鳥ノ胸山(1208m)は大室山、畦ヶ丸、菰釣山など西丹沢の主稜から、道志川に下る支稜上のピークである。東京からは交通の便が悪く、この山を単独で目指すことはなかった。冬の陽だまりハイキングか雪道散歩に手頃な山である。読み方は「とんのむねやま」にこだわる人もいるが、そのまんま「とりのむねやま」といわれることも多い。山名の由来は、殿ムレ(ムレは朝鮮語で山)が鳥胸に変化した説と、山の形が鳥の胸に似ているとの説がある。
道志の森キャンプ場(760m)から、東沢にそって少し進むと左手に登山口がある。登山道には雪は全くなかった。コースは、東の雑木ノ頭で支稜にのり、北に向きを変え鳥ノ胸山へ。山頂直下で秋葉山への道を北東に分けて、左の「道の駅どうし」に下る。上り2時間下り1時間の周回コースだが、標高差も少なく良く整備されていて歩き易い。枯れてドライフラワーになったススキの穂が小さく揺れる。緩やかな登山道には落葉と団栗が敷かれている。日向ぼっこのような山歩きに、身体はすっかりリラックスして、足を運ぶ意識さえ消えてしまいそうだ。ただ、残念なことに山頂以外は殆ど眺望がない。
雑木ノ頭で、大界木山から派生した支稜に合流する。ここから50〜60m下って、上り返したところが南峰である。鳥ノ胸山は西側が切り開かれ視界が得られる。道志川を挟んで正面に御正体山、スカイラインを右に辿ると牧ノ沢山、岩下ノ丸と高度を下げ、再び上りつめると今倉山に至る。この「鞍部」の後に、千草色をした三ツ峠、本社ヶ丸が霞んでいる。最近、富士山の撮影スポットとして人気といわれるが、山頂からは見られなかった。1時間ほどで道の駅に下山。山麓から見る鳥ノ胸山は、比べる山がないため、標高より大きく感じられる。 |