44.磁力の威力


磁力で燃費アップという商品があります。定価は1万円以上しますが、これよりかなり安く買うことができま す。効果として燃費5-20%向上がうたわれています。ネタもつきてきたので、大枚はたいて購入しました。購入したはいいが、ボンネット開けるのが面倒で しばらく放置していました。暮れに窓ガラス洗浄液を補給したついでに燃料ホースに取り付けてみました。その後、忘年会やら休みの日があって運転する機会が なかったので、そのことをすっかり忘れてしまいました。年も明けて、しめ飾りをつけた車を見かけて、磁石はどうしたんだっけと考えて、すでに取り付けてい たことを思い出しました。結局、私はトルクアップ等については何も感じてなかったようです。

原理が書かれていましたが、私には破綻しているとしか思えません。私の頭が破綻している可能性もありますが。それはさておき、問題は結 果です。インターネットで検索すると燃費が劇的に向上しましたという、うれしい悲鳴もありました。何も変化なかったという方もおられます。

まず、通勤の燃費について、下表に取り付け前後での数値(平均)を示します。

区間2の燃費とはノンストップ区間での燃費です。この結果からすると、何も変わらないのではない かと思います。データ数は取り付け前が4、後が3です。気温の差もあまりないし、道路状況も似たようなものだったので、ばらつきも少なく、データ数が少な いという問題はないと思います。燃費が5-20%も向上するのであれば、燃費計で測定すれば1回でもはっきりとした差がでるはずです。

私は鈍感で何も感じなかったのですが、データを見れば加速の時に何かあるかもしれないと思い、加速時のデータを解析してみました。通勤 の5.3km地点はほぼ確実に信号につかまりますので、ここでの停止からの加速について比べてみました。図1にはガソリン消費量とエンジン回転数の関係を 示します。1速から2速にシフトアップされるまでの変化です。水色は装着前、黄色が装着後です。日によって多少アクセルの踏み込みが違うので、一致はしま せんが、どのデータも同じような変化をしています。

図2には、時速40キロに達するまでのガソリン消費を示します。300mくらい先の信号にも必ずつかまりますので、加速はほどほどで す。時速40キロに達するまでの所要時間が短いほど、加速が大きかったということになります。ガソリン消費量はほぼ同じか、所要時間が短いほうがほんの少 しだけ少ないように見えます。この結論はすでに述べた結果と同じです。水色は装着前、黄色は装着後ですが、違いはないと思います。

図3は時速40キロに達するまでの所要時間とそこまでの走行距離の関係です。所要時間が長いほど走行距離は長くなっています。ここでも 黄色と水色は同じ線の上に乗っているというのが自然な解釈です。図2の関係とあわせて考えると、ゆっくり加速しても速く加速しても、ある速度に達するまで のガソリン消費はほとんど変わらないが、走行距離はゆっくり加速するほうが長くなります。とはいっても速く加速した場合には早く一定速度で走れるので、燃 費のいい区間も長くなります。これらを総合してデータを見ると、ゆっくり加速のほうがほんの少しばかり燃費はよくなります。これは昔述べた結論そのままで す。

加速の大きさが違っても、同じ速度になるまでのガソリン消費が同じということは(そこまでに走った距離はかなり違う)、加速時には発生 したエネルギーは前に進むために使われる(ころがり抵抗で食われる)よりも、ほとんどが運動エネルギーとしてためられるということ です。いかに車の持つ速度貯金が大きいかが分かります。つまり、一定速度で走る部分では、そもそもガソリン消費は少ないので、効率の差があってもトータル では大きな差にはならない。加速の部分ではガソリン消費は非常に大きいため、結局ここで少しでも効率よく加速するほうが、トータルでは燃費がよくなるとい うことです。それでも、よほどすっ飛んでいくような加速をしなければ、たいした差にはなりません。繰り返しになりますが、それよりも減速です。

以上まとめると、今回の結論は以前と同じで、周囲の状況がゆるす限りゆっくり加速したほうが燃費はわずかによくなるが、普通の加速を する限りでは、そこまで気にすることはない、ということです。

磁石の話はどこ行ったんじゃ?ちなみに磁石のほうはすぐに燃えないゴミで捨てました。


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