ぐしょ濡れ美容師 |
監督・脚本:女池 充
出演:佐々木ユメカ、田中要次、川瀬洋太、相沢知美
飲み屋で知り合った二組の男女。そのうち美容師の女と片方の男は意気投合してホテルへ行き、
セックスを楽しむが女性のほうは酔っぱらっていて相手の顔を覚えていない。ホテルが火事になり、
男と女は別々に救助される。ホテルの被災者の説明会で女は、あの晩彼女と寝たという男性に
出会い、あの時の素晴らしいセックスを忘れられない彼女と男は恋人同士になる。ところが、実は
男はそのときの相手ではなく、彼女を救助した消防士であった。しかもややこしいことに、消防士
はあのとき彼女と本当に寝た男と親しくなってしまうばかりでなく、その男は消防士の家に居候と
して転がり込んでしまうのだった。
飲み屋で知り合った相手と意気投合し、一夜を過ごすことになったのだけど酔っぱらって相手の
顔を覚えていないということは、あり得なくもないシチュエーションだ。そんな、見に覚えがある人
もいそうな設定を借りて、軽妙で印象的なドラマに作り上げられた作品。その中にも恋愛の切な
さがこめられている。火事の夜、美容師と寝た男は彼女に恋し、探し歩く。彼女の似顔絵を描い
て現場に立て看板として設置。失業中の彼は、現場のラブホテルの受付としてバイトし、彼女の
姿を探している。消防士の部屋を訪ねた彼女は、あの晩の彼だとは知らずに彼に接する。あのと
きの男だと言いたくても言えない彼は、切ない気持を抱えてウクレレで「アアアいやんなっちゃう
よ」と歌うのであった。その姿がおかしくも哀しい。
かわいくてエッチな佐々木ユメカ、真面目なのに軽妙な味わいのある消防士を演じる田中'BOBA'
要二が印象的。ちょっとユーモラスなんだけど切ない気持と、洒落た味わいを感じることのできる、
なかなかの好編。
ぐしょ濡れ人妻 制服で抱いて |
監督:今岡信治
出演:諏訪光代、伊藤猛、鈴木敦子、佐藤幹雄
情緒の不安定な女教師は、押入に閉じこもったり包丁で手首を切ろうとしたりしている。そんな彼
女を愛するのは夫と、教え子の女子高生。女教師の夫に嫉妬した女子高生は、夫を監禁する。
個性的な容貌の役者が揃った「ぐしょ濡れ美容師」とは反対に、平凡な容姿で妙に生活感のある
出演者たちが登場するが、(女子高生役の女優などはハッキリ言ってブスだ)みな芸達者でリア
リティがある。中でも、女教師役の諏訪光代の儚げで壊れそうな感じは怖いほど。包丁を片手に
転げ回ったり、大量のキャベツを切り刻んだり、ちょっと狂った感じ。そんな彼女を一途に愛する夫。
セックスを盛り上げるためにセーラー服を買ってきて妻に着せたかと思うと、本当の愛する気持を
伝えるために女装してみたり。彼の不器用な愛情表現には思わずじーんとしてしまうのだった。
夫と女教師、女教師と女子高生、登場人物はなぜかやたらゴロゴロしているのがとてもユニーク。
この「ゴロゴロ感」と、登場人物たちの突拍子もない行動は、お互いを求める狂おしい気持と、息
苦しいまでのせつなさを表現するのに役立っている。夫が監禁されたとは知らずに、セーラー服
を着ていつまでも玄関で待っている、壊れかけた妻の姿は、忘れがたい光景となっている。
したがる兄嫁 |
監督:上野俊哉
出演:葉月蛍、江端英久、本田菊雄、佐々木ユメカ、伊藤猛
東京の生活に敗れて、地方都市にある実家に戻ってきた風采の上がらない弟。自宅で家内手工
業(籠織り)の職人をしていて、弟に対しても、妻に対しても威張り散らし支配的な兄。兄の不倫相
手は、入院している兄弟の母親の面倒を見る看護婦。看護婦に入れあげる兄は、妻と別れて看護
婦と結婚したがっているのだが…。
ピンク映画といいつつ、絶妙の間合いととぼけた感じが何とも楽しくてユーモラスな作品。室内劇
での画面の切り取り方が左右対称だったりするのが、古い日本映画のホームドラマを思わせる。
そして、この兄弟の関係がおかしい。弟はへんな黒縁メガネをかけていてオドオドしている。見る
からにダサくてあぶない雰囲気。兄は二枚目なのだが性格が悪く、まわりの人間に対して支配的
に、暴力的に振る舞う。一見従順だがしっかり者の妻、そしてセクシーで奔放な看護婦は、男性が
求める二つの女性像−聖母と娼婦をあらわすもののように見えるが、しかし女性というのはそんな
に単純なものではない。最後に妻から吐き捨てられるしっぺ返しは痛烈。女の方が、バカ兄弟の
数枚上手だったのだ。しかし、仲の悪い兄弟がそのことで仲直りするというオチはとってもコミカル。
正反対に見える兄弟だが、本質は同じだということか。
特に小心者のくせに小ずるくてスケベ、見るからにやばそうな風貌の弟を演じる江端英久は最高。
すぐブチ切れて凶暴、別の意味でやばい兄との迷コンビは、なぜか笑える。
したがる兄嫁2 |
監督:上野俊哉
出演:葉月蛍、江畑英久、本田菊雄、里見瑶子、佐々木ユメカ、伊藤猛
『したがる兄嫁』の続編。前作のブラックなユーモアのセンスがさらにパワーアップ。兄弟の母親の
葬式のシーンから物語は始まる。兄の妻は愛想を尽かし家を出ていく。急にセックスをしたくなる兄
弟。だが、田舎町で遊べる場所は極めて限られていて…。そして、一晩の間、『パルプ・フィクション
』のごとく同時進行で、様々なけったいなエピソードが繰り広げられるのであった。
バカ兄弟のバカは簡単には治らない。兄の愛人だった看護婦と寝たいと思ってノコノコ出かけ、愕
然とする事実に出会った上、ヒドイ目に遭う弟。それでも懲りない。兄はというと、フィリピンパブに
出かけるが、そこはとんでもない店で…。兄弟二人の地獄めぐりのような様相を呈する物語展開。
ボロボロになった二人がバッタリ会う場面の可笑しいこと。夫、というよりはバカ兄弟に愛想を尽か
して温泉旅館で仲居として働いていた妻が初恋の男性(デブ)と二人、温泉の風呂場で延々と泳ぐ
シーンがとってもシュール。