「普段着の住宅術」
...............中村好文
...............王国社1,800円+税
...............ISBN4-86073-000-3
テルミナ地下の三省堂の家造り・建築関係のコーナーでたまたま見つけた本。丁寧で品の良い装丁とそこに描かれていたやさしいタッチの線画に魅かれて手に取ってみた。ぱらぱらと見てみると、2段組で読みやすいエッセイだったので沢野ひとしの本と一緒に買った。
久しぶりに良い作家を見つけたと思う。今家を建てているからそう思うのかもしれないが、一級建築士としての感性が何だか妙にしっくり来るし、文筆家としてもそのタッチが心地好い。一見沢野画伯風でありつつ建築士としての基本を押さえているであろうイラストたちもステキだ。作者Jもこんなイラストを描いてみたいものだ。特に「私家版住宅用語辞典」は、住宅用語をその軽妙なイラストと筆者の思い入れを書いた短い文章とともにイラスト辞典風にしたててある。作者Jの毎日にも、いろんなものに自分の思い入れをちりばめたこんな風なコーナーを作りたくなった。
その私家版住宅用語辞典の「畳」の項がいい。
・・・我が国固有の優れた床材である。断熱、遮音に優れた性能を持ち、素足で歩くときの自然素材特有の感触もまことによい。古来その下に新聞紙を敷き詰める習わしがあるが、これには、床板からの透きま風を防ぎ、適度に湿気を調整するための一種の「おまじない」とする学説と、のちのちの大掃除などのさい働きすぎを防ぐため、一服してその古新聞に読み耽り、しばし感慨に浸るためにするのだという学説がある。
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