「春画」
...............椎名 誠
...............講談社495円+税
...............ISBN4-08-747665-0
椎名氏の本は以前はすべて読んでいたと思う。学生時代は、椎名氏の喧嘩ばかりの高校時代に憧れ、就職してからはサラリーマン時代を描いた三部作「哀愁の街に霧が吹くのだ」「新橋烏守口青春編」「銀座のカラス」を読んで、少し変わったサラリーマン生活を勉
強していた。自分にないものを求めていたんだと思う。それからしばらくして、椎名氏はSFの方に傾倒していき、自分は椎名さんの私小説というか、旅話などのバカ話が好きだったのでなんとなく読まなくなっていた。
久しぶりに買ったのがこの「春画」である。水色とピンクのパステルカラーの装丁に春画という標題に目を引かれたというのもあるのだけれど、久しぶりの私小説と紹介してあったから。
椎名氏の家族を描いた私小説と言えば長男岳君がモデルとなった「岳物語」が有名であるが、今回は子供達が独立してからの椎名氏を取り巻く家族、親戚、友達との関わりが描かれている。岳物語の明るいトーンとは少し変わって、少し陰に入ったような視点が多い。文体も以前の軽い感じとは変わり、少し重いトーンになっている。それでも、妻との関わり、友達との関わり、仕事との関わりでは相変わらずのシーナワールドと美しい表現が見られる。
いつも思うのだが、こういう話というのはどこまでほんとのことが書いてあるのだろう?「ストーカーの話」「バーで知り合った女と一夜を過ごした話」「その女の件でチンピラを半殺しにした話」どれも今までの椎名作品ではあまり出てこなかったような話だ。
そう言えば、「作者Jの日記はどこまでほんとなんですか?」と聞かれたことがあったっけ。
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