「仕事は楽しいかね?」

...............デイル・ドーテン
...............きこ書房1,300円+税(BOOKOFFで100円)
...............ISBN4-87771-078-7


 例えて言うなら、「宝くじは買わなければ当たらない」というようなことをわかりやすく説明する本。

 画期的な発明や空前のヒット商品は、考えに考えを重ねてロジックを組立て、計算の上に生み出されたわけではなく、「ほんの偶然」や「ちょっとした失敗」から生まれているという。

 たとえば、「コカコーラ」は薬局の従業員がさぼって頭痛薬を水で割って飲んでいたことが発端だし、「ポストイット」も接着力不足の失敗品から生まれた。前例を調べたって無駄。たとえば、「一流スポーツ選手の技を研究しても、結局は人それぞれ違う」という結論になる。
 「試してみることに失敗はない」のだから、「だれもやったことのないことをどんどんやるようにしよう」と訴える。これは帰納法という手法です。「Aをやってみた、Bをやってみた、Cをやってみた、・・・・、結局Bが良かった」というやり方です。あんまり考えなくていいから楽ですね。

 会社で周りを見てみると、結構えらくなっている人にこういうやり方をする人がいたりする。
  思いついたことをどんどんやってみる。
  思いついたことをどんどん言ってみる。
 その中のひとつが当たったりすると「どうだ!」という顔をしている。効率の悪さを権力を使って解消できる人で、目立ちたい人にはいい方法かもしれません。

 しかしながら、開発の基本は演繹法です。「こうなって、ああなって、こうなるから、きっとBがいいに違いない」という仮説を立てて、それを検証していくという方法です。演繹法で開発するようにと教育された作者Jにとっては、いまいち納得がいかなかったりします。まあ、何事もひとつに固執することは良くないから、こういう考え方もたまにはいいかもしれません。実際、頭の中では演繹法でやらねばと思っていても、帰納法でやっていたりすることもよくあります。

 確かに本当に画期的な発明はこの本が奨めるような方法で生まれると思う。あの青色発光ダイオードの中村氏も、毎日毎日ちょっとした工夫を思いつくままに試験をし続け、最終的にあの発明をしたという。でもそれはあくまで成功した人の話であって、その影には同じようにやっていても失敗に終わった人ががむちゃくちゃたくさんいるということを忘れていはいけない。

 普通の人にとっては、当たる可能性の極めて低い逆転満塁サヨナラホームランより、確実なヒットのほうがいいのではないでしょうか。こう考えてしまう時点で、大発明家には慣れないのかもしれませんが(笑)。

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