「大人たちの失敗」

...............櫻井よしこ
...............PHP文庫495円+税
...............ISBN4-569-57844-6


 桜井よしこさんというと「日テレ系のニュースキャスター」との印象・情報しかなかったが、もともとジャーナリストの道を歩んで来たということをこの本で知った。ハワイ州立大学を卒業して日本に帰ってきて、「アメリカン・サイエンス・モニター」という小さなアメリカの新聞の東京支局の助手がスタートという経歴だそうだ。

 著者は最近では「薬害エイズ問題」などでジャーナリストとしての力を発揮しているが、この本では、いろいろな角度から「日本」のあり方にメスを入れ、少しずつ狂ってしまっている歯車は「どうしてそうなってしまったのか?」、では「どうすればいいのか?」についてわかりやすく述べている。


 憲法9条と自衛隊の問題についての章が有り、以下のように書いている。

  軍隊のない国家など存在しません。防衛庁を防衛省に格上げし、自衛隊を軍隊として認めるのが自然です。・・・

 作者Jはこういうことについてはしっかりとした意見を言うことができない。よくわからないというのが本当のところ。「自国民を守るためには戦争も辞さない」あるいは「抑止力として軍事力は必須だ」ということもわからないでもない。一方で、戦争ほど悲惨なことはないから戦争は反対。このへんの矛盾はどうにもうまく説明できない。基本的に力で人を抑えることはできないと思うのだが。
 会社とかでもそうだが、「自分の部下のためなら何でもする」「自分の会社のためなら少し理不尽なことでもする」という考えかたがある。が反対側から見ると、どうにもおかしいと思うのだが。


 日本の教育問題についても触れている。作者Jが子どもの頃は、「学校に行くのは当たり前」「先生や規則に従うのは当たり前」であったと思うが、ここのところ「自由教育」などと言って、「学校にはいきたくなければ行かなくていい」「先生の言うことも場合によっては聞かなくていい」というような話をよく聞いてきた。これは「規則で縛られた教育をしていたからクリエイティブな発想ができない」ということの反省をして、欧米の自由な教育スタイルを見習ってとのことだったと思う。ところがその欧米では「それではいかん」ということに気づいて、以前の日本のような「極めて厳格な規則をきっちりと守らせる」という教育スタイルにもどりつつあるそうだ。

 どんな教育方法がベストかは個別具体的に判断しないとなんとも言えないけれど、何かにかたくなに偏るというのは良くないだろう。というよりも教育は本来家庭でしっかりされるべきであろう。筆者も少し触れているが、現代社会の「お父さんは仕事仕事で会社からなかなか帰ってこない」「おじいさん、おばあさんのいない核家族」という姿が問題なのではないだろうか。

 なんにしろ。あいかわらず日本という国はみんながある方向を向くとみんなでそっちを向いてしまい、なかなか周りが見えなくなってしまうようだ。フレキシブルに行きましょう。グニャグニャというのもなんだが。

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