ちょっと怖い話(2005年12月8日)

これは最近身近な人が経験したお話。彼女はアメリカ人なのですが、誰かが何処かに掲載した彼女の個人情報が勝手に転載されているところをたまたま発見したそうです。しかもあたかも本人を装って写真とコメントまで付いていたそうですから、かなり悪質です。こんな話は有名人の世界で聞いたことがありますが、こんな身近で起こるとは驚きました。

今の時代、その気になれば、ネット上から個人情報は簡単に入手できますよね。日本でも子供の写真がアダルトサイトに転載されていた話を聞いたことがあります。さらにネット上に散らばっているバラバラな情報を集めて、パズルのように組み合わせるだけで、その人の経歴や趣味、住所、家族構成など様々な情報が分かる可能性があります。例えば、いくら子供の氏名や顔写真などを公開しないように気を付けていても、誰かがその残りのパズルのワンピースを渡してしまえば、一気にパズルが完成してしまい、たちまち親や子供の情報は人前に曝されることになります。

例を作ってみましょう。弘前にある食品店「海峡フーズ」を経営している佐藤健二(仮名)さんという人がお店のブログにこんなことを書いたとします。

「私の息子は先日成人式を迎えた。生意気にも作家の講演の後に式で答辞を読んだそうで、あいつもいつの間にか大きくなったと思いました。式の後は高校時代のサッカー部の友達と飲んで帰ってきたらしい。彼らは3年前に青森県大会で優勝したチームに居たんですよ。その時の主将は田中剛。今はFリーグで活躍しています。でも有名になる前はよく我が家に遊びに来てました。」

そして、別のサイトには友達(匿名)がこんな記事をブログに書いていました。

「ゆうじはこの間の成人式で答辞を読んだ後に、階段から落ちたらしいぜ。キーパーしてたくせに、運動不足かなあ。オクトパス弘前(サッカーチーム名)の田中とは大違いだ。最近はキャンパスに来てないらしいから、きっとまた「お気楽(店の名前)」にでも入り浸って麻雀して居るんだろうなあ。でも昨日かなあ、ヤツが学校から帰ってきたところを金木駅のホームでバッタリ会ったよ。その時は高校2年の妹も一緒だった。ヤツの妹はすげえー美人で、頭が良くて、一番頭のいい公立高校に通っているらしいぜ。ヤツとは大違いだな」。

さて、一番目と二番目のブログには、「成人式」「答辞」「サッカー」「田中」「弘前」というワードが共通しているので、ネットを検索すれば、二番目のブログを見つけるのは容易でしょう。そしてその結果を重ね合わせると、

・弘前にある食品店「海峡フーズ」を経営している佐藤健二には息子(佐藤ゆうじ)と娘が居る。
・息子は20歳か19歳で学校の近くに「お気楽」と言う名の雀荘がある弘前から電車で通える大学(ウミツバメ大学)に通っている。
・妹は美人で高校2年である。おそらく金木駅から電車通学である。
・自宅は金木駅周辺である。

という個人情報が手に入ります。そしてさらに、おそらく作家を招待した成人式を検索するか、あるいは3年前に青森県大会で優勝し、主将が Fリーグで活躍しているチームの元のキーパーを検索すれば、名前が「佐藤勇二」であることが判明します。また地域情報から一番頭のいい公立高校が「津軽高校」だと分かれば、「2002年」「津軽高校」「合格」「佐藤」でネットで検索すると、たまたま中学時代に通っていて塾のホームページに合格者名簿が掲載されていたりすると「佐藤慶子」と言う名前と中3の時の顔写真が入手できてしまう、っと言う訳です。フルネームが分かれば後は芋蔓式にもっと詳しい情報が入手できる可能性があります。おそらく自宅の住所と電話番号までたどり着けるかもしれません。

この中で最も重要な点は、「佐藤」であることが分かってしまったことではないでしょうか?それが分からなければ娘さんの顔写真までたどり着けなかった筈です。二番目のブログからは写真まではたどり着けません。

要するにパブリックなプログ(1番目のプログ)にプライベートな内容を記載したことが問題を深刻にした訳です。ホームページやブログにはパブリックな物とプライベートな物がありますよね。パブリックな物は会社、お店、芸能関係などでしょうか、宣伝や紹介用ですから個人や団体が特定されるべき物ですよね。プライベートな物は家族とか趣味とかのホームページですから、個人が特定されたところで良いことはありません(有名になりたい人は別ですが)。つまり公私の境目がはっきりしないと問題が起こるような気がします。

例えば家族のホームページに会社の内部情報を書くと、情報漏洩になる可能性があります。居酒屋で上司や部下の悪口を言っている分には構いませんが、会社や個人が特定できそうな情報を入れて、悪口なんて書いたらいずれは見つかる可能性があります。アメリカでは会社の内部情報をブログに記載したために解雇される人も多いそうです。一方、会社のホームページやブログに自分の家族のホームページを紹介したり、リンクするのは危険です。そんなことをしたら、会社の個人情報を出発点にして、家族の情報が全て暴かれる危険性があるからです。

ではネット上に個人情報の流出を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?個人的な意見として、まずは公私を分けることではないかと思います。そしてホームページの記載内容には気を付けないといけませんね。場合によっては知らないうちに他人を危険に陥れることになるかもしれません。ウェブの先進国である米国ではプログに他人の情報を無断で記載した為に訴えられるケースが増えているそうです。日本ではまだ聞いたことがありませんが、近いうちにそのような日がやってくるのかもしれません。