London旅行記


■ミュージカル三昧

今回の旅行は7日間といっても、現地到着時間が遅く地下鉄のストに巻き込まれて実質的には4日間しか動きがとれず、そのうちの一日は体調を崩してバッキンガム宮殿のトイレで嘔吐してしまったりと、本調子とは行かなかったけど、それでも6年ぶりのロンドンを堪能してきました。

ミュージカルはBombay DreamsWe Will Rock You  Mamma Miaを観てきました。プロデュースがアンドリュー・ロイド・ウェーバー、音楽担当が「ムトゥ踊るマハラジャ」「ボンベイ」のA.R.ラフマーン、そして脚本が「エリザベス」のシェカール・カプールという豪華なメンバーのマサラ・ミュージカルBombay Dreamsは最高に楽しかった!

主役級の一人(スター女優の役)はインド映画「マッリの種」のヒロインで「エピソード2」にも女王の役で出ているアイシャー・ダカール。驚くほど踊りが上手で目が釘付けに。観客もインド人が多くてノリが良かったです。隣の席のインド人の女性は、上質なサリーが良く似合う美しい人でした。華やかでキラキラしていて、インド映画ではお約束の水に濡れながらのダンスなども華麗だし、音楽もキャッチーで良い曲揃い。ただ、マサラ系の曲に英語の歌詞はときどき不釣合い。映画「ディル・セ〜心から」にも登場した「チャイヤ・チャイヤ」がニ幕目のオープニングだったのは嬉しい。
この日、ロンドンは地下鉄のストで、コヴェントガーデンのホテルからかなり遠かった。バスも全然来ないし道は大渋滞。公園場所にたどり着くのは本当に大変だったけど、観て良かった!


We Will Rock Youは主演の男の子がTony Vincentという人気のあるシンガーで、フレディ・マーキュリーには及ばないけど歌唱力は素晴らしい。ルックスもいいんだけど髪型のせいか、「リトル・ニッキー」の時のアダム・サンドラーに少し似て見えることが難。ヒロインも上手だけど、痩せていて華がない。「ライオン・キング」に出演していたというKiller Queen役の大柄なアフリカ系の女優が驚くほどの歌唱力(「Don't Stop Me Now」のときなどは震えが来たほど)。なんでも「恋はハッケヨイ」に出ていたらしい。お話はしょうもないですが、代表曲はほとんど登場するし、歌詞も台詞にポロポロ登場するし、クイーン好きにはたまらない。プロデューサーはロバート・デ・ニーロだった。このミュージカルが上演されている劇場の最寄駅トトナム・コート・ロード駅がセットに登場するのはうけた。トニー・ヴィンセントの観客の乗せ方は非常に上手で、ロックコンサートのノリで観るミュージカル。なぜか観客の年齢層がとっても高かったけど、おじいさんもおばあさんもノリノリで最後は総立ち。


Mamma Miaは正直いまいち。主要キャストの歌唱力もパッとしないし、ダンスの振り付けも華やかさがたりない。ラストのおばさん3人組とおじさん3人組の時代錯誤的なド派手衣装は楽しかったけど。でもチケットは一番売れていたみたいで、席も一番遠かったし、ダフ屋がたくさん出ていました。ABBAに思い入れがない人が観ても楽しめないと思うので、日本で劇団四季がやるというけどどれくらい受けるのだろうか。


■ロンドンは映画を観るには最適の場所

情報誌「Time Out」を買って映画情報を見ると、上映されている作品の多さに眩暈がするほど。行く前は「いくらなんでもNYのようにはいかないだろう」と思っていたのだけど、そんなことはなかった。イギリス映画が多く観られる(あたりまえだけど)ことを考えると、NYよりもいいくらいだ。シネコンも非常に多いし、シネコンでアート系の作品(アルモドヴァルの新作「Talk To Her」など)も上映されているのは素晴らしい。9月はイギリス映画の新作が少ないということだったが、それでもなかなか豪華な顔ぶれだった。10月になれば、マイク・リーの新作(ティモシー・スポールが主演)や、ケン・ローチの新作も上映されるらしい。日本でタイ映画「レイン」が公開された香港のダニー&オキサイド・パン兄弟の「The Eye」というサイコホラーも非常に面白そうだったけど、間に合わなかった。また、ICAという美術館のあるアートセンターでは「リリィ・シュシュのすべて」が公開されており、次回作はキアロスタミの新作「Ten」でこれも非常に良さそう。さらに、中国映画の特集上映があり、チャン・イーモウの新作「至福のとき」も公開されるとのこと。

今回映画はジェフリー・ラッシュやバーバラ・ハーシーが出演しているオーストラリア映画「Lantana」と、ロバート・カーライルやリス・エヴァンスが出演している「Once Upon A Time In the Midlands」を観た。後者はマカロニ・ウェスタンを現代のイギリスに置き換えたような内容とのことだが、音楽とカーライルのキャラクターくらいにしかその影響は感じられず。カーライルの訛りがきつくて字幕なしだと半分くらいしか聞き取れず。ヒロインも不細工なのがイギリス映画らしい。字幕で観ればもう少し面白いのかもしれないけど、テンポが悪くてどうも乗り切れなかった。救いはリス・エヴァンスの「いい人ぶり」。

「Lantana」はとても上質のオトナの人間ドラマで脚本、演技、演出とも素晴らしかった。地味な映画なので日本でやるかどうかわからないけど、公開してほしい。不倫を働く刑事を中心に、4組の夫婦の愛と裏切り、どうしても拭い去ることのできない心の傷やすれ違いを繊細かつ大胆に描いたもので、人間のダークサイドに良く切り込んでいる。
ソーホーにある映画館Curzon Sohoはアート系の作品を上映するシネコンなんですが、全館THX認定だし、全席指定。バーやカフェも併設されていてとてもおされでいいところ。オリジナルの作品解説チラシも置いてある。日本にもこういうアート系劇場が欲しいところ。

食べ物も今回色々吟味したおかげで、まずまず美味しいものにありつけた。ただし、中華だったりベトナムだったりインドだったりベルギーだったり日本料理だったりで、イギリス料理はなし。コベントガーデンのベルギー料理のバーは入店できるまでに1時間もかかり、ウェイティングにいる店員の態度も悪かったけど、ムール貝など料理は美味だし、ビールの種類も多くてお勧め。また、日本風?ラーメン店のwagamamaというのがとてもたくさん増殖していたけど、夜が比較的早いロンドンにあって、遅くまでやっているしワガママラーメンは比較的上品な味で、こってりした料理に飽きた人にはちょうどいいと思う。

■大英博物館の巻

ロンドン観光といえば外せないのが美術館・博物館めぐり。一度行ったことがあるところでも、展示内容が常に変化しているので行くたびに新しい発見があるのだ。まずは大英博物館。「ハムナプトラ2黄金のピラミッド」でもお馴染みの、“ミイラの園”である。実は私はその手のものがすごく苦手で、6年前に行った時には怖くなって一瞥しただけで逃げ出してしまった。でも、今回はもう少し肝も据わってきたので、なんとかいろいろと観ることができた。それでもやっぱりそれほど広くはない、細長い展示室にミイラがいっぱい並んでいる姿は壮観であり、怖い気がする。そういえばミイラが化けて人を殺しまくる「ルーヴルの怪人」という映画もあったな。博物館って大昔の物ばかりなので、こんなところにいると呪われるような気がしてならない。そもそも、大英博物館って掠奪品の宝庫なのである。アッシリアの大迫力のレリーフとか、ギリシャのパルテノン宮殿の彫像とか、みんな泥棒して持ってきたものばかりじゃん。祟るよ、これ。
ところで、大英博物館って展示品のせいか、どうもおどろおどろしい建物だという印象が強いのだが、いつのまにか改装していて、真中の吹き抜けに真新しい円形の建物が建っていて、開放感があり自然光が降っていてとても気持ちよい。2階にはおされなレストランもできているし、一階には図書館が。これがまた、壮観と言うしかない美しい図書館で、天井まで書籍がぎっしり。ひゃ〜カッコいい!と思ってしまった。


■美術編

ホテルのそばのナショナル・ギャラリー、子供時代からのお気に入りのスポットであるナショナル・ポートレート・ギャラリー、小さいながらも印象派の有名作品が揃っているコートルード・ギャラリー、ラファエル前派の充実したテート・ブリテン、そしてロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに行ってきた。
ナショナル・ギャラリーはとにかく広くて、とてもカバーしきれない。いつも1700年以降のところしか観られないのが残念。
ナショナル・ポートレート・ギャラリーは英国の有名人の肖像画ばかりを集めていて、歴史のお勉強になるし、最近のセレブの写真や肖像がまた面白いのだ。結婚したばかりのダイアナ妃の初々しい姿とか、ポップアートになっているブラーのメンバーの肖像、ベッカム夫妻、60年代のファッション写真とかあって飽きない。イギリス系のセレブが好きな方は、ミュージアムショップで売っている彼らのポートレートのポストカードがおすすめ。イアン・マッケラン、レイフ・ファインズ、ベッカム、そしてテレンス・スタンプのポストカードを購入。

テート・ブリテンは新しくテート・モダンという現代美術専門の別館がオープンして現代美術関係はそっちに行ってしまい、ターナーの膨大なコレクションが大きな割合を占めるようになっていた。唯一の自画像(これが男前)など、これがターナー?と思うような意外な作品もある。中学生の団体が多く見学に来ていた。なんてったって、フランシス・ベーコンの小特集があり、ベーコンのかなりやばい絵の前で中学生が集まっていて先生が彼らに感想を聞いているんだから、凄いよ。日本ではありえないでしょう。ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは、ピカソやゴッホ、ドラン、カンディンスキーやフォビズム系の特別展をやっており、今までの美術館で一番賑わっていた。色彩豊かで力強い作品が揃っており、楽しい。今回、現代美術まで手が回らなかったのだが、ここの常設展は現代美術ばかりで新鮮。奈良美智の作品まで展示してある。この建物、2階から3階へ行くガラスの階段が急で、高所恐怖症の私にとってはとっても怖い。
コートルードはルノワールやモネ、ゴッホなどの代表作とも言える珠玉の作品群が揃っていて、これだけでも観る価値がある。中世美術まであって、幅広いコレクションだ。本当はエルミタージュ美術館から借りた作品も別館に展示されてあったが時間の関係で行けず残念。

総じて、6年前に比べて美術館はみな改装されていてとてもおしゃれになっており、ミュージアムショップも充実していてグッズもみな洒落ている(ただし、高いのでなかなか買えませんが)。こんなに素晴らしい美術品ばかりをタダ同然で観ることができるロンドンってやっぱり凄い。



■グルメ編

ロンドンの食事がまずいというのは有名な話ですが、最近の私の旅行は絶対に美味しいものを食べる、というのが一つのコンセプト。

海外で食べるものに困ったら、チャイニーズ。第一夜は母に勧められたチャイナタウンの入り口にある「ジェイド・ガーデン(翠園酒家)」到着した夜だったので軽めにしよう、と一番安いコースを頼んだのだけど、一人10ポンドとかなりお徳で、ボリュームもたっぷり、黒豆の鶏肉の炒めものが非常に美味しかった。翌日のランチは、HISのガイドさんに勧められた日本料理「さくら」これはJALの支店があるハノーヴァースクエアの「いぎりす屋」の向かい。鮭親子丼を戴いたのだけど、これは相当いけます。生サーモンといくらの丼でイギリスはサーモンの産地ということで、北海道でイクラ丼を食べるより安くてボリューム満点。

ソーホーでは「Mamma Mia」のプリンス・エドワード劇場に程近いベトナム料理店「Saigon」に行きました。外観がとてもお洒落なので気後れしそうですが、値段は比較的リーズナブル。自分の席で焼く「牛肉のライスペーパー包み」はさっぱりしていて良かったです。ウェイトレスも全員アジア系でアオザイを着用したオリエンタルな雰囲気が素敵。

ロンドンはインド人が多いのでインド料理店も多い。ランチで行ったカーナビーストリート近くの「Masala Way」というインド料理店は、流行のすっきりとしたシンプルな内装で、こういうお店はかえって危険な感じですが、チキンカレーは肉も柔らかくスパイシーで美味。ランチプレートもあります。最終日に行ったのが、コヴェント・ガーデンのベルギー・レストラン「Belgo Central」。人気店らしく、そして土曜の夜ということで大混雑。なんと席につくまで1時間もかかってしまいました。その間、ウェイティングバーでベルギービールを飲む。ベルギービールについてはメニューが2ページもあるほど種類が多いのだ。300人入れるという広い店内
で、ムール貝のムニエルを注文。ムール貝がとにかく名物のようで、隣の席の若い女の子2人連れは、バケツに入った(1キロあるらしい)ムール貝のボイルを食べていた。パンも美味しい。

ラーメン店「wagamama」はそこら中にあり、小腹の空いた時に便利。ただし、具たくさんとはいえラーメンに1200円も払うのは高い気はするけど…。要するに、ロンドンでもお金さえ出せば美味しいものは食べられるってことなんですね。



■ ロンドンその他いろいろ

今回ロンドンに行って一番驚いたのは、ブレア首相がイラクを攻撃したいという意欲満々で、それに対してイギリス国民の反応が凄く冷ややかで、反戦運動も盛り上がっていたということ。国会議事堂の前には「人殺しはやめろ」という看板がいっぱい立っていて、イラクやアフガンの子供達の写真も置いてありました。そして、トラファルガー・スクエアの前の大通りを反戦デモが行進していました。ニュースによると3万人もの参加者があったと言う事で。確かに実際にテロの被害に遭ってイラクを悪の枢軸と名指しをしているブッシュがイラクを攻撃したがっているのはわからないでもないけど、ブレア首相がイラクを攻撃しなくちゃいけない理由は全くわかりません。そんなにアメリカに媚を売りたいのかな。チャールズ皇太子もブレアの政策に批判的らしくて、王室の人間は政治的な発言をしないという不文律に反してブレアを堂々と批判していて、このことも論議を呼んでいました。



しかし、非常に不気味だったのが、市街地で戦車を見てしまったこと。実は今回、1日目、2日目はストがあって地下鉄に乗ることができず、「Bombay Dreams」が上演されていたヴィクトリアの劇場からバスに乗ろうとしても乗れず、仕方なくバッキンガム宮殿の裏を歩いていたら、パトカーに先導され、10台もの大型トラクターが荷台に戦車を2台ずつ積んでいるのです。それにはびっくり。ほどなくタクシーを捕まえることができ、タクシーの運転手も「ついに始めるのか」とびびっていました。帰国する時にも、ホテルのあるThe Strandという大通りを、バズーカ砲を積んだ大型トレーラーが何台も走っていたし、非常に怖かった。イラクを攻撃しても、結局フセインを何とかしない限り、犠牲になるのは一般市民なんだし、ブレアもなんとか思いとどまってほしいもの。

失業中でお金がなく、ロンドンって物価は高いし1ポンドは200円以上という円安状態だったのでお買い物はほとんどできなかった。買ったものは、Bombay Dreamsのサントラと、NYでも人気の安いショップH&Mでムートンのジャケット(ただしフェイクファー)、コヴェントガーデンで流行のフォークロア調のトップス、バーバリーのミニマフラーくらい。しかもパスポートを持ち歩いていなかったので免税も受けられなかったし。正直貧乏人には辛い街ですわ。あとはお土産用にWhittardという紅茶のショップでお茶とか買ったくらいです。

■イギリス人に美人はいない?

多くの人はそんな印象を持っているだろうし、実際イギリス人の女優で美人はあまりいない。レイチェル・ワイズとかまあケイト・ウィンスレット、ケイト・ベッキンゼールくらいでしょう。しかし、実際にはロンドンには美人のイギリス人女性はかなりいた。都会ということで比較的洗練されているのだろう。6年前に行ったときにはもっとダサダサな感じだったのだけど、NYの女性にもひけを取らないようなファッショナブルな美女たちも見かけた。ヴォーグのロンドン支社の建物で間違って非常アラームが鳴ったらしく多くの社員が建物から出てくるのを見たのだけど、流石にモデルクラスの麗しくお洒落な女性ばかりでしたわ。