「火の粉」

...............雫井脩介
...............幻冬舎文庫762円+税
...............ISBN4-344-40551-X


 ここのところ小説ばかり読んでいるが、ことごとくおもしろい。まあ、平積みになっている売れている本ばかりを選んでいるから当たり前なのか、ただの偶然なのか、はたまた、自分が娯楽に飢えているのか。

 それにしてもこういうストーリーはどうやったら思いつくんだろう?刑事事件を扱ったサスペンス物は実際の事件を参考にすることが多いとも聞くが、こんな事件があったのだろうか。

 死刑判決が確実と見られていた被告に、主人公の裁判官は一転、証拠不十分及び動機稀薄として「無罪判決」を言い渡す。いわゆるえん罪事件としての法廷場面から話は始まる。裁判官を止め、大学教授としての生活を始めたころにその被告人だった男が隣に引越してくる。男は「できた隣人」として一家にとても友好的に入り込んでくる。義母の介護で疲れていた妻などは全面的に信頼し、良き隣人としてつきあいを深めていく。ところが、それまで円満だった家庭の歯車が少しずつ狂ってくる・・・

 いやあ、怖い(笑)。帯にある通り「隣人の笑顔を信じていいものか?」という心理をうまく使いながら、ひしひしと募ってくる恐怖心。ほんと怖い。一気に読めるお奨めの一冊。

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