シャンクスが目を覚ますと、副船長が横にいた。新年の宴の疲れがまだ 残っているようだ。よく眠っている。 その寝顔を見て悪戯心を起こし、シャンクスは副船長の頬を舐めた。 「くすぐったいよ、シャンクス」 副船長はシャンクスの首の後ろを掴み、自分から離す。 シャンクスは自分の体がひょいと持ち上げられたのを不思議に思った。 だが、それを深く考える間もなく、足音が響き部屋の扉が開いた。 「ええっ!」 部屋に入ってきたのは死んだはずの海賊王G・ロジャーだった。 「そこをどいてくれ。俺の指定席なんでね」 ロジャーはそう言うとシャンクスの首根っこを掴んで持ちあげた。 シャンクスの体は宙に浮いた。運ばれる途中で鏡に映ったのは、ロジャー の手に掴まれている猫の姿だった。 「俺!猫になってるっっ?!」 自分の手を見ると猫の前足がそこにあった。 ふと、振り返るとロジャーが副船長に乗りかかっていた。副船長は嫌がる 様子は全くない。ロジャーの顔が副船長の顔に近づいていく。シャンクスは 急いで副船長の膝の上に乗って、前足でロジャーの顔をはたこうとした。 「なんだ?」 ロジャーは体を退けた。シャンクスは「近寄るんじゃない」と叫んだが、 声は「シャーッ」という音にしかならず、耳が下を向き、全身が総毛立った。 だが、手は意外なところから伸びてきた。シャンクスの首根っこを後ろか ら掴んだのは副船長だった。 「だめだよ、シャンクス。悪い子だ」 「なんだよ、なんでお前が俺を追い出すんだよ。俺だよ、俺だってば、どう しちゃったんだよ、ベン!」 シャンクスは体をひねってじたばたしたが、どうすることも出来ないまま 部屋の外に出され、目の前で扉を閉ざされてしまった。 「やめろ!やめろ!やめろ!ベンは俺のもんだ!手ぇ出すんじゃない!」 シャンクスは扉を思いっきり引っかいた。バリバリ音がしたが、扉は閉じた ままだった。 「あっ…」 覚えのある声が聞こえ、シャンクスは後ろへ倒れながら叫んだ。 うわあああああああ! 体をガバッと起こすと、そこはベッドの上だった。副船長も悲鳴に驚いて、 跳ね起きた。 シャンクスはじっと手を見つめた。見慣れた人間の手の形だった。次に 副船長の顔を見た。 「どうした?悪い夢でも見たのか?」 副船長が心配そうに覗き込む。 「お前は俺の副船長だよな」 「当たり前だろ」 シャンクスはその答えを聞くと、副船長に抱きついて泣き出した。 「すっごく嫌な夢見ちゃったよ〜。怖かったよ〜」 大の男がおいおい泣いている姿を見て最初は呆れていたが、シャンクスの 背中をポンポンと優しく叩いてなだめた。 一体、どんな夢だったんだ?副船長は聞きたいような聞きたくないような 奇妙な気持ちのまま、シャンクスをあやし続けた。