栃木県には、北から那須・高原・日光の3火山群がある。火山の分類を「活火山・休火山・死火山」と教えられた世代には、高原山が活火山というと不思議に思うだろう。からくりは、活火山の定義が拡張され、新たに活火山に選定されたからである。現在、休火山や死火山は使われていない。また、高原山は単一の山名ではなく、釈迦ヶ岳(1795m)、鶏頂山(1765m)など周辺の山を総称している。
鶏頂山スキー場の西口登山口から、高原山最高峰の釈迦ヶ岳と鶏頂山を目指す。赤い鳥居を潜ると、笹が広く刈り払われた登山道は農道より立派で驚く。スキー場から駐車場まで滑走する為なのだろうか。すぐにゲレンデの下端に着く。秋を運ぶススキの花穂もすでに崩れ、枯れかかっている。カラマツと雑木林に挟まれたゲレンデを歩く。紅葉したつたうるしが宿主を飾っている。リフトの上部に出ると、始めて日光連山が姿を見せる。
雨を含んだ木肌は黒く、樹林帯を一層暗く感じさせる。弁天沼は小さく、ほとりに石祠が奉られている。前方に釈迦ヶ岳の丸い山体が見える。道は二手に分かれるが、上の鞍部で合流している。登山道は笹が綺麗に刈られ手入れが良い。だが、落ち葉と笹が、濡れた石や木の根を隠し滑り易い。また、笹の葉の鮮やかな緑と、渋い落葉は色のバランスが悪く落ち着かない。
急に風が通り、汗ばんだ体を冷やした。釈迦ヶ岳と鶏頂山の分岐の鞍部だ。標高が上がり黄葉も大分進んだ。ここから4、50分が本格的な登りになる。しっとりとした落葉の急斜面を黄葉の天蓋が覆い、前方には青空が覗く。北側の斜面が切れ落ち、随所にロープが張られている。 覗いて見ると結構迫力がある。笹や潅木が足元を隠しているので、特に注意が必要である。釈迦ガ岳山頂は、一等三角点があり釈迦像が奉られている。また、四囲に遮るものが無いので抜群の眺望がある。雲海に浮かぶ男体山、女峰山、太郎山、白根山。雲の大海から飛び出した小ピークは、さながら、波に洗われる岩礁のよう。爆裂火口を挟んで鶏頂山、その遥か右後方に、燧ケ岳の特異な山容が望める。北東には茶臼岳から関東平野が広る。
分岐点に戻り鶏頂山に登る。火口の向こうに釈迦ヶ岳から剣ヶ峰の稜線が延びる。黄葉に染まって往路を下山する。 |