赤髪海賊団は乗組員も増えて船が手狭になり、より長い航海をする為にも 今よりも大きな船に替えることになった。中古の貿易用ガレオン船を買い付 け、補修と改造に向けて準備をしていた。 頭と副船長は船長室で設計図を広げていた。副船長は設計図を指差した。 「大砲の設置場所はこんなもんだ。ここには今の船に装備されているもの を持っていくとして、こっちには新式の飛距離の長いタイプを購入して設置 しよう。狙撃班たちに詳しい設計図を描かせる。現場にいる者たちが一番使 いやすいようにしないとな」 「うん、これだけあればいいな」 シャンクスが頷いた。 「船室の方はどうする?」 副船長が訊ねた。 「それはもう決めたつもりだ」 シャンクスは数枚の設計図の中から一枚取り出して机の上に広げた。副船 長はそれを見つめる。ほとんど申し分ない配分だったが、一箇所だけ不審な 点を彼は見つけた。船長室が妙に広い。他の船の船長室に比べれば狭い方で ある。だがシャンクスという男は、自分だけが快適な部屋に過ごし船員たち を廊下に眠らせるような船長たちとは違う。彼はそれを良く知っていたので、 これは描き間違いか何かだと推察した。 「なあ、あんたの部屋だけ広くないか?」 「うん、二人分だもん。これぐらいはあってもいいだろ?」 副船長は耳を疑った。 「は?二人分?」 「俺とお前の部屋、一緒に棲めば場所とらなくて良いだろ?」 「じゃあ、この間取りにある大きめの四角は…」 「うん、セミダブルのベッド。シングルじゃ狭いもんな」 シャンクスは無邪気な笑みを浮かべている。 一緒の部屋で一つのベッドに寝泊りしたら、いくらうちの船員たちが鈍く ても怪しまれる。副船長は血の気の引く思いだった。 「何も部屋を一緒にすることはないだろう」 「船内では無駄なスペースを作るなっていつも言ってるのはお前だぞ」 「同じ部屋にするにしたって、せめてベッドは二段にするとか…」 副船長は懇願した。 「やだ!二段にしたら狭くって騎乗位とか色んな体位でやれないじゃんか!」 「きっ…」 副船長は返す言葉に詰まった。そんなことを俺にさせるつもりでいたのか? ったく、この人は…。 「俺は別に大部屋でも構わん」 副船長は溜め息混じりに言う。今度はシャンクスが慌てた。大部屋なんかに 行かれたら、今よりも夜這いに行きにくくなるし、部屋に呼んでもストライキ される可能性がある。 「だったら、お互い別々に小さく部屋を作る。でも、その代わりに週三回き っちり俺の求めに応じろ!」 シャンクスは真剣な眼差しで副船長に条件を突きつけた。副船長はその表情 を見つめ返す。これ以上交渉がこじれるのはやばいと彼は感じた。 「分かったよ…」 「よっしゃぁ!」 シャンクスは相棒の返事を快諾した。