戸隠山 10月2日〜3日 晴れ 優遊山歩き
蟻ノ戸渡りと剣ノ刃渡り(前方)
ナイフエッジ。思わず?四つん這い戸隠連峰は北から乙妻山、高妻山、五地蔵岳、九頭龍山、戸隠山、本院岳、西岳が円弧状に連なった山並みを指す。その中核にある戸隠山〔1904m)は、鋸歯状の鋭鋒が続く荒々しい山容と、東西がほぼ垂直に落ちる痩尾根を持つ登り甲斐のある山である。
夜半まで降っていた雨も上がり、雲間に星が数えられる。ヘッドランプをつけて、戸隠奥社入口から戸隠奥社まで参道を行く。随神門を潜ると見事な杉並木が続く。奥社につく頃には薄いガスも晴れ、戸隠山の前衛の岩峰群が望めた。
奥社で安全を祈願し、社務所横の登山道に入る。樹林帯を30分程急登すると尾根に上れる。振り返ると、戸隠スキー場、霊仙寺山、飯縄山が真正面に見える。間もなく、五十間長屋と続いて百間長屋と呼ばれる窟に着く。小さな祠の祭ってある「西窟」、そして「天狗ノ露地」を過ぎると、鎖場が続く本格的な岩稜の登りになる。
「蟻ノ戸渡り」「剣ノ刃渡り」を前にして、「胸突き岩」の鎖場で時間待ちのため大休憩。岩壁から横に生えているドウダンツツジの紅葉が青空に映える。このルートではコースタイムや待ち時間を気にしてはいけない。痩せた岩稜帯では、すれ違うこと、追い抜くことは不可能である。山にいられることを「感謝」し、「平常心」で先行者が安全に渡り切るのを待とう。
紅葉のドウダンツツジ胸突き岩を越えると、目の前に広がる峻険な蟻ノ戸渡り、剣ノ刃渡りの奇観に感動する。東側からガスが吹き上げている。幅は50cm位で西側は150mの絶壁。剣ノ刃渡りは更に狭く、まさに「刃」の上を歩く感じだ。無事に渡り切りホッとする。剱岳の岩場より遥かに緊張感を覚えた。
ガスは薄く、日差しを遮ることも稜線を越え視界を閉ざすことも無かった。狭い岩溝を抜けると「八方睨」だ。雨飾山、高妻山、妙高山、白馬岳、朝日岳と北から西の展望が開ける。なかでも、高妻山(2352.8m)は戸隠連峰の盟主で、優美な姿形と四囲を圧倒する存在感を誇示している。
戸隠山はここから一投足。九頭龍山は笹や潅木が伐採してあるが、小さな山名標識が目立たないところにあるため、うっかりすると気が付かない。一不動は高妻山との分岐点になっている。氷清水(水場)の細い水流は、暫く下ると心地よい瀬音を響かせる大洞沢となる。広葉樹のなか、渡渉を繰り返すと長閑な草原が広がる戸隠牧場に出る。

写真上 「蟻ノ戸渡り」「剣ノ刃渡り」。左右ほぼ垂直の絶壁。
写真中 「剣ノ刃渡り」は幅が狭くなり、そのうえ下り勾配。思わず?四つん這いになる。
写真下 待ち時間には景色を楽しむ余裕が欲しい。崖から横に伸びる紅葉のドウダンツツジ。

■差別侵食 戸隠山はフォッサ・マグナ(大きな裂け目の意)の海底隆起が成因。地質から見ると、海底に堆積した泥や砂、火山灰、生物の死骸等が固まった堆積岩である。戸隠山は大雑把に言えば、凝灰角礫岩・泥岩・砂岩・凝灰岩などで構成されている。地上に現れた岩石は、風化・浸食を受けるが「差別侵食」といって、岩石の性質により浸食の進み方に差が出る。「蟻ノ戸渡り」は砂岩や泥岩など柔らかい岩石の侵食が早く、硬い岩石が残った結果である。差別侵食は珍しい現象ではなく、カッパドキア(トルコ)の「妖精煙突」「らくだ岩」などは好例である。
また、同じフォッサ・マグナにある妙高山は、海底隆起後の火山活動で出来たため、山の様相は全く違っている。
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