「依願退職」

...............高任和夫
...............講談社文庫467円+税
...............ISBN4-06-273367-6


 会社に依存するのも良いけれど、会社以外のところにも居場所を見つけておかないと、定年後や会社が潰れてしまったときに路頭に迷っちゃうよという本。

 その中に山一証券の出来事が出てくる。それが胸を打つ。
 仲間を思う気持ち。家族を思う気持ち。家庭で夫を信じる妻の気持ち。
 久しぶりに涙で活字が滲んだ。

 中高年の面接風景として、

      「あなたはなにをやってきたんですか?」
  「ずっと営業をやってきました。」
「営業って、なにをやってきたんですか?」
  「こういうことをやってきました。」
「それしかやらなかったんですか?」
  「どういうことですか?」
「英語は話せますか?」
  「いいえ。」
「パソコンはどうです?」
  「いいえ。」
「たとえば、こういうことはできますか?」
  「そういうことは、やったことがありません。」
「じゃあ、なにもしていなかったのと同じじゃないですか。」

という話がでてくる。こういうのを目の当たりにすると、「自分は何ができるだろうか?なにもできないかもしれない。」などと思ったりする。

 山一を出て会社を起こした人の思い出話がある。

       ・・・・仲間と八方尾根へスキーに行き、山小屋みたいなところで一人でコーヒーを飲んでいたら、世の中のばかばかしさとか、ストレスだとかが、すうっと消えてしまうのを感じたという。・・・・

 今の作者Jといっしょだなあ。

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