感動を覚えたのだ。
ギター・プレイに関しては左手の運指がスムーズだし、右手のタッチもしっかりしている。
作品に関しては、色んなギタリストの影響を受けながらも、
それらを消化しきっているのが判る。
1st アルバムでこの完成度は立派なものだ。
それも18〜19歳という若さで。

" ブロッケンの妖怪 " での躍動感溢れるプレイから彼の年令を考えると末恐ろしい。
" Sonny's Bridge " はかのソニー・ロリンズをイメージして書かれた作品だそうだが、
彼がソニー・ロリンズを聴いていた事だけでも驚かずにはおれなかった。
" Resolution " は " このアルバムのハイライトと言ってもいいような
豪快なアップ・テンポの作品で、彼の確かな実力を感じる事が出来る。
" 踏雪尋梅 " は中国の料理名をモチーフにして作曲したらしいが、
東洋人にしか表現する事が出来ない素敵な作品だ。
" Bouquet From Ankhesenpaamen " は古代エジプトのツタンカーメン王にまつわる話を
イメージして作曲したそうだが、彼の博学(雑学)な面を知る事が出来、
タイトルや楽曲へのこだわりというものを感じる。
仲々良く出来たバラードだ。
はたして今後、彼の20代の10年間は、彼にとってどんな試練や喜びを与えるのだろうか。
又その試練を彼自身がいかに乗り越えて行くのだろうか、とても興味がある。

本物志向の若い世代のギタリスト達がこのところようやく登場してきてくれた。
彼らの今後の活動やアコースティック・ギター・ミュージック・シーンの未来というものが、
とても楽しみになってきた。

下山亮平

" INVITE "

Passion Records  PSN-0201



 

  1. Pleasant Feeling
  2. Awake In The Early Morning
  3. ブロッケンの妖怪
  4. Sonny's Bridge
  5. Resolution
  6. 踏雪尋梅
  7. Bouquet From Ankhesenpaamen
  8. Weather Permitting
  9. 神の木
10. Old Pal






下山亮平君のアルバムはインディーズ盤なので普通のCDショップでの入手は難しいと思います。
通販が可能かどうかは判りませんが下記へお問い合わせ下さい。
パッション・レコード
群馬県前橋市六供町852ー2
E-mail: passion-records@jcom.home.ne.jp