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には糖化作用があって、穀物のデンプンを糖に分解します。この働きをいちばん単純に利用して作るのが甘酒でしょう。デンプンだけでなく、お米の中のタンパク質も発酵の力でアミノ酸に分解されているので消化吸収がよく、さらにビタミン類など有用な栄養素が増えていて、「飲む点滴」とも言われます。普段はもちろんのこと、スタミナドリンクとして体力の落ちているとき、胃腸の弱っているとき、病気のときにはもってこいです。酒粕入りのちょっとお酒っぽい甘酒とは違って、麹と米だけで作る甘酒は優しい甘さのお米ドリンクで、小さな子どもが飲んでも安心です。


甘 酒

濃い甘酒です。飲むときはお湯で割って、しょうがをすりおろして加えるとおいしい。夏場は冷たくして、抹茶なんかと混ぜても美味しいです(こんな感じ)。また、この甘酒を使って、べったら漬けなども作れます。

材 料

米麹  1合
もち米 1/2〜1合
麹が新鮮であれば、ほぼ同量の米を糖化する力があるので、麹:米=1:1の割合でしっかり甘い甘酒になりますが、保温状態が万全でなかったり、スーパーの乾燥麹を使う場合、生麹でも鮮度が落ちているような場合は麹の割合を増やすといいでしょう。また、米はうるち米でもいいのですが、甘味は薄くなります。

作り方

1. 米は研いで、3倍程度の水につけてしばらく置いておく。火にかけて、沸騰したらとろ火で炊いてお粥にし、火を止めてそのまましばらく蒸らしておく。
2. お粥が70度くらいまで冷めたら、米麹を加えて混ぜる。(この時点で55〜60度くらいになる。)魔法瓶や保温ジャーなどに入れてそのまま半日くらい保温状態を保つ。
3. どろりとしたお粥が糖に変わってさらさらになり、甘くなっているのを確認したら、別の容器に詰め替えて冷蔵庫にいれて保存する。冷凍保存も可能。


完成した甘酒。右は酒まんじゅうの酒種用に2倍に薄めたもの。

70度の熱いお粥に混ぜた時点で、熱に弱い麹カビたちはお陀仏しまうわけですが、カビが作った酵素は消えずに働きます。酵素が最もよく働く温度が55〜60度。甘酒を作ってしばらく置いておくと乳酸菌が繁殖して酸味がでてくるようで、酸味の出た甘酒もおいしいという人もいますが、これを避けるにはいちど加熱(火入れ)しておくと持ちがいいようです。

またさらに置いておくと、野生酵母が働きだして甘酒の糖分を二酸化炭素とアルコールに分解しはじめます。このアルコール発酵がどんどん進むと、甘酒はドブロクになり酒税法違反を犯してしまうことになります。でも、残念ながらこうやってできたお酒はあまり美味しいものではないらしく、有害菌が混じっているかもしれないので、生で飲まない方が身のためかもしれません。美味しいお酒を作るには、一気に甘酒にしてからアルコール発酵させるのではなく、もっとゆっくり時間をかけて糖化と発酵を並行させて行う必要があるそうです。いずれにしても、自然発酵で美味しいお酒を作るのは至難の業でしょう。ちなみに、市販の日本酒には純粋培養の清酒酵母が使用されています。

甘酒が涌いてしまったら、酒まんじゅうや酒種パンを作るのも楽しいものです。
酒種を使って古くから作られていた酒まんじゅう。昔は発酵させた甘酒のようなものを「まんじゅうの素」として売っていたりしたそうです。この酒種を応用して日本で初めてあんパンを作ったのが銀座の木村屋なんだとか。酒種は日本特有のものですから、大切に受け継いでいきたいものです。





酒まんじゅう

酒まんじゅう材 料(12個分)

酒種  200cc (上記甘酒100cc+水100ccで作る)
小麦粉  300〜350g
アバウトですみませんが、パン生地より若干堅めなくらいの捏ねあがりになるようにします。
小麦粉の種類は薄力粉だけでもできますが、強力粉を混ぜると弾力がでます。

砂糖  少々 (酒種に甘みが残っていれば不要)
塩  少々
小豆あん  300g
甘くないおやき風のあんもおすすめ(↓おかずパンの欄参照)。

作り方

1. まず酒種を作る。甘酒を水で薄めて蓋つきのガラス瓶などに入れてあたたかい所に置いておく。カビ防止のために一日に数回瓶をふって撹拌しながら、発酵するのを待つ。(夏場で2、3日かかる。)

※ 発酵の目安は、蓋を振るとシュワシュワ音をたてて炭酸が出てくるようならおそらく大丈夫。嘗めるとまだ甘みがあり、若干の酸味を感じる程度。心配であれば、少しだけ取り分けて小麦粉と混ぜ、かさが膨らむのを確認してから使うよいです。すぐに使わない場合は冷蔵庫に入れておき、時々甘酒を追加するといいです。
※ この酒種は、濾さずにそのまま生地に入れてもいいですが、濾して残った固形物(いわゆる酒粕)を、スプーン一杯ほど取り分けておいて、次に酒種を作るときに加えればすぐに発酵します。
※ 甘酒がなければ、冷やご飯に米麹と水を混ぜ、そのまま置いておくと発酵してきます。ただ、少なくとも最初は甘酒から作ったほうが失敗が少なく、風味もいいように思います。  
※ 酒種原液には独特の風味がありますが、同量の小麦粉を加えて練って、2、3回種つぎすれば癖の少ないサワー種になります。


2. 酒種に薄力粉、強力粉、砂糖、塩を混ぜて、滑らかになるまでよく捏ねる。ボールに入れて、かさが2倍近くになるまで2〜4時間発酵させる。(発酵時間は気温や種の状態で違う。)

3. あずきあんを分けて丸める。発酵した生地を台にとりだし、あんと同じ個数に分割して丸めてしばらくおく。麺棒で平たく伸ばしあんを包み、綴じ目をしっかり綴じて、5cm四方位に切ったパラフィン紙などの上にのせる。せいろなどに並べ、ひとまわり大きくなるまで発酵させる。

4. よく蒸気のたった蒸し器で20分ほど蒸してできあがり。

(2001.1, 2006.3改訂)


蒸しパン

蒸したてのアツアツにバターを塗って食べるとなかなかいけます。酒種と時間さえあれば、ただ材料を混ぜていくだけでできるので楽ちんです。


材 料(プリン型6〜7個分)

酒種(酒まんじゅうの項参照)  130cc
砂糖  大さじ2
味噌  大さじ1
卵  1個
薄力粉 200g
煮豆、栗の渋皮煮、レーズン、さいの目に切ったサツマイモ、リンゴの薄切りなど

作り方

1. 酒種に、砂糖、味噌、卵を加えて泡立て器でよく混ぜ、さらに薄力粉を入れてしゃもじなどで滑らかになるまで混ぜる。最後に煮豆や栗など好きな具を入れて均等に混ぜる。
2. プリン型などに紙を敷き、1の種を半分くらいまで入れ、2倍くらいにふくらむまでよく発酵させる。
3. よく蒸気のたった蒸し器に入れて、15〜20分、上部が割れて竹串をさして何もついてこなくなったらできあがり。

※ この生地を蒸さずにオーブンで焼いてもおもしろい柔パンができます。




酒種あんパン

木村屋のあんパンがどうやって作られているのかは知らないのですが、酒まんじゅうの酒種でそのままパンを作ってもよく膨らんで美味しくできます。(レシピ一部変更:2002年5月)

あんぱん材 料(約12個分)

酒種(酒まんじゅうの項参照。酒粕ごと使用) 200cc
強力粉 400g
卵  1個
砂糖  大さじ2〜3(酒種の甘さによって加減)
塩  小さじ1
バターあるいはマーガリン  20g
あん  400g
ごま、けしの実など

作り方

1. 酒種、卵(大さじ1ほどつや出し用に取っておく)、砂糖、塩を入れてよく混ぜ、強力粉を入れて捏ねる。滑らかになったらバターを入れてさらによく捏ねる。まるめてボールに入れ、生地が2倍になるまで発酵させる。
2. 生地とあんを同じ数に分割して、酒まんじゅうの要領で成形し、菜ばしのお尻などで真ん中をしっかり押しておへそをつける(生地を破らないように注意)。ひとまわり大きくなるまで発酵させる。
3. 残りの卵を少量の水で薄めてあんパンの表面にはけで塗り、ごまやけしの実をトッピングして、200度のオーブンで20分程度焼く。 

あん玉あんこも何種類かあるとうれしいもの。左は、小豆、うずら豆、えんどう豆の3種類のあん。いろいろそのつど作るのは大変なので、まとめて作って冷凍しておくと便利。




おかずパン

おからパンさすがお米から作る酒種だけあって、甘いあんだけでなく、おやきのように和風のおかずを入れてもよく合います。きんぴらごぼう、ひじきの煮物、なすの味噌炒め、ポテトサラダ、高菜漬の油炒め等々、ごはんのおかずの余ったのを入れて焼いて、冷凍しておけば朝食やお弁当に手間なし。右はおからとひじきの味噌風味あん。このときは、粉の半量を全粒紛にし、卵は入れずに水分に豆乳を使いました。栄養価的にも申し分なしです。

(以下追記:2003年1月)
おやきその後の経験より、この手のおかずを入れる場合、パンにするよりは、やっぱり蒸して酒まんじゅうにするほうが格段に美味しいように思われます。酒種は焼くより蒸してこそ風味が引き立つようです。さらに蒸したものをフライパンか網でこんがり焼いて、おやき状態にして食べると最高です。

よく入れる中身は、旬の野菜(茄子、ピーマン、人参、大根、キャベツ、etc.)をごま油で炒めて、味噌、コチュジャン、醤油、砂糖等で濃いめに味つけして、場合によってはキムチや高菜の古漬を混ぜたりとか。もちろん、ひき肉を使って肉まん風にしても当然美味しいのですが、野菜だけでも味噌やごまなどをうまくコクづけに使うことで、ヘルシーで美味しいおやきになります。いろいろオリジナルな中身を考えるのが楽しいおまんじゅう作りでもあります。

(2001.10)

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