バレエ公演(2005年12月19日) |
バレエ公演の「くるみ割り人形」のオーディションの案内を見つけたのは8月でした。「くるみ割り人形」はクリスマスになると世界中の劇場で上演され、冬の風物詩ともなっているバレエです。これを観ないと年が明けない!!という人もいるそうで、毎年多くの人達が公演に行きます。
「くるみ割り人形」はここマディソンでも毎年12月に行われているホリデーシーズンの定番です。去年からはマディソンに大型のホールがオープンしたのを機会に、内容を一新してより盛大に行われるようになりました。そんな行事ですから、バレエを習っている子供達にはいわば憧れの舞台。長女もそんな子供の一人でした。しかし、「やっぱりアジア人だから無理じゃない?」とか、「あんな舞台に立って緊張したらどうする?」など、親たちは半分諦めていました。しかしながら、本人の希望は強く、まあ本人がやりたいのならばと落ちることを覚悟して応募することにしました。
そして9月。オーディションの会場に行くと凄い人の数!!数百人の子供達。しかもアジア人は彼女だけ。うーん、これは厳しいかも・・。オーディションはドアを閉められた部屋の中で行われました。子供達の顔に緊張感が走ります。窓の隙間からのぞき見していたママによると、娘は緊張したせいか、みんながスキップするところを「欽ちゃん走り」で審査員達の前を通過。全く調子が出ません。これで万事休すかと諦めました。まあ仕方ないなと娘を慰めて、頑張ったご褒美にアイスを買って家路につきました。
そして2週間後。主催者からの手紙。まあどうせ不合格通知だろうと期待もせずに中を開けると、「合格」(と言っても英語ですが)。しかも3役に抜擢!!世の中分からないものです。
それから約3ヶ月間の長い練習が始まりました。出演者は大人から子供まで年齢も様々。初めて経験する雰囲気に少し圧倒されましたが、長女は最年少だということで、大人から子供まですごく可愛がってもらいました。練習時間の2時間半の間は親から離れて練習をしなければならなかったのですが、それでもすっかり練習が楽しくなりました。
そしていよいよ一週間前。会場となったホールへ毎日のように足を運んで、夜遅くまでリハーサルが行われました。さすがに元気だった子供達も4階建ての大ホールの舞台に立って、実感が沸いたせいか緊張して動きが止まってしまいました。そして、公演前日のリハーサルでは長女だけがあらかじめ定められた場所へ移動することができず、ポツンと一人で舞台に取り残されてしまうというミス・・・。おいおい大丈夫かい?親が緊張してきてしまいました。
そしていよいよ本番直前。本番が始まる2時間前にキャストの控え室に娘を送ります。入り口のドアの向こうはキャスト以外は進入禁止。ドアの前で娘としばしのお別れをしました。開場時間にホールへ向かうと、すでにくるみ割り人形やバレエの本を持った子供や着飾ったご婦人や紳士で溢れていました。4階建ての大ホールは超満員です。親も緊張してきました。開演まで待っている間に頭の中を心配がよぎります。無事に決められた場所へ移動できるだろうか?金髪のかつらを落としてしまうのでは?また一人で舞台に取り残されたらどうしよう?
ディレクターの挨拶、そして指揮者が登場してオーケストラが演奏を始めます。いよいよ開演です。彼女に与えられた役3つ。一つ目は第1幕パーティのシーンの「Tiny English girl」(イギリス人の少女)。これはソロ役です。でもソロと言っても舞台に出ている時間はわずか数十秒。クリスマスプレゼントを見つけて喜んで飛び跳ね、男の子とプレゼントのお人形を取り合いするという演技です。観ていると舞台の袖から見慣れた姿の子供が長いドレスを着てちょこちょこっと走ってきます。会場からは愛らしい動きに溜息が聞こえます。その時にこの役は彼女にぴったりだということに気づきました。恐らくこの役は子供らしく無邪気に舞台を走り回ることがポイントのようで、今にして思えば彼女の子供らしい動き「欽ちゃん走り」がディレクターの目には止まったのかもしれません。
そして次の役はパーティが終わって暗くなった部屋に出てくる「Baby mice」(赤ちゃんネズミ)です。舞台でチーズを食べるふりをして、主役の少女クララが起きてくると驚いて飛び上がって逃げ出すというもの。この役は顔面を灰色に塗りたくって頭にはネズミの耳をつけ、お尻にはながーいしっぽをつけます。会場からは笑いが聞こえます。

そして最後は花園を飛び交う天使「Garden attendant」役です。これは公演前日のリハーサルで長女だけがポツンと一人で舞台に取り残されてしまうというミスをした役です。観ているこちらの緊張もピークに達します。しかし心配をよそに無事に役をこなしてくれました。そして約1時間半の公演は終了。観客席にいる親は緊張して気が付けば公演が終わっていたという感じでした。
結局、彼女は全部で3つの公演に出演しました。本人は公演を楽しむことができた様子です。公演が終わって彼女の感想を聞いたところ、本人はもっと舞台に立ちたいそうで「あと一回で良いから舞台に立ちたい!!」などと言っていました。娘にとって良い思い出になったのではないかと思います。
そして、最終公演が終わった後は近くのホールを借りて、打ち上げパーティがありました。それが凄かった。ダンサー達のためのパーティだからでしょうか。DJのおじさんも二人きて、臨時のブースを開設。子供も大人もみんなディスコミュージックに合わせて踊りまくっていました。会場の雰囲気につられて、パパは長女と「ダンシングクイーン」を踊ってしまいました。(おわり)
