「破線のマリス」

...............野沢 尚
...............講談社文庫619円+税
...............ISBN4-06-264907-1


 解説によると、「マリス」とは報道の送り手側の意図的な作為または悪意のこと、「破線」とはテレビ画面を構成している525本の走査線のこと。主人公はニュース番組で映像編集をしている女性。最近は時々話題になるテレビ番組の「やらせ」とか、「意図的な作為」を題材とした推理小説。

 テレビの影響力はとても大きく、テレビでの報道の仕方によっては、ある瞬間から犯罪者扱いされたり、英雄扱いされたりする世の中。そんな世の中にチクッと針を差すような話だ。それもテレビ番組のシナリオライターをしていた作者が書いたということで、発売当時は「内幕を描いた」というような感じで話題になったそうだ。

 先入観というものは人間の心に相当影響するもので「テレビの言っていることは正しい」などと思っていると実は騙されていたリする。じゃあ、我々視聴者はどうやって真実を知るのか?、というとまた難しい。それはテレビなど報道側だけの責任ではなく、何かを知りたい、人の噂はおもしろい、という人間の本能に関わる問題なのかもしれない。

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