とりあえず簡単な評を備忘録代わりに載せて、時間があるときに長い評を書きます。
人間の屑(4/7)☆☆☆1/2(長いレビューへ)
原作の主人公は本当に「人間の屑」って感じのやつだったけど、ここでは妙に
まじめでハジケ方が足りない気がする。不気味な存在感の夏生ゆうな、「キャ
ハッ」と意味なく笑い続ける佐伯日菜子の「蛇女」コンビがとってもこわい。
岸田今日子のクソばばぁや、ビッチな鰐淵晴子も素敵なんだけど、全体的に見
れば今一歩。お久しぶりの絵沢萌子&田中要次の「SMうどん店」を観るだけ
でも映画館に行く価値は…あるかな?
ハンニバル (4/7)☆☆☆1/2
恋するおやぢの片思いストーカー物語。レイ・リオッタ愛嬌ありすぎ。パッツィ
虐殺シーンだけは見ごたえあったけど、全体的には「美術がやたら突出して
いる」B級作品。原作の怪物的な終わり方が観たかった。
四畳半襖の裏張り (4/10)☆☆☆☆1/2
セックスと死、戦争についてのラディカルな映画。戦時中でも粋な芸者たちの、
赤い着物が鮮烈。「実録阿部定」の宮下・江角コンビのベッドシーンのねっと
り感には忘れがたいものがある。
ビジターQ(4/13、シネマ下北沢)☆☆☆☆
すべてが狂っている映画。遠藤憲一のハジケ方は本当にやばいものを見てし
まったという感じだ。崩壊しきった家庭に打ちこまれる打ち上げ花火の色彩の鮮
やかなことよ。屍姦や近親相姦、援助交際の末に訪れた家族再生の物語は、腐
るほどある同テーマの映画が到底到達し得ない高みに達している。遠藤憲一の
「エイサー、エイサー」という掛け声や内田春菊の乳飛ばしだけの映画ではな
い。凄すぎる。
すべてが狂っている (4/13)☆☆☆☆
風俗の先端を描きながらも、満たされず鬱屈した若者を描いたヌーベルバー
グ風作品。川地民夫はこういう鬱々したキャラクターにぴったりでうまいけど、
あまりにも甘ちゃんな感じでイライラ。ヒロインの祢津良子は、伸びやかな肢
体と意思の強そうな顔立ち、クールな感じでとっても魅力的(設楽りさ子に似
ているけど)。主人公の相手にはあまりにももったいない!車を盗んで逃げ回
るシーンの躍動感や画面の切り取り方はさすがに斬新。
アタック・ナンバー・ハーフ (4/14、シネクイント)☆☆☆☆1/2
本当にベタベタなストーリーだけど、楽しい!特に主人公のジュンちゃんが(ブ
スだけど)死ぬほどかわいいのだ。おかまの息子の生き方を認めて応援して
いる家族も素敵。化粧を落とすとバレーボールが弱くなるというのが笑えるが、
実話だというのが面白い。ラストに登場する実物のオカマバレーチームがもの
すごく強いのには驚愕。細かいことを気にしなければ最高にいい気分になれる
映画。
ベーゼ・モア (4/14)☆☆☆1/2
フランス版「ナチュラル・ボーン・キラーズ」?男社会への復讐と言っているうち
に単なる快楽犯罪となっていくわけなんだけど、行き場のない怒りを抱えた彼
女たちの閉塞感はよく伝わっている。映画が終わる前の彼女たちが一番無防
備で痛々しいというのがミソ。理不尽なまでの暴力衝動と、目を背けたくなるよ
うなバイオレンスのシーンは確かに不快なのだが、その衝動が彼女たちを
追い詰めて行くわけなのであって、上映禁止になるほどのとんでもない映画だ
とは思わない。
楽園の瑕 (4/16,キネカ大森)☆☆☆☆
過去と未来が交錯し、円環状となっている凝った構成。そして、映画のテーマ
は「忘れること、そして忘れられないこと」。忘れたい想い、忘れられない想
いが砂漠の中で漂っている。「何かを忘れようとすればするほど心に残るもの
だ。ある人曰く、何かを捨てなければならない時は、心に刻み付けよと。」印
象的な台詞だ。複雑な物語だが、切ない余韻が残る。特に「桃花が見たい」と
言い残した盲目の剣士や、卵を持って待つ女のエピソード。愛に苦しむ人が魂
を傾けるさまが鮮やかに刻み付けられていて、切ない。
星降る夜のリストランテ (4/20、シネマカリテ)☆☆☆
エットーレ・スコラ監督の『BARに灯りともる頃』は、しんみりとしていて、いい映
画だったということもだって、この作品も期待していた。でも、これはいまいち。
『ハンニバル』のパッツィと同じ系列のキャラとして登場するジャンカルロ・ジャン
ニーニの渋さとか、ラストの韓国人少年が見たおとぎ話のような夜空とか、傍観
者のように陣取っている老人とか、魅力的なパーツはいくつもあるのに。こじん
まりとしていて、人物描写も薄っぺらい、心に何も響かない作品となってしまっ
た。登場人物をもう少し絞ったほうが良かったのでは?
野獣の青春 (4/20、テアトル新宿)☆☆☆☆
スタイリッシュでハードボイルドなサスペンスとは、こういう映画のことを言うの
ではないか。サディズムをかくのごとく美しくカッコよく描いた作品は、ほかには
なかなか思いつかない。有名な、宍戸錠をガラスにおしつけて指先を拷問する
場面や、情婦をサディスティックにいたぶって部屋から叩き出したら、彼女が倒
れこんだ先は砂漠だった、といった場面の鮮烈さは清順ならでは。「おまえの母
親はパンパンだったんだって?」の言葉に反応する変態チックなキャラクター、
ヒデを演じる川地民夫が最高に素敵。
ショコラ (4/28、渋谷松竹セントラル)☆☆☆
決して悪くない。それどころかよくできた映画だと思う。特に、これまでの「女王
様」路線ではないやさぐれた老婆を演じたジュディ・デンチは魅力的。出番が予
想外に少なくて拍子抜けしたものの、ジョニー・デップは思わず惚れてしまいそ
うなくらいカッコよくて色気がある。みるみる美しくなるレナ・オリン、意外にも堅
物の女性も似合うキャリー・アン・モス、悪い人なのにどこか哀愁が漂う「伯爵」
など、脇役はみな非常に良い。私の苦手なジュリエット・ビノシュですら、比較的
個性にマッチした配役を与えられているので嫌味ではない。おとぎ話のような雰
囲気も魅力的。なのに、なのに、心が動かされることはなかったのだ。あまりに
も物語が予想通りに進んでしまい、ありがちであったということがまずひとつ。ピ
ューリタン的禁欲主義に異議を唱え、快楽主義を礼賛するのはいいのだけど、
快楽主義を主張するなら、こんなに優等生的ではなく、もっと型破りにやってほ
しいものだ。フランスが舞台なのに、ヒロインはフランス女優なのに、スウェーデ
ン人の監督なのに、全部英語なのにも萎えてしまう。いかにもミラマックス的、
マーケティングで作ったという感じがミエミエの映画だ。『ギルバート・グレイプ』
『サイダーハウス・ルール』のラッセ・ハルストレム監督作品にしては、やや期待
はずれ。
チキン・ラン (4/29、新宿武蔵野館)☆☆☆☆
『ウォレスとグルミット』シリーズが大好きなだけに、別のキャラクターが登場し、
しかもハリウッド制作のこの作品に一抹の不安があった。でも、それは杞憂であ
った!ほとんどのキャラクターがニワトリなのに、一人一人の造形やキャラクター
の描き分けが見事としかいいようがない。言い尽くされていることだけど、いろん
な映画へのオマージュも感じられるし、それがちゃんとオリジナリティのある引用
の仕方なのも凄い。独特の毒も、イギリス時代ほどではないにしても息づいてい
る。そして、なんといっても、アードマンらしいのは、執拗なまでのメカニックへの
こだわりと無限の想像力だ。チキンパイ全自動マシーン、そしてあの脱出用マシ
ーンの精巧な作りとアイディアには、ひたすら脱帽。ハリウッドの古典的なお約束
事を守りながらも、個性あふれ、ハラハラドキドキさせられ、カタルシスの得られる
理想的な娯楽作品に仕上がっている。メル・ギブソンの顔がすぐ想像できる、とぼ
けた声の演技も楽しい。
リトル・ニッキ− (6/5、日劇プラザ)☆☆☆☆
ラジー賞5部門ノミネートも納得の「く、くだらない…」トンデモ作品。でも、10代
にオジー・オズボーンのコンサートに行ったりしてい た私には最高に楽しい映画。
なんたって、御本人がコウモリネタ で登場する最終兵器なんだもの。へヴィメタ
ルと悪魔崇拝というありがちな結 び付け方も笑えるし、悪魔のメッセージを聞く
ためレコード逆回転に挑 戦したり、と私の年代の人間にはとても懐かしくてうけ
てしまいまった。
キャストもむちゃくちゃ豪華。口だけになってしまうハ−ヴェイ・カイテル、悪魔姿
がとても素敵なリス・エヴァンス。サンドラーのママの軽薄な天使が リース・ウィ
ザースプーンだったり、パトリシア・アークエットが地味メガネ女だったり。タランテ
ィーノの怪しい神父とか、悪ふざけのキャスティングが最高。石井輝男も真っ青の
地獄の描写といい、こんなバカ なことにこんなにお金かけていいの?と思ったけ
ど、ゲラゲラ笑ってしまった。でもサンドラー君、こういうの作っていたらいつまでた
っ ても日本では受けないだろうな。