食べもの目次トップ


サワー種(sourdough<英>、Sauerteig<独>)のパン作りが楽しいです。野生酵母を使ったサワー種は古代エジプトの昔から作られている原始的なパンの発酵種です。この種はそのつど最初から作るのではなく、作ったパン生地の一部を使い切らずに少しだけとっておいて、また次回の元種にして使うという具合に、延々と使い回すことができます。サワー種の中には酵母だけではなく乳酸菌も生きているので、焼いたパンには独特の酸味があります。酸は他の雑菌の繁殖を押さえて酵母の棲みやすい環境をつくるのに不可欠で、しかも焼きあがったパンの日持ちを良くするという大切な役割を果たしているのだそうです。

サワー種でパンを焼くことの利点はいろいろです。まず、市販のイーストを使わなくてもパンが焼けるので経済的。それから、イーストは白い小麦のパンを焼くのに適した酵母だけを培養したものなので、ライ麦や雑穀をたくさん入れると膨らみが悪いのですが、サワー種の中には多様な個性を持った酵母が棲んでいて、雑穀の多く入ったパンでも膨らますことができます。そして、イーストパンよりも発酵に時間がかかる分、ゆっくりと生地が熟成され、パンの味わいが複雑になります。ただ、当然のことながら、必ずしも「複雑な味」=「美味」というわけではなく、作り手の技量と個性が問われるところです。それがまたパンを焼く醍醐味につながるんですね。



サワー種作り

サワー種を作るにも、いろんな方法があります。昔から発酵パンを焼いていたような国々では、それぞれの地域に適した独自のレシピがあるのでしょう。日本では、よくレーズンなどから野生酵母を取りだしてパン種を作る方法が紹介されていますが、もっとシンプルに粉と水だけからでもパン種はできます。酵母は、小麦やライ麦などの穀物にも付着しているし、空気中にも漂っているからです。酵母はパン生地の中のように酸素のない状態では、まわりの糖分をエサにしながらアルコール発酵を行い、炭酸ガスを発生させて生地を膨らませます。要は、人間が酵母にこの環境をうまく整えてあげればいいわけです。

ふだんパンを焼くときによく使う白い強力粉でサワー種を作っておくと、中種を作ったなかから次回の元種をとりわけておけるので便利です。でも、同じ小麦粉でも発酵しやすい粉とそうでないものがあるので、強力粉でうまくいかなかったら、中力粉や薄力粉でもいいので別の粉で試してみるといいと思います。また、精白粉でなく全粒粉で作る人もいますし、ライ麦粉を混ぜてもまた違った風味の種になります。ライ麦の配合の多いパンを頻繁に作る場合は、ライ麦100%のサワー種を作っておくと便利です。(ドイツのライ麦サワー種については、ベルリンのみちえさんのHPに詳しいです。)

以下は、粉と水だけを材料にしたサワー種の作り方の一例です。気温が20〜25度くらいのときがいちばん作りやすく、冬だったら暖房の近くなど暖かい所に置いて保温する必要があります。

1. 小麦粉:水=2:1位を捏ねて団子にし、小さなボールやビンなどの容器に入れ、軽く蓋をして一日置く。

2. 翌日、最初と同量の小麦粉と水を加えてまた捏ねておく。

3. 数時間で種が2〜3倍に膨らみ、よい発酵臭(どういう匂いなのかは説明しにくいのですが、要するに異臭でなく、食べてもいいようないい匂い)がするようになるまで、1、2の工程を繰り返す。
だんだん量が増えてくるので、最初はごく少ない量で始め、増えすぎるようだったら思い切って半分捨てる。4、5日経っても膨らまなければ、違う粉を入れてみるとか、蜂蜜(糖分補給のほか、花の酵母も付いている)やモルトパウダーやモルトエキス(小麦粉のデンプンを糖に変える)があればちょっと入れてみるとか、あきらめてやり直すとか、いろいろやってみる。

4. 今度は全体で粉:水=1:1の割合のゆるい種になるように、粉と水を足す。やはり数時間でかさが3倍くらいになるようなら使用可能。冷蔵庫で保存する。最初のうちは、まめに粉と水を足して種つぎしたほうがいいと思いますが、安定してきたら2週間に1回くらいパンを焼くついでに種つぎするだけでよくなります。


数時間後

粉と水の割合は2:1とか1:1で作っていますが、これも当然、地域差や個人差があり、最初から粉より水分の方が多いゆるゆるの状態で始めるやり方もあります。たとえ同じ材料、同じ分量、同じ方法で作ったとしても、季節や環境によって同じような種になるとは限らないので、実験だと思っていろいろ試してみる中で、自分に合った方法を探すのがいいと思います。なかなかうまくいかないようだったら、粉だけで作るのはあきらめて、レーズン種や酒種などをもとに、それに粉を加えて種つぎしていくと楽だったりします。




サワー種のパン

以下はうちで作っているサワー種パンの、だいたいこんなもんかな〜というレシピです。計量も大ざっぱだし、配合もそのときどきで変わったするので、焼くたびに出来上がりが違ったりしますが、その意外性がまた楽しくもあります。



白パン

その日の気分で、粉の一部を全粒粉やライ麦粉にしてみたり、ゴマやクルミやレーズンやキャラウェイシードなどのスパイスを入れたり、ヨーグルトが余っているときは水のかわりに使ったりします。砂糖や油脂は入れないことも。

材 料

中種 サワー元種(小麦)50〜100gくるみパンとごまパン
   強力粉  150g
   水  150cc

本種 中種  300g
   強力粉  350g
   水  150cc
   塩  小さじ2
   砂糖  小さじ1
   食用油  大さじ1

作り方

1. 中種を作る。ボールに元種に水を加えよく溶かし、粉を加えて滑らかになるまで練る。皿などで覆って2〜3倍に膨らむまで数時間〜半日(元種の質や量、気温によって違う)おく。
2. 中種から最初に入れた元種の分だけまた次回の元種用にとりわけておく。本種の材料をすべて合わせ、弾力のある生地になるまで台の上で捏ねる。
3. 生地をまるめてボールに入れ、蓋をして2倍くらいに膨らむまで数時間発酵させる。
4. 生地を取り出し、パンチダウンして好みの形に成形、もしくは型にいれる。やはり2倍くらいに膨らむまで仕上げ発酵する。
5. 200度くらいのオーブンで30〜40分焼く。




黒パン

全粒紛はライ麦、小麦ともに、穀物ミルでそのつど挽いて使っています。

材 料

中種 元種(ライ麦ベースの方がいいが小麦でも可)50gRoggenvollkornmischbrot
   ライ麦全粒粉  150g
   水  150cc

本種 中種  300g
   ライ麦全粒粉  150g
   小麦全粒粉  150g
   水  200cc
   塩  小さじ1と1/2
   ひまわりの種など

作り方

1. 中種を作る。ボールに元種に水を加えよく溶かし、粉を加えてよく練る。皿などで覆って2倍に膨らむまで数時間〜半日(元種の質や量、気温によって違う)おく。
2. 本種の材料をすべて合わせる。ライ麦と水分の割合が多いとべとべとした生地だが、ボールのなかでなるべくよく捏ねる。(手にはべとつくのでしゃもじを使って捏ねてます。けっこうしんどい・・・) 最後に好きなナッツやスパイスなどを入れてまとめる。
3. そのままボールに蓋をして1.5〜2倍に膨らむまで数時間発酵させる。
4. 生地を取り出して型に入れ、上を平らにならす。3割がた膨らむまで仕上げ発酵する。
5. 表面にはけで水を塗って、200度のオーブンで40分くらい焼く。(写真はオートミールをまぶしています。)




じゃがいもパン

じゃがいもがダブついているときに作るパン。砂糖や油脂を入れなくても、ふっくらとした柔らかいパンになります。味は意外にあっさりしています。さつまいもやかぼちゃを使ってもいいかも。

材 料

中種 元種 50〜100gじゃがいもパン
   強力粉 100g
   水 100cc

本種 中種 200g
   強力粉 200g
   じゃがいも(ゆでて潰す) 250g
   水か牛乳 50cc位(じゃがいもの水分によって加減する)
   塩 小さじ2弱

作り方は白パンの場合と同じ。

(2001.10)



食べもの目次トップ