第三十一回 マーティン・テイラー


 
 

ジャズ・ギターという分野に於いて、ソロ・パフォーマンスというのは
とても過酷なものに違いない。
当然の事ながら幅広いテクニックがいるだろうし、
自身の個性というものも絶対に必要だろう。
そして頑固だけれど柔軟さも持っていなければならない。
過去、僕の知る限りソロ・パフォーマンスで頂点を極めたのはジョーパスしかいない。
正に孤高のヴァーチュオーゾと呼ぶに相応しいギタリストだと言える。
だからジョー・パス亡き後、ソロ・パフォーマーはもう出てこないんじゃあないかなと思っていた。
ところが嬉しい事にようやく素晴らしいジャズ・ギタリストが登場してきたのである。

マーティン・テイラーがその人で、僕は1981年に彼がアメリカ西海岸の
コンコード・レーベルからリリースされた " Sky Boat " というアルバムを
その頃に入手し、 " St. Thomas " でのプレイを聴いていっぺんに彼のファンになってしまった。
この時のマーティン・テイラーは25歳という若さであった。

1956年にスコットランドに生まれた彼は、ミュージシャンだった父親の
影響もあり、幼い頃から音楽に親しんでいたという。
ウクレレ、ギターを4歳から弾き始め、12歳の時には地元のローカル・バンドでプレイする。
その後、ジプシー・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトのギター・プレイに感銘を受けたり、
ジャズ・ピアニストのアート・テイタムからは後の自分のソロ・ギター・プレイに
繋がるイマジネーションを得たという。

1978年にウェイブ・レコードからデビュー・アルバム " Taylor Made "をリリースし、
同時期にかのステファン・グラッペリに認められ、
彼のツァーでのサポート・ギタリストを務める事になる。
それは11年間続いた。
1981年以降はアメリカのコンコード・レーベルから " Sky Boat ", " Salabanda " をリリース。
1990年にはスコットランドのリン・レコードと契約し、以後8枚のアルバムをリリースする。

又、リン・レコードでの3枚目のアルバム " Artistry " はU.K. ジャズ・チャートで
6週間もの間1位のなり、ヨーロッパのジャズ・シーンに於いて、
押しも押されぬアーティストになる。
その後1999年にはU.K. ソニー・ミュージックと契約し、新たな活動を始めている。


 

この1993年にリリースされた " Artistry " は全曲ギター・ソロでプレイされていて、
ラインとマイクをミックスした素晴らしいサウンド・メイキングが成されている。
又、プロデュースがスティーヴ・ハウというのも興味がある。
全曲スタンダード・ナンバーだが、マーティン・テイラーならではのアレンジというか、
個性的でパワフルなプレイだ。
僕としては " Stella By Starlight ", " Georgia On My Mind ", " Cherokee "
がお気に入りだ。


Martin Taylor

" Artistry "

Linn Records  AKD 020


 

  1. Polka Dots And moonbeams
  2. Stella By Starlight
  3. Teach Me Tonight
  4. The Dolphin
  5. Georgia On My Mind
  6. They Can't Take That Away From Me
  7. Here There And Everywhere/Day Tripper
  8. Just Squeeze Me
  9. Gentle Rain
10. Cherokee
11. Certain Smile





彼の最近のアルバムは入手し易いと思いますが、
以前のアルバムは入手し難いかも知れません。
ジャズのCDを扱っているお店でお尋ね下さい。
彼のウェブ・サイトがあるので興味のある方はチェックしてみて下さい。
http://www.martintaylor.com/