第四十五回 トニー・マクメイナス


 
 

僕がトニー・マクメイナスというスコットランドのギタリストの事を知ったのは
つい最近の事で、とあるCDショップで何となく彼のCDを購入したのだが、
早速、自宅で聴いてみて驚いてしまった。
これほど表情豊かなギター・プレイを聴いたのは、ほんとうに久しぶりである。
彼はフィンガー・ピッキングがメインで、時々テンポの速いアイリッシュ・テューンでは
フラット・ピッキングも聴かせてくれる。

一時ピエール・ベンスーザンが自分のウェブ・サイトでトニーの事を紹介していたが、
ひょっとしたらトニーの方が表現力は上かも知れないと思ってしまった。
僕はこのところのピエールのプレイには少しばかり食傷ぎみで、
ああもテクニック優先でプレイされると、数曲で疲れてしまう。
その点でトニーのプレイには、野球でいうところの緩急のようなものが感じられ、
とても気持よく聴くことが出来る。

トニ−・マクメイナスは1965年にスコットランドのペイズレイという町で生まれる。
お祖父さんがアイルランド人だったので、幼い頃からアイリッシュ・ミュージックや
スコッティシュ.ミュージックに親しむ。
最初に覚えた楽器はフィドル、ティン・ウイッスル、マンドリンだったそうで、
10歳の時に初めてギターを手にしたという。

1994年にグラスゴウで催された " ケルティック・コネクション・フェスティヴァル "
という大きなコンサートの最終日にステージ・デビューした彼は、
その表情豊かなギター・プレイで2500人の聴衆を魅了したそうだ。
その後、トニーの名前はスコットランドのみならず、アイルランドでも知られるようになる。
1996年には初めてのソロ・アルバム " Tony McManus " をリリース。
内容はスコッティシュ、アイリッシュ・ミュージックの他に、ルイ・アームストロングの
 " Wonderful World " なども独自のアレンジでとり上げ、それはコンサートなどでも、
よくリクエストされるようになる。

2nd アルバムは " Pourquoi Quebec " というアルバム・タイトルで1998年に
リリースされた。
このアルバムはカナダのケベックで、地元の数人のミュージシャンと一緒に
レコーディングされた。

ここで紹介するトニー・マクメイナスの3rd アルバム " Ceol More " は、
今年になってからアメリカのコンパス・レコードからリリースされたもので、
前作から4年振りの素晴らしいギター・アルバムである。
何よりも彼の繊細なギター・プレイが100%生かされたレコーディング技術に驚かされる。
久しぶりにマイク・レコーディングの素晴らしさというものを気付かせてくれた。
お得意のアップ・テンポのアイリッシュ・テューンも良いが、個人的には
" Sliabh Gheal gCua Feil〜Kishor's Tune " 、や " Ye Banks and Braes "のような
ミディアム、スロー・テンポのスコッティッシュ、アイリッシュ・テューンが好きだ。
又、このアルバムでもジャズ・テューンを取り上げていて、
何とチャリー・ミンガス作の名曲 " Goodbye Pork Pie Hat " を見事なまでにアレンジし、
そしてプレイしている。
そのダイナミックスをフルに活用したリリカルなギター・プレイは、
とても37歳のギタリストのプレイとは思えない。
トニー・マクメイナスというギタリスト、今後が楽しみである。


Tony McManus

" Ceol More "

Compass Records  7 4331 2



 

  1. Sliabh Gheal gCua na Feile
      Kishor's Tune
  2. Lady Ann Montgomery's
      Eilish Brogan
      Paddy Fahey's
  3. The Lament for the Viscount of Dundee
      Dr. MacPhail's Reel
  4. Goodbye Pork Pie Hat
  5. The King of the Pipers
  6. Exile
      La Revu du Queteux Tremblay
      Pierre's Right Arm
  7. An Droichead Bheag
      The Chandelier
  8. Ye Banks and Braes
  9. The Old Bush
10. Suite de Ridees
11. Shalom Aleichem





最初の2枚のアルバムはスコットランドの Greentrax Recordings という
インディーズからリリースされています。でも入手は困難かも。
この最新盤はアメリカのレーベルなので輸入盤を扱っているCDショップ
で入手出来ると思います。
又、彼のウエブ・サイトがあるのでよければチェックしてみて下さい。

http://www.tonymcmanus.com