北の海

...............井上靖
...............新潮文庫 (上)580円(下)620円


 井上靖の作品を読むのは「氷壁」に続く2作目です。

 この作品は自伝三部作の第三作であることを、読み終わってから巻末の解説で知りました。そんなことなら「しろばんば」、「夏草冬濤」と順番に読めば良かったと思ったのですが後の祭りです。

 台北にいる両親と離れて沼津のお寺に下宿している主人公洪作は高校受験(現代の大学試験)に失敗し、ひとり沼津で浪人生活をしています。その浪人時代の暮らしぶりが淡々と描かれています。

 母校へ柔道の練習に毎日行き、夏には四高(現代の金沢大学)の柔道合宿へ参加します。最終的には台北の両親の元へ旅立つのですが、それまでの半年くらいのできごとです。

 今時の小説のように大きな事件が起こったりするわけではないのですが、とてもおもしろいです。洪作の極楽とんぼ的な暮らしぶりもさることながら、その他の登場人物(特に四高の柔道部の猛者達)がいい味を出しています。なんともいえないほんわかとした青春を感じます。

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