30.恐ろしや空気抵抗
| 小中学校の図工で使った画板を持ってその面を前に向けて走ると、すごい抵抗を感じます。人の走る速さなどし
れているにも関わらず、結構大きな力です。これが車の速度になると無視できるはずないです。今回は空気抵抗について考えてみます。
空気による抵抗は次のように表されます。 (1/2)(CD)(前面投影面積A)(空気密度)(速度)^2 CDは抗力係数などと呼ばれ、Stream では0.31と書かれています。10年くらい前は車のパンフレットに盛んにCDの値が宣伝されていました が、最近はさほどでもないように感じます。多分、コンピュータによる解析が進んで、どんな車でもいい値がでるように設計できるようになったのでしょうか。 この値は速度によって変化するのですが、あるところ以上では大体一定と考えてよいようです。空気の流れがはがれるとその後に渦ができ抵抗が大きくなります。プリウスやインサイトのようにルーフ後部を下に下にもってきてはがれが起きないようにすると、CD値が小さくなるのだと思います。 上の式の前面投影面積Aは車の前から平行に光りを照らしたときに後ろの壁にできる影の面積ということになります。これらを併せてCDAとして空力性能の一つとして表すこともあるようです。 この式から走行中の消費燃料のうちどれだけが空気抵抗のために使われるのかということを計算した結果を図1に示しました。横軸は速度、 縦軸はヨーロッパなどでの燃費表示によく使われてる100km走行で何リットル消費するかという値を使いました。青色が燃費(燃料消費) で、そのうちどれだけが空気抵抗のために使われるかを示したのが赤色です。時速100キロになると空気抵抗の分が半分になると聞いたことがありますが、大 体そのようになっています。
空気抵抗はまさに税金(累進課税)みたいなもので、金持ち(高速)には税をたくさん納め てもらうということです。時速120キロで走ると85キロの場合の約2倍の税金(空気抵抗によるガソリン消費)を納めることになります。 通常使われる燃費で表示してみたのが図2です。緑色がStream iL (FF)に相当します。調子に乗って、いろいろな場合について計算してみました。赤色の線は、アコード、黄色の線はステップワゴンで、4 段変速で計算しました。エンジンの味付けが違いますので、これらがアコードやステップワゴンの定速走行燃費にはなりませんが、むちゃくちゃ違っているとも 思いません。
時速が40キロよりも小さいと空気抵抗はあまり影響しませんが、高速になると、車の大きさ(背の高さ)がきいてきます。背の高い 1BOXカーで速度を上げた場合には燃費がのびないのは不思議ではありません。ほとんど、空気と戦っている状態です。以前、ドイツの アウトバーンをタクシーで走りましたが、ドライバーさん平気で速度をあげて、時速195キロで巡航していました。私の計算では、Stream iL(FF) ならば燃費7 km/Lを切るかもしれません。 ところで、空気抵抗を小さくすると高速での燃費は向上するはずですが、上の式を見て分かるように、我々運転手がなんとかできるのは速度 を下げることくらいです。ルーフキャリアは高速では燃費を下げる要因になります。トラックならばキャビン上にエア ディフレクターを設置すればCDを小さくして燃費を上げられますが、乗用車では...。 空気密度は温度によって変化します。夏と冬では30℃近く温度差があるので、空気密度は10%程度違ってきます。空気抵抗が半分になる ような高速域では、それだけで燃費は夏のほうが5%くらいよくなる計算です(電気自動車ならともかくエンジンは空気を吸い込んでいるので、総合的にはどう なるのでしょうか?)。あと、海抜の高い道路でも空気抵抗の影響のみは小さくなるはずです。 ここでの結論は、言い古されていますが、「燃費走行のためには高速道路では必要以上に 速度を上げないこと。」 |