マシュー・ボーン「白鳥の湖」Swan Lake インタビュー翻訳集

The Guardian Tuesday December 7, 2004
Times Online November 13, 2004
ballet.co.uk January 2005 issue
Times Onlineよりマシュー・ボーンのインタビュー(by Clifford Bishop)August 08, 2004
the stage online Thursday 11 November 2004

Next stop, Hollywood

今までザ・スワンや王子役を演じたダンサーたちのインタビューをまとめたものです。
by Judith Mackrell
The Guardianより Tuesday December 7, 2004

1995年、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」という作品によって、主演のアダム・
クーパーがスターとなった。今回のリバイバルは、同じ結果をもたらすのだろうか?

アダム・クーパー Adam Cooper

1995年、ザ・スワン
アダム・クーパーはアーツ・エデュケーショナルとロイヤル・バレエ・スクー
ルで教育を受け、「白鳥の湖」の主演に抜擢された時ロイヤル・バレエのプリン
シパルの地位にいた。すでにマシュー・ボーン作品に魅せられていた彼は、躊躇
することなくこの作品に参加した。「僕を主役に想定した全幕作品に出演し、し
かも最もエキサイティングな振付家とともに仕事をする機会を逃す手はないと思っ
たんだよ」しかしながら、彼は大きな期待はしていなかった。「きっと誰も観な
い小さな作品だと思ったんだよ」。そのため、この作品がウエスト・エンドで大
ヒットし、ブロードウェイで上演されることになった時に彼は仰天した。初めて、
クーパーは本当の有名人である気分を味わった。「ロイヤル時代はもちろんファ
ンはいたけど、こんなことは初めてだったよ」。「白鳥の湖」での経験は、引き
続きボーンの「シンデレラ」の主演を経て、「ロイヤルの外には何があるのか」
という感覚に結びつき、彼の探求への礎となった。クーパーは「ボヴァリー夫人」
のTV版(2000)でのヴィコンテ役や、Will Tuckettの「兵士の物語」(2004)の兵士
役といった台詞のある役へと挑戦し始めた。ボーン作品での創造活動への参加に
より、彼は振付に興味を持つようになり、これらの関心はミュージカル活動へと
結びついた。クーパーは「オン・ユア・トウズ」(2002年)や「雨に唄えば」
(2004年)で歌い踊り台詞を話しただけでなく、ダンスの振付にも取り組んだ。
彼の最新のプロジェクトは、Donmar Warehouseで上演される「グランド・ホテル」
の振付だ。

スコット・アンブラー Scott Ambler

1995年、王子
Rambert Ballet Schoolでダンスを学んだスコット・アンブラーは「白鳥の湖」の
王子役を演じる前に、すでに「ハイランド・フリング(愛と幻想のシルフィード)」
(1994年)のジェームズ役など、ボーンの全幕作品での創造活動に取り組んでい
た。しかしながら、これは「特別な経験だった。物語は彼のキャラクターを中心
に据えたものであったので、踊りと同じくらい、演技が重要だった」。ダンスを
本格的に学び始めたのが遅かった彼は、クーパーと同じ舞台に立つことが怖かっ
た。「僕が一番恐れていたのは、アダムの隣にいる僕は大根に見えてしまうんじゃ
ないかってこと」もちろん、そんなことはなく、アンブラーの特異な才能はボー
ン作品の中に見事に収まった。彼は「シンデレラ」「ザ・カー・マン」「プレイ
・ウィズアウト・ワーズ」のキャラクターを創造し、ボーンのナショナル・シア
ターでの2つの振付作品「マイ・フェア・レディ」(2000)と「南太平洋」(2002
年)においてアシスタント・ディレクターを務めた。

ウィル・ケンプ Will Kemp


1996年、ザ・スワン
ケンプはロイヤル・バレエ・スクールを退学した後すぐに「白鳥の湖」に参加し
た。大きな白鳥やポップ・アイドルといった小さな役柄で出発した彼は、1996年
にザ・スワン役に抜擢された。「それはとても強烈でクリエイティヴな期間だっ
たよ」と彼は言う。「すでにアダムがこの役柄に強烈な印象を残していたけど、
僕は自分自身の解釈を進めることを許されたんだ。ロサンゼルス公演にたどり着
いた時には、観客が僕のことをアダムの代役だと見ることをやめたと感じるよう
になった」。この作品に出演したことでケンプは大きな舞台もたやすく演じられ
る気持ちになり、キャラクターを創造するという挑戦に取り付かれた彼は、ヴォ
イス・コーチによるトレーニングを受け、カンパニーのメンバーたちに”メソッ
ド・ダンサー”として認識されるに至った。「白鳥の湖」の後、ケンプはボーン
と引き続き仕事をし、ボーンの「シンデレラ」「ザ・カー・マン」(2000)そし
て「プレイ・ウィズアウト・ワーズ」(2002)での役柄を創造した。彼はまた、
来春の「愛と幻想のシルフィード」の再演に主演する。彼の声での仕事は、ダン
ス・シアターでの台詞のある役(タケットの「兵士の物語」でのナレーター役)
のみならず、スティーヴ・ソマーズ監督の『ヴァン・ヘルシング』(2004)での
ヴェルカン王子またの名をウルフマンと、レニー・ハーリン監督作品
「Mindhunters」(2004)でのRafe Perry役という二つのハリウッド映画での役
に結びついた。ケンプの天使のような容貌とクラシックで鍛父えた肉体は、GAP
の2002年と2004年の広告キャンペーンでもフィーチャーされている。

ジェイソン・パイパー Jason Piper

2004年、ザ・スワン
National Youth Dance Company とthe Placeでダンスを学んだにもかかわらず、
パイパーはいつでも役者の本能を持っていた。「僕はいつも言葉を、自分が踊る
作品の中に込めようとしているんだ」。もともとはコール・ドで踊ることが目的
だったにもかかわらず(「無理やり連れ去られたんだ」)、28歳の彼が、ボーン
の作品のためにオーディションを受けることは避けられないことだったのかもし
れない。ザ・スワンを演じるのに必要な基本的な能力は「シャツを脱ぐことがで
きること」だと彼は笑う。パイパーはクーパーほどの肉体は持っていないかもし
れないが、そのスマートで小悪魔的なカリスマ性はスポットライトの中で咲き誇っ
ている。彼は、この役柄での有名人への含みを無視しようとしている。「それは
祝福であるとともに、呪いでもあり、気を散らさせてしまうものだから」。しか
し、彼は「白鳥の湖」での経験が、ダンス界以外のキャリアへと導くのではない
かと期待している。「僕は、本当に難しい仕事というものから脱出しようと思っ
ているからね」

ニール・ウェストモアランド Neil Westmoreland

2004年、王子
キャリアは順調に進んでいたにもかかわらず、28歳のウェストモアランドは、落
ち着きを失っていた。それは、ほかのボーンと仕事をしたダンサーの多くの特徴
でもある。彼はイングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクールで学び、イング
リッシュ・ナショナル・バレエおよび、ノーザン・バレエ・シアターで踊って
「蝶々夫人」でのピンカートン役を始め多くの主役を演じた。怪我をしたことか
らキャリアを中断せざるを得なかった彼は、ダンス界での自分の将来に付いて疑
問を感じた。ボーンのためにフリーの教師として活動していた時、ボーンは「く
るみ割り人形」のリバイバルのオーディションを受けないかと誘った。ウェスト
モアランドは、ボーンが「白鳥の湖」で王子役を踊らないかと聞くとは思っても
いなかった。ダンスのドラマ的な側面に惹かれてきた彼は(Guildhallで演技を
学んできた)、この新しい役がもたらす挑戦を楽しみにしている。細面で少しく
たびれた顔立ち、離れ気味の青い瞳の彼は、アンブラーが作り上げた確信的な王
子像と同じようなアンチヒーロー的なルックスの持ち主だ。しかし彼は、この役
が彼を導く結果については控えめに感じている。「僕はこの役で一体どこに連れ
て行かれるのか、待っているんだ」

ホセ・ティラード Jose Tirado

2004年、ザ・スワン
スペインとサンフランシスコ・バレエ・スクールで学んだ27歳のティラードは、
バヴァリア州立バレエ、ロイヤル・バレエそしてフリーでコール・ドのダンサー
を務めた経験が、ザ・スワンを踊る際のドラマティックな要求に役立つと信じて
いる。「コール・ドのダンサーとして過ごしたすべての晩、僕は何か違うものに
ならなければならなかった。ペザント、悪い男、良い男」。ティラードもまた、
ザ・スワン役が他のダンサーにもたらしたものについて意識をしている。特に、
クーパーへのヒステリックなまでのファンたちについては。しかし控えめに彼は
言う。「女の子たちが僕に欲望を持っていることを感じることは気持ちいいだろ
うな」。彼はその人気に幻惑されることを拒否し、「僕の踊りはアダムのものと
は比べられない、自分自身のやり方で踊らなければ」と決意を固めている。

Jason Piper Interview - How the fit and fabulous stay that way: Jason Piper, 28

体づくりについて語っています。
Times Onlineより November 13, 2004 INTERVIEW by AMBER COWAN

ジェイソン・パイパー(28歳)は、怪我をすることを恐れてラグビーをやめた−が
バレエはもっと危険なことに気がついた。


Q.伝統的に鳥によって演じられた役を演じることについてどう思いますか?
J.僕は難儀なシルクと羽のパンツを穿いているけど、この舞台は全然おかまショー
とかではないよ。「白鳥の湖」が伝統的に女性のバレエであるという事実に逆らっ
て、彼らは男性ばかりの群舞にマッチョな野郎どもを配置した。僕たちは上着を
脱いで走り回るんだ。キーロフの女性ダンサーたちが、残念ながらやってくれな
いことをね。

Q.男のダンサーをリフトすることは大変ですか?
J.不思議なことに大きな違いはないよ。とても軽く見えるけど、ぐにゃぐにゃの
ゼリーみたいな女性と踊ることもあるし、できるかぎりがんばってくれる重たい
男とも踊るんだ。床の上にいる人が全部やっているように見えるけど、空中に浮
いている人も同じくらい一生懸命なんだよ。

Q.あなたは子供時代、ビリー・エリオットのようでしたか?
J.そんなことはないよ。ダンスは単に僕が楽しみでやっていて、あきらめるのを
やめたことのひとつに過ぎない。もう一つの僕の情熱の対象はラグビーだった。

Q.どうやってラグビーボールが白鳥に化けたのですか?
J.17歳の時、レスターのクイ−ズ・カレッジでラグビーをプレイしていたのだけ
ど、突然気がついたんだ。「連中はいまやものすごくでかいけど、もしタックル
をよけられなかったら本気で怪我をする」って。すでにラグビーよりバレエで怪
我したことのほうが多かったのに。ラグビーをやっているとでっかい男が走って
来るのが見えるけど、バレエでは自分自身が最大の敵になるんだ。

Q.なにかこだわりはある?
J.16歳の時、ちゃんとストレッチをしていなくて背中に大きな怪我をしたんだ。
ある日突然凍り付いて床に倒れてしまった。整骨医に行ったら、ちょっとひびが
入っちゃったんだ。それから解剖学について学び始めたよ。今では自分の体調調
節は自分でやっている。自分自身ほど自分の体についてよく知っている人はいな
い。

Q.ほかに痛んだりするところは?
J.ないけど、ダンサーであることの恐ろしい事実は、もし肉体的に健康でなけれ
ばお金を稼げないってことさ。毎朝、ベッドに起き上がって親指を動かしてみて、
「よかった、今日働ける」って思うんだ。

Q.自分自身を厳しく鍛えることと、やりすぎることの間に線引きはありますか?
J.そうだね。僕たちがやっていることは自然なことではない。ダメージを与えて
修復することについての健康的なレベルを保つ方法を編み出さないとならない。
それができなければ、最後には骨粗鬆症のような恐ろしい目に遭ってしまうよ。

Q.どうやって体を鎮めていますか?
J.向こう脛をジェルのフリーザーパックで冷やしている。そうすることで腫れが
引くんだ。そして、2錠ほどイブプロフェインを飲むこともある。

Q.日常的な習慣は?
J.僕は自然の抗炎症剤であるデビルス・クローを使っている。ビタミンCとAがた
くさん含まれているんだ。それから、痣や腫れを引かせるためにはアルニカ・ク
リームを使っている。それから、ホメオパシーの抗炎症剤Ruta grav(訳注:ヘ
ンルータと呼ばれる植物)も使っている。たくさんの抗酸化物質を摂るようにし
ている。最大の敵である、けいれんの原因となる乳酸を取り除くためにね。

Q.食事はあなたにとっては燃料に過ぎないのですか?
J.そうだね。車に燃料を与えているみたいなものだ。僕は食べることが好きだ。
なぜならば、食事は体にいいからさ。

Q.カロリー計算はしている?
J.僕が計っているのは、プロテインが何グラムあるかってことだけだよ。毎日、
体重1キロあたり2グラムに限りなく近い量のプロテインを摂ろうとしている。
僕は食事をすぐ燃焼させてしまうみたいで、体重を増やすことに困難を感じてい
るよ。

Q.何か悪い習慣は?
J.僕のモットーは「何事もほどほどに」だ。僕の悪い習慣は、ハーゲンダッツの
クッキー&クリーム味のアイスクリームさ。

Q.自分は白鳥、それとも醜いアヒルの子、どっちだと思う。
J.自分は平均的だと思うよ。でも、目を変えたいと思っているけど。クマとか笑
いシワができてきているからね。それから、肉体的にもう少し大きくなれたら、
と思っている。

Q.自然に助けは求めている?
J.僕は周りの人と同じくらい、必死だよ。特に、自分の見栄えが仕事に直接的に
影響してしまうからね。


Q.体と同じくらい、魂も鍛えている?
J.僕はクリスチャンだけど、教会に行くのは故郷のレスターにいるときだけさ。
ロンドンの教会には、すぐに答えを求めようとするさまよえる魂たちが多すぎる。
僕にとって、キリスト教とは、いい人間でいることに再び集中することだ。僕の
信仰は、単純に、兄弟愛だよ。

Q.ピルエットは何歳くらいまでできる?
J.ダンサーの賞味期限は長くない。僕はあと何年かがんばって今のレベルを保つ
よ。ある意味では、この後にやることはもう何もない。

Q.これはあなたの究極の作品ですか(白鳥の歌)?
J.そうだね。まるで裸でエベレストのてっぺんにいて、旗を振っているみたいだよ。

Matthew Bourne's Swan Lake 'The Swans and Princes'

Jason Piper, Jose Maria Tirado, Neil Westmoreland, Christopher Marney
ballet.co.ukより January 2005 issue
By Mandy Kent

1995年に初演されて以来、幾多の賞に輝いたマシュー・ボーンの「白鳥の湖」は
世界を嵐のように席巻し、クラシック版のチュチュとタイツの因習を破り、白鳥たち
が男性によって演じられている複雑なドラマを持ち込んだ。
ザ・スワンのパワーと磁力、2幕・4幕の魂を奪うほどの美しさ、ウィットに富んだ
キャラクターと王子の破壊的なまでの悲しみに世界中のダンス観客が魅せられた。

これらすべてが輝かしいチャイコフスキーのスコアと組み合わされて独自の舞台体験
となり、大衆の想像力を捉え、ダンスの経験がほとんど、もしくはまったくない新しい
観客を呼び込んだ。

今年10周年記念ツアーが開催となり、羽根の衣装をつけた白鳥たちが帰ってきた。
これらの愛された役柄に自身の印をしるす男たちに出会うのは、魅惑的な経験である。

今回は二通りのキャストがある。ホセ・マリア・ティラードはニール・ウェストモーランド
の王子の相手役ザ・スワンで、ジェイソン・パイパーはクリストファー・マーニーと踊る。

ホセ・マリア・ティラードは故国スペインでのクラシックなバックグラウンドを経て、
バヴァリア州立ミュンヘン・バレエ、そしてロイヤル・バレエで3年間踊った。
彼は最近では、Protein and Jasmin Vardamon Dance Coでの仕事や、ザ・プレイスで
上演されたアーサー・ピタの新作'Bugger'でピタと素晴らしく風変わりなデュエット
を踊るなど、新しいダンスの探検に入る道を選んだ。

ニール・ウェストモーランドはニュー・アドヴェンチャーズの友人たちにとっては
親しんだ存在である。彼は最近「くるみ割り人形」のサドラーズ・ウェルズでの公演
や極東ツアーで踊り、ニュー・アドヴェンチャーズの出演者たちのデイリークラスで
教えている。

クリストファー・マーニーもまた「白鳥の湖」ファンにはなじみのある顔だ。彼は
2000年のドミニオン・シアターでのツアーに出演し、ヨーロッパツアーでは王子
を演じた。

ジェイソン・パイパーは映画界での活躍で目に触れているかもしれない。彼は
多くの広告でモデルを務めただけでなく映画「ネバーランド」「アルフィー」に出演し
ている。彼のダンスの勉強は、National Youth Dance Company での2年間と、
ロンドン・コンテンポラリー・ダンス・スクールでの名誉学位を含んでいる。
踊りと演技のキャリアとあわせ、彼は時間を見つけ、アメリカをツアーしたバンド
にも参加している。

もちろん、彼らはこの舞台を生、DVD問わず数え切れないくらい多く見ている。
彼らはどのようにこの作品に動かされ、なぜこの作品がこれほどまでに幅広く
アピールしていると思うのだろうか?
「僕はダンスを始めたころにピカデリー・シアターでこの作品を見た」とクリストファー
は述懐する。「バレエスクールに入学したばかりのころだった。僕にとっては
陳腐かもしれないけど、自分が舞台上にいる人間そのものになれるという事実、
テクニックのことだけではなく、自分自身を探検でき、踊ると同時に演じることが
できることが大事だった」

ニール・ウェストモーランドにとって、この作品の力は最近、楽屋口のカフェにて
実感された。「僕らは土曜日に軽食の売店にいて、マーク・モリスの「ハード・ナッツ」
を見に来た子どもたちがたくさんいた。売店のテレビでは「白鳥の湖」のプロモーショ
ンビデオが流れていて、マシューは母親とそこに座っていたんだ。すると小さな男の
子が「白鳥の湖だよ!」と言って、マシューのお母さんが「これが初めて上演された
「白鳥の湖」だと思うわ」と答えた。僕はマシューを見たら、笑っていたよ。この作品
がどんな風に人の心を動かしているかを見るのは、驚くべきことだよね」

4人の主演者はみな「白鳥の湖」に出演することは夢のようであるということ、
そしてこの作品はそれぞれの人生に大きなインパクトを与えたことに頷いている。
ニール曰く、「僕たち王子役にとって、これ以上の役柄はない。演技と踊りの両方を
やっている男性にとってはこんな役は多くはない、と。女性ダンサーには複雑なキャ
ラクターロールがたくさんあるが、男性として、これだけ掘り下げられる役は他にはない」
彼らはみな、この役柄がとても苛酷なものであることを発見した。クリスは言った。
「駆け抜けた後にはもうくたくたに疲れ、感情も涸れ果てているよ」ニールが加える
「初めての時には、本当に心の底から泣いて中身が空っぽになるくらいという気持ちに
なった」ザ・スワンにとってはこの役柄は精神的にも肉体的にも要求度が高いものだ。
「大変な努力を要する役柄で、毎回僕はその努力をしているし美しい努力ではあるけ
ど、今でもすごく大変さ!」とジェイソンは叫んだ。

4人のメーンキャストのうち、クリストファー・マーニーだけが以前にこの役柄を踊った
経験があった。Central School of Balletの卒業生であるクリスはアドヴェンチャー
ズ・イン・モーション・ピクチャーズで「白鳥の湖」と「ザ・カー・マン」に出演したことが
ある。彼は「白鳥の湖」は初期の頃に比べて進化したと感じている。「僕がこの
役を5年前に踊った時から、彼らはずいぶんと内容を変えてきている。そして毎回、異な
ったダンサーたちのためにあわせているんだ。振り付けとして変えているのではなく、
アーティストのために変えている。彼らは、僕たちが自分を表現する方法について多く
の自由を与えてくれている」

マシュー・ボーンは自身の作品を絶えず洗練させていることで知られている。それは、
語り口を明快にするにしても、踊り手に合うように振付を調整するのでも。
マシューや、アソシエイト・アーティストのスコット・アンブラー、エタ・マーフィットの導き
の元、ある程度まで、出演者たちは役柄を自身のやり方で翻案することを奨励されて
いる。ニール・ウェストモアランドが説明する。「僕たちは、同じスケッチを元に取り組ん
でいるけど、明らかに、自分自身にとって何が正しいかを感じなければならない。それ
に加えて、彼らは物語をどのように進めていきたいかわかっているし、
物事があるべき場所にどのように存在すべきか知っているので、僕たちは物語から逸脱
し過ぎることはない。彼らは何がどのように効果を上げているかもわかっており、もう10
年もそのことについて実験を続けている。そして今、彼らは、僕らが何を見なくてはなら
ないか、どのステップが重要か、何に焦点を当てるかを理解している。僕が思うに、
振り付けという意味ではこれは“堅牢”だけどキャラクターという意味では僕らはある
程度自由を獲得しているってことだ。キャラクターの性格描写が、すべての動きの最優
先事項になっているんだ」

ジェイソン・パイパーもまた、作品に修正を加えている。「もし何かを変えたければ、
正当な理由をつけなければならないんだ。スコットが変化をつけたり、何かを教えて
くれて、僕が「それがこうであったとしたらどうだろう?」と聞いたとしたら、ちゃんと
配慮してもらえる。いくつか変更は加えられているよ。マットが来て「それを見るのは
もう飽き飽きだ」とか「それは実際には機能していないよ」って言う。毎回舞台が再演
されるたび、マットとスコットが「その小さなイライラさせられるところを変えちゃおう」っ
て言う機会になるんだ。彼らはいくつか変更を加えて、あえて言えば僕たちももっと
創造しているんだよ!僕たちは間違いなく、このショーを作り上げた人々の膨大な
経験の受益者であり、何度も何度も数え切れないくらい観ていて、新鮮に保ちたい
と思っていて、今もなお霊感を与えるものだと感じているんだ」

プロダクションを磨くことに精を出す一方で、マシューにとって大事なことは、この舞
台が感情的なレベルで成功するためにも、キャラクターたちが現実に根ざしていること
だ。ニールは語る。
「彼らはこの物語をとてもリアルなものに保ちたがっている。そのことに彼らは焦点を
当てているんだ。2幕、4幕の“白の幕”は動きといい、すべての見え方といい、とても
雄弁であると思っている。とても美しくて、とても効果的だ。でも、1幕では、彼らは
これをとてもリアルな物語に戻したいと思っていて、コメディ要素をほんの少し取り外
し、登場人物すべての個性を際立たせようとしているんだ。だから、この幕ではバレ
エ的なジェスチャーはなく、出演者たちは自分自身の道を行き過ぎないようになって
いる。マットは舞台がとても真実味があることに重点的に取り組んでいて、
彼らは時を経て、そのことがますます重要になっていることを学んでいる」と。

話の筋でとても基本的な前提は、ザ・スワンは王子の想像上の産物であり、王子は、
ザ・スワンが象徴する美しさと自由に取り付かれているということ。それは、彼自身
の、それがなければ悲しく愛に欠けた人生の中で執着しているものである。王子は
王族のしきたりと義務にがんじがらめになっている人生にそぐわない存在である。
彼は絶望的にも、冷たくよそよそしい母親、女王に愛され認められるために、王子
としての義務を果たそうとしているのだが。

スコット・アンブラーによるオリジナル・キャスト、そして後にはベン・ライトとアンドリュー
・コルベットによって演じられた王子を見て、王子の壊れやすい精神状態を観客に確
信させるのはチャレンジだと思わなかったか、と尋ねられたニール。
4年間のノーザン・バレエ・シアターでの経験からダンス・シアター界に確固たる地
位を築いた彼は、王子の狂気への過程を確信させるこの機会を楽しんだ。
「僕は、ザ・スワンは自分の想像上の産物であり、王子の頭の中に存在しており、
王子はとても弱々しく、傷つきやすく、心の中でさまよう傾向があるように演じている
んだ」
一方、クリス・マーニーは「これがすべて夢だと考えるのは僕にとっては難しいよ。
3幕では、たしかに明らかに王子の妄想である部分はあると思うけど、2幕と4幕は、
実際にはありえないかもしれないけど、僕たちは二人とも真実だと思って演じている」
と言う。

王子の狂気の大部分は、ロイヤル・ファミリーを操ろうとする策士である、執事の陰謀
によるものだ。この役柄はきちんと定義づけられたことがなく曖昧な存在だが、いくつ
かの要素はロットバルトに相当するものであり、さらに女王を操るため、求婚者として
紹介しようとしたザ・ストレンジャーは、おそらく彼の息子である。

ホセ・ティラードはこのキャラクターを、「僕は執事は、ここで起きたことのすべての
原因であると思う。彼は王子をよく観察していて、監視していて、王子が野生の白鳥た
ちをよく見ていることに気がつき、王子の心の中で何が起きているかを知っていて、
どうすれば王子の心をザ・ストレンジャーを使ってかき乱すことができるかも知ってい
る。そうやって王子に衝撃を与えられることがわかっているのさ」と表現した。

ジェイソン・パイパーは述懐する。「僕たち出演者は、キャラクターについて話し合う
ミーティングを開いた。マットはいくらかの真実味を加えようとしていて、執事はもっ
と現実的なキャラクターにしようとしたんだけど、マットを含む全員が、そのことで
何かが失われようとしていることを感じたんだ。彼の悪意と曖昧さは必要なのさ。
観客はそのことについてちゃんと読み取ることができるし、そうしようとして頭の中
から「これはこういう意味なんだ」と追い出そうとする瞬間、それで終わりだ。Xという
重要な要素が失われてしまう。この繰り人形師、糸を引いている禿げ頭の悪い男は必
要な存在さ。僕たちは、王室のおべっか使いや従僕がどうやって物事を操るか知って
いるから、このことは観客と深い共鳴を起こす。彼らは、どんな組織や会社でも、糸を
引っ張り物事を操っている人間を見ているのだから」

作品の要となる二役=ザ・スワン/ザ・ストレンジャーは、元ロイヤル・バレエのスタ
ーであるアダム・クーパーによって有名になり、後にウィル・ケンプやサイモン・クー
パー、そして他のダンサーたちによって踊られている。この役は夢の役であり、シンプ
ルかつ魔術的な美しさと信じがたい振付を組み合わせたものである。ホセ・ティラード
はこの役の挑戦によく似合っており、なおかつ彼は背が高く黒髪でとてもハンサムだ。
彼はこの役をこう考えている。「ザ・スワン役の骨組み、基本はとてもクラシックなも
のだ。僕はクラシックのダンサーとして訓練を受けてきて、ステップのことだけを言う
ならこの作品は極めてクラシックだ。でも何人かの人々が考えているほどクラシックな
作品ではなく、もっとコンテンポラリーなものだ」

もしかして、コンテンポラリーな訓練がこの役には適切なのだろうか?元ラグビー選手
のジェイソン・パイパーはリチャード・アルストン・カンパニーや、カイリー・ミノー
グ、クリスティーナ・アギレラやシャーイー・バッシーといったスター歌手と踊ってき
た。彼は、今までの訓練が彼の踊るザ・スワンに影響を与えていることは認めている。
冗談っぽく彼は言う。「僕は出発点から、他のみんなよりも12インチくらい地面に近い
んだ。そして僕は床の上を転がりまわる時には、コンテンポラリーっぽい動きをする。
僕のザ・スワンは性的な意味でたくましく、間違いなく3幕では良心のかけらもない、
レザーパンツに身を包んだセクシャルなテロリストの役柄をなぞっているのさ!僕は
ジャズとポップ、バレエを少々学んできたので、それは僕の長所でもあり弱点でもあ
る。僕はスペシャリストではないけど、素早く変わることはできるよ」ジェイソンの
良いルックスと運動選手のような体つきは、ザ・スワンは際立った存在であることを
強調しており、モデル業、そして映画出演に引っ張りだこなのも頷ける。

マシュー・ボーンが「白鳥の湖」にキャスティングするダンサーには、ダンスのスタイ
ルの多様性と振り付けの中に秘められた演技力が求められている。
ニール・ウェストモアランドは同意する。「マシューが選ぶダンサーのタイプは、必ず
しもコンテンポラリーのダンサーや、クラシック・ダンサーである必要はない。多く
は、何でも屋であり、誰もが、どんなジャンルも少しずつできる。それが、彼がその手
のダンサーを選ぶ理由なんだ。そのほうが舞台を面白くできるし、彼らは広い心をもっ
ているから、ひとつだけのことを考えているんじゃない」

ダンサーに求められる多才さには、この作品を演じる上では避けられない、パートナー
の交代やミックスに対応できる能力も含まれている。
キャストは二通りだが、3人の女王役がこの役柄を共有している。現在の二組は強いパ
ートナーシップを築いているが、誰かが病気に倒れたり怪我をしたときには、もう一人
の相手と適応しなければならない。ニールは「僕たちは今のパートナーとの関係を堅く
するため一緒に踊りつづけるけど、ツアーは一年近くの長さなので何かが
起き、相手が交代しなければならない可能性は高い」と言う。ジェイソンは付け加え
た。「僕たちはそれをできると思うけど、それは少し努力を要するものだと思う。僕が
この役を得たとき、相手役は身長が187センチあるヘンリー・セント・クレア(現ロイヤ
ル・バレエ)だったけど、そんなに大変ではなかったよ。違う種類のザ・スワンに
ならないといけないけどね」
男たちは互いをリフトしなければならないが、相手役の身長や体重よりも、どうやって
彼がリフトをアシストしてくれるかの方が大切なのだ。

では、ディレクターは誰がツアーをスタートさせるかどうやって決めているのだろう
か?"ファースト・キャスト”はあるのだろうか?
クリストファー・マーニーが説明する「このカンパニーは、その手のことをあまり重要
視していないんだ。サドラー・ウェルズに行けば初日はあるし、マスコミ招待日がある
し、僕たちが共有するあらゆる特別な機会がある」
ホセ・ティラードはクリストファーに同意して言う。「ファースト・キャストとかセカ
ンド・キャストという発想はソリスト、ファースト・ソリスト、そしてプリンシパルと
いった序列があるクラシックのカンパニーから来るものさ」と。
ジェイソンの意見は「こういう考え方はカンパニーの外の人間しか意味がないことで、
人々はファースト・キャストの日を見たがっているってことだけど、それは単なる認識
の問題さ。舞台の本当の良さとは関係ないことだ。なぜならば、1週間に2回出演するな
らば、週に6回出演する人と同じくらい良く演じなければならないからだ。簡単に出演
者を置き換えられないのだから」
幸運にも、ダンサーたちは職業上の嫉妬にさいなまれることはなく、とてもうまくいっ
ている。ニール・ウェストモアランドは喜んでいる。
「僕たち4人がいかに、ともに仕事をしたかは、実際とてもユニークなことだったん
だ。今回のように、プロとしての緊張感について何の問題もなかったってことは、今ま
でにない経験だった。ぼくたちのリハーサル期間はとてもいい時期だったよ。本当に
みんな良くやったと思う。ホセとジェイソンの間の絆はとても深まっていて、一緒に週
末を過ごすおばあさんたちのようだった」

初演以来、王子とザ・スワンとの関係は多くの波紋を投げかけてきた。"ゲイ版”の
「白鳥の湖」というカテゴリ付けは、多くの過熱した議論を呼んだ。ホセ・ティラード
の考えはこうだ。「人々はレッテルづけをしがちで、女の子の代わりに男性がいるとゲ
イのレッテルを貼りたがるのさ」ニール曰く、「これは性についての話ではない。
彼=王子はとても混乱していて、幸せではなく、苛まれていたので、この男、ザ・スワ
ンが彼のすべての答えとなったんだ。彼はスワンのように自由になりたかったし、自由
こそ彼が欲していたものだった。彼のように自由になりたかったし、彼の人生の中に
ある抑圧を捨てたかったし、すべてを忘れたかったんだ。」
ホセが続ける「これはセクシュアルなものではなくて、象徴的なものであり、野生の動
物のあるべき姿で「飛び去ることができる鳥になりたい」という願望を示しているん
だ」
ジェイソンは、この作品がゲイであるというレッテルを貼ったタブロイド紙はおそらく
舞台を観ていなくて、センセーショナルに捉えているだけだと付け加えた。

最後に、ザ・スワンたちと王子たちは、この舞台の中でお気に入りの瞬間についての思
いを語った。クリストファー・マーニーは「僕にとっては女王とのデュエット、そこで
の緊張感が好きだ。そこには多くのことがこめられていて、観客に観て欲しいことがあ
まりにも多くて、その裏にはあまりにも多くのことがあって…それなのに、とても短い
んだ。2分間しかないんだよ」と言う。
それは確かに、物語の中でも重大な一瞬である。女王の心がいかに隔たっているもの
か、王子がいかに絶望的に彼女の愛を欲しているかを強く表現している。

ニールもまた、このデュエットを大切に思っている。「僕も実際この瞬間は大好きだ。
音楽もとても美しくて、ゴージャスとしか言いようがないし」しかし、彼には他にもお
気に入りの瞬間がある。
「1幕の王子と女王のデュエットもそうだけど、3幕の終わりの銃を撃つシーンも好き
さ。それから、4幕の始め、王子が狂気に陥るシーンや死を演じるのも同じくらい好き
なんだ。すべてを演じきることを僕はとても楽しんでいるよ。すっごくエキサイティン
グさ。ハロッズのパジャマも着られるしね!世界中でこれは大人気さ」

ホセ・ティラードにとっては4幕がお気に入りである。「最高の幕だよ。とても特別な
ものだ。また、2幕で音楽がとてもゆっくりになるところが好きだ。僕はスローな音楽
が好きなんだ、素晴らしいよ」

ジェイソンは冗談っぽく、「正直言うとこの舞台は好きじゃないんだよ!」
それから、彼もまた4幕が、そして3幕のザ・ストレンジャーと王子とのタンゴが好き
だと認めた。「照明が青くなると、王宮の外に浮いている泡にのようになって、夢のよ
うな場面になるんだ。自分のキャラクターの抑圧からいろんな意味で解放されて、それ
が好きなんだよ」

もうひとつの彼のお気に入りの部分は、"青いタンゴ”の後、ザ・ストレンジャーが
ザ・スワンを模倣して額から鼻にかけて黒い線を描きながら嘲笑するところだ。
ホセもジェイソンもこのシーンについては熱く語っている。
「この役を演じることに興奮する理由の一つがこのシーンだよ!」とホセは叫んだ。
ジェイソンは、鏡の助けなしでこれを正しく行うことの難しさを説明した。「初めて
これをやったときここに描いてしまい(とおでこを指して)そして間違ってここに行っ
てしまったんだ!(と鼻梁を指差した)鼻の先にきちんと描くためのテクニックはまだ
教えてもらっていないんだよ」

ザ・ストレンジャーの顔へのペインティングは果たしてうまくいくのか?うまくいくと
いいけど、それをその目で確かめるために、ロンドンのサドラー・ウェルズでの冬のシ
ーズンか、来春の日本もしくは韓国での公演を観て、あなたもお気に入りの瞬間をいく
つか捉えてみませんか?

上記記事の未収録部分が以下のところに掲載されています。

http://www.matthewbourne.org/swanlake_mk_interview_nov04

2004年11月15日、マンディ・ケントはマシュー・ボーンの「白鳥の湖」10周年記念
リバイバル公演の主演の4人をインタビューした。4人とは、ザ・スワンを演じたホセ
・マリア・ティラードとジェイソン・パイパー、王子を演じたニール・ウェストモアラ
ンドとクリス・マーニーである。このインタビューはBallet.co.magazineの1月号に
掲載されたものであり、以下に掲載されているのは、記事に掲載されなかった会話の
断片である。

マンディ・ケント(MK):ロイヤル・ファミリーの存在っていまだに新鮮なものなの?
「白鳥の湖」が初演されたころは、ロイヤル・ファミリーはニュースの先頭を
飾っていた。ダイアナやファーギーの件で。今、これらのキャラクターを出して
いるのは少し時代遅れじゃない?

ジェイソン・パイパー(JP):先日僕たちは話し合っていたんだよ、それがいかに
今日的であるかということについて。

MK:だって、作品の中にウィリアム王子かハリー王子がいたらよかったと思って
いたんじゃないかと思ったから。

JP:ハリー王子のやっていることは、ある意味似ているよ。

ニール・ウェストモアランド(NW):すごく奇妙なタイミングだよ。いや、僕はこの
題材が時代遅れのものだとは思わない。僕はこの状況は、イギリスのロイヤル・
ファミリーでは何年経とうが今も起こっていることだと思うし、ロイヤル・ファミ
リーが存在しつづける限り起こるだろう。それをこの作品は示しているんだよ。

JP:いつでもスキャンダルはあった。いつもハリー王子のような存在がいるんだよ。
ダイアナ妃についてもある側面ではそれほど前のことではないし、観客はその
ことを思い出させられるだろう。反面、僕が以前言った通り、この舞台の
力強さはその曖昧さの中にある。去る10年間の間に、人々は多くのあらゆる
似たような出来事を見たであろうし、ロイヤル・ファミリーはその中で一番有名
であるってだけのことさ。

クリストファー・マーニー(CM):この舞台はロイヤル・ファミリーにも受けたよ。
エリザベス女王は、Royal VarietyPerformance(訳注:王室主催の
チャリティ・バラエティ・ショー)のために作品の抜粋を要望したんだ。彼ら
からはとてもよい反応があったらしい。

MK:ここには、ガールフレンドのいる王子がいて、彼女との関係が良くなかった
にしてもキスをしていて、彼は彼女のことが好きで、そして彼女は彼をがっかりさせ
た。
それなのに王子がザ・ストレンジャーを見たときには、彼は非常に強く惹かれた。
王子が感じているのは曖昧な感情で、彼がゲイなのかストレートなのかは
わからないし、彼自身実際なぜザ・ストレンジャーに魅せられているのか自分
でもわかりかねていた。

NW:僕は、王子はその時点でまったく理解できていなかったことを確信している。
それは性についてのことではなく、彼はひどく混乱していて、とても不幸せで、
苛まれていて、そのときにこの男、この白鳥はすべての答えとなった。彼は自由
の象徴であり、それこそが王子が欲していたもの。王子は白鳥のように自由で
ありたかったし、今の生活の中にあるプレッシャーから逃れたがっていて、すべて
を忘れたがっていたんだ。

ホセ・マリア・ティラード(JMT):これは特定の誰かについての話ではない。性的
なものでもない。これは象徴であり、自由とは何か、動物というのはいかに野生
のものであるか、ということだ。鳥になって飛び去りたいという願望なのさ。

JP:白鳥が馬とか他の動物ではなく鳥であるということが大切なのは、そういうこと
さ。何か自由で解放されていて巨大であるもの。白鳥が空を飛んでいるということは
とても重要だ。馬に乗ったって、そんなに遠くには行けないしね。

NW:翼のある馬だったら大丈夫さ!

JP:ペガサスならね!


MK:この舞台が終わった後にやることは、落ち着くことかしら?

JP:僕は去年活動を休止したんだ。僕は踊るのをやめたんだ。僕の興味を引くものは
何もなかった。それは傲慢だったってことではなく、無関心だったってことだ。

MK:でもあなたはダンスのキャリアと同様、演技やモデル、そして音楽にも
取り組んでいるわよね。これらすべてをうまくこなすことはできるの?

JP:コツは、一度にひとつのことに集中することさ。僕はすべてを完璧にこなしてい
るって言っているわけじゃないけど、すべてをうまくやろうと努力しているよ。
僕がバンドとともにアメリカにいたときも、健康を保とうとしていたしね。

僕は3年後にこれらのことを始めようとは思っていない。これを3年以内に学ぼうと
思ってはいない。27,8歳というのはいい年で、セクシーだと感じるほどには若く
て、
脚には弾力があり、体には順応性がある。30歳を過ぎたころには、体は適応力
が以前ほどなくなってきて、僕にとっては、かなりの努力を要するようになり、これ
が快適なことになるまでにはずいぶんと長い道のりとなると思う。
それは大変な努力で、毎回それに僕は挑んでいて、とても美しい努力だと思うけど、
いまだにすごく大変なことさ!

MK:ザ・スワンの役は肉体的にはすごく大変じゃないかしら?

JMT:肉体的にも精神的にも大変だよ。舞台の最後にはもう死にかけていて、
自分自身を、まるで死んだ人のように変身させなければならない。すごくたくさんの
感情を潜り抜け、それをすべて表現するわけではないけど感じなくてはならない
から。

JP:3幕を終えて、観客が知る限りでは、僕たちは羽根で覆われた白鳥で、ある
種のセクシュアルなテロリストで、セクシーな変わり者で、そこには弱さなど微塵も
なくて、すごくアグレッシブで怒っている。そんなところへ、4幕ではベッドの中か
ら現れて死にかけているんだ。

MK:それは、あなたが襲われた後?

JP:いや、ベッドから出てくるときにはすでにダメージを受けているよ。

MK:あら、そのことには気がついていなかったわ。私は、あなたが他の白鳥たち
に後で襲われていたと思ったの。明らかに日本の観客は、ザ・スワンの体に
刻まれた赤い傷にショックを受けていたようだけど。彼は傷つけられて、弱って
いる。それが、なぜ他の白鳥たちが彼に敵対しているかの理由よね?動物
は弱くて傷つけられた生き物を襲うものだから。

NW:それは王子の弱まった心であり、それがザ・スワン像に影響を与えている。
彼はひどく混乱していて、自分に何が起こっているのは神のみぞ知るという状
況で、彼の心も混乱しているので、ザ・スワンの姿もそう見えるんだ。

JMT:スコットが言っていたように、ザ・スワンは夢であり、ザ・スワンの死は彼
にとっては夢の死であるんだ。

MK:私は、自分が「マイヤリング」のルドルフ皇太子と王子の共通点を発見した
のは新しい発見だと思っていたの。それから私はマシューの本を読んで、その
ことがすでにたくさん議論されていたのを見たわ。それでも、私はルドルフと王子
の自己破滅には強い共通点があることを感じた。ルドルフはもっと強い人間
かもしれないけど。ルドルフは女性たちを利用したけど、王子は女性たちに
利用されているわよね。あなたは何か比較すべき点を感じたかしら?

NW:僕たちはルードヴィヒ2世について調査をしていて、彼はルドルフよりも
少し弱かった。さほど女性から性的に動機付けられていないし、麻薬やその手
のものにかかわっていなかったけど。

MK:「白鳥の湖」にはドラッグは登場しないわよね?

JP:スワンク・バーにはコカインの袋があるけど本物じゃないんだ。

NW:でも王子には関係ないんだ。彼はわなにはめられているから、酔っ払って
いるんだよ。

MK:彼はクラブで飲んでいるわね。

NW:そして彼はアパートの部屋でも飲んでいるんだ。女王が彼を訪ねたときに。

JP:もしこの作品が今か15年後に作られたとしたら、同じくらいの衝撃か効果
を与えるには、コカインの線を吸い込んでいないとならないね。

NW:飲酒することは、何かもっと大変なことに入り込む最初の一歩なんだ。
僕は誰もがすぐにまずエクスタシーやコカインをやってしまうものだとは思わない。
大体誰がどうやって王宮にそれを持って行くんだい?



タイツ姿の男たちが帰ってきた

Times Onlineよりマシュー・ボーンのインタビュー(by Clifford Bishop)August 08, 2004

マシュー・ボーンの性転換版「白鳥の湖」は観客に衝撃と畏敬の念を起こさせた。その動
物的な魔力は再びかけられるのだろうか?

1995年に初演されたときにマシュー・ボーンを迎えた見出しの中に、ボーンが一番多く
予想していた「チャールズ皇太子がゲイ・バレエで舞台に登場」はなぜかなかった。
「僕は、タブロイド紙はおそらくそうやって取り上げるだろうと思っていたけど、”ロイヤル・
ファミリー内での機能障害”についての奇妙な表現にもかかわらず、その要素は完全に
無視されていた」
この「白鳥の湖」ではチュチュに身を包んだ女性の白鳥や、クラシック・バレエの小白鳥
たちは、男性によって置き換えられている。伝統的な、魔法にかけられた白鳥の姫は、
裸の胸の、羽根に包まれた尻の、鳥類の牧神となり、脅威的な魅惑を持ったアダム・ク
ーパーによって演じられた。
そして混乱していて、自殺願望を持った不幸な王子が、この伝説的な、そして明らかに男
性的な生き物に、深く恋に落ちてしまう。王子は恋するあまり、白鳥が母親の新しいおも
ちゃと似ていると感じたとき、嫉妬のあまり彼女に襲い掛かり、強制的に収容されてしまう。

「不思議なことに、この作品はロイヤル・ファミリーにとって親しみのあるものだと理解して
いるよ」とボーンは言う。「でも僕にとって、この物語はもともとのバレエに存在しているも
のだった。女王はいつも息子をどこかの王女と結婚させたがっていて、彼は嫌だと言って
いた。彼は明らかに他の誰かを探していた。そして、その当時とてもいえなかったけど、
僕の頭の中にはゲイの王室メンバーという考えが浮かんでいた。決して本当のことは言
えないから、そうだとしたら悲惨なことだろうと。ニュースはいつも王室スキャンダルでいっ
ぱいだった。公的な顔とプライベートな生活を持っている人々、ダイアナやファーギーたち
についての。それはとてもタイムリーなことに思えたし、「白鳥の湖」を通じてそれらの要
素をみることができたら面白いだろうって。」

このことについてメディアが取り上げなかったのは、ボーンの視点の力強さに敬意が払わ
れたからかもしれない。一瞬の皮肉の代わりに、彼はその源流と同じくらい強く普遍的な
ものを作り上げた。そして王室制度についての見解を語る代わりに、彼はCNNに出演し、
アダム・クーパーとデイム・マーゴ・フォンテーンの写真が並べられる前に座っていた。

「もともとは、この舞台はサドラー・ウェルズで2週間だけ上演されて、イギリスをツアーする
だけの予定だった」「でも、何かが起きていることは明らかだった。初日の休憩時間に、キ
ャメロン・マッキントッシュが、この作品をウェスト・エンドで上演すべきだと言った。そして翌
日には新聞に載っていたよ。アート欄ではなくニュース欄に」 限られた賞味期間の新奇な
バレエだったはずだったのが、世界的に成功し、ウェスト・エンドとブロードウェイでの上演で
は賞にも輝いた。「ある時点で」とボーンは言う。「誰かが、われわれが「白鳥の湖」をロイヤ
ル・バレエがその歴史の中で上演した回数よりも、多くの回数公演してきたと計算したんだよ」

性別を入れ替えた「白鳥の湖」に危惧されたのは、滑稽な、翼の縛られたような戯画化にな
りがちであるということだった。が、ボーンが常に捉えたかったのは、大きく成長した白鳥たち
の力強さ、誇り、そして内に秘めた暴力性であり、それを彼は、男性のダンサーによって踊ら
せることによって表現することができると考えた。リハーサルの間、彼は何回も何回も白鳥が
釣り舟を襲う映像を見て、それがどれほど恐ろしいかを記憶した。

今年のクリスマスのサドラー・ウェルズでの「白鳥の湖」新製作は、2000年以来のロンドンで
の公演。この公演のために、マシュ−はこの美しい恐怖の感覚を染み込ませることのできる
二人の新しいダンサーを探さなければならなかった。「アダムの代わりとなるダンサーを見つ
けることは問題にはならなかった。アダムは勿論素晴らしいけど、彼が出演していなかった上
演の方が数は多いし、彼がいてもいなくても反響の大きさは同じだった」
彼が選んだダンサーたちはとても異なるバックグラウンドの持ち主である。ホセ・ティラードは
長身のスペイン生まれ、27歳で元ロイヤル・バレエのダンサーである。ホセは貴族的な物言
いで、「アダム・クーパーとも他の誰とも比較されたくない」と言う。より小柄な、28歳のジェイ
ソン・パイパーは「バレエなんて大嫌いだ」と決意し2週間でロイヤル・バレエスクールを退学
し、ラグビーのユースチームに参加するために故郷のレスターに帰った。ハードなタックルを受
けたことで彼はダンスに集中することになり、以来、リチャード・アルストンからカイリー・ミノー
グ、クリスティーナ・アギレラといったアーティストと仕事をしてきた。

マシュ−が語ることによれば、二人はともにカリスマ性とセックス・アピールを兼ね備えている。
「動物的な魔力を持っていなければ、ザ・スワンは機能しない。彼は王子をもてあそぶのでは
なく威圧しなければならない。そして後ほど舞踏会にザ・ストレンジャーとして乱入する時、彼
は男女時問わずその場にいる者全員の注目を集めなければならない。でも、本物の男でない
とならない。この役を演じたいと言っているバレエダンサーはたくさんいるけど、機能しないこと
がほとんどだ。ひどいことを言うようだが、多くの男性ダンサーはリハーサルの空き時間の間
中、バレリーナに死ぬほどなりたがっている。彼らはすべてのステップを練習していて、バレ
リーナの位置に立ちたがっているんだけど、それだけはして欲しくないんだよ。

ティラードとパイパーは、彼らが演じるザ・スワンにはゲイらしさは何もないと確信しており、ク
ーパーも、今でも彼にとっていちばん有名であるこの役について質問された時、性的な含蓄に
ついては重視していないと答えていた。彼にとって、この生き物は王子の実現できない理想像
であり、何か力強く自立していて自由なものの象徴である。実際、この生き物の性的な精神病
理学について文字通り受け止めたとしたら、ボーンは観客に単なる同性愛的なものよりも超越
したものを与えているはずだ。クラシック版の「白鳥の湖」ではオデットは王子とのパ・ド・ドゥの
前に白鳥から姫へと変身する。ボーン版では、変身シーンはない。愛のデュエットは青年と鳥
とで踊られている。

ボーン版で初めて王子を踊り、今は新しいキャストを指導しているスコット・アンブラーは語る。
「すべてのザ・スワンとすべての王子は違ったヴァージョンとなっている。なぜならば、観客が
自分自身の物語をその上に載せることができないほど物語をはっきりとしたものにしたくなか
ったからだ。だからこそ、この舞台はこんなにも人々にアピールする。一つのレベルでは、これ
は少し気が狂っていて、白鳥に恋をしてそれを思い出させる男性にである王子の物語だ。別
のレベルでは、これは野望と希望と夢が死ぬことについてのストーリーなのだよ。そして、もち
ろん、強迫観念についての話でもあるのだけど、強迫観念は必ずしも性的である必要はない」

ボーンもまた、彼の「白鳥の湖」がこんなにも魅力的な作品である理由の一つは、「愛された
いという普遍的な願望、多くの現代劇や映画、ダンスですら希薄すぎて満足させられない、人
々が経験しなければならないリアルで願望、むごい感情に訴えるからだ。でもそのこと、つま
り感情を大きく動かされることこそが、私たちが劇場に行きたい最大の理由だ」と言う。

ドミニオン・シアターでの前回の「白鳥の湖」ロンドン公演の時のことを語るとき、マシューは少し
疲れきっているように見える。「舞台が終わった後数え切れない数の人々が涙を流しながら僕
のところにやってきて、礼を言ってこの作品が人生を買えたと口々に語っていた。観客がこの作
品に対して抱く情熱の強さはいつも僕を驚かせた。しかし強い感情はこの舞台の間中、集中し
ていたように見えた。舞台上でも舞台裏でも」。3年前、ボーンは1989年以来彼のアドヴェンチ
ャーズ・イン・モーション・ピクチャーズのマネジメントを担当していたキャサリン・ドアと袂を分か
つ決心をした。訴訟問題の重い後遺症の中、ボーンは「白鳥の湖」の権利を失ったことに愕然
とした。公演のロイヤリティを受け取ることができても、彼は最も人気があったこの舞台につい
て口出す権利をなくしてしまったのだ。

法律的な問題から、ボーンはまだ詳細について語ることを避けているが、こう語った。「去年、
青天の霹靂で権利を売り戻したいという電話を受け取ったんだ。僕は一ポンドか、コイン一枚
でと言うこともできたんだ。しかし、実際には現在のカンパニーであるニュー・アドヴェンチャー
ズは1万ポンドあまりを払ったので、馬鹿げた話ではなかった。この作品の権利はもっと価値
があるものだが、まだ債権者が存在している。オリジナルのプロダクションに対して貸しを持っ
ている人々がまだいるんだ」9年間の激賞と満席の劇場を考えると理解しにくいことではある。
特に、2年前にサドラー・ウェルズで初日を迎えたボーン版の「くるみ割り人形」と比較した場合
に。「この作品は8週間から10週間の間に投資を回収したんだ」と彼は言う。「僕たちがこの10
年間でどれほどのことを学んだかを計るものであり、再びこの作品を上演しようと思う唯一の理
由でもあるんだ」

「白鳥の湖」の成功について、彼は「怖いような感じで、少し悪夢のようでもあったよ」と追懐
する。「こんなことは前代未聞で、それを維持することがいかに大変であるかについて準備も
できていなかったんだ。交代要員でどれほどの人々が必要で、彼らを訓練することがいかに
大変であるかということもね」「この作品に関わったすべての人々の人生も変えたし、誰もがこ
れを成し遂げたことに感謝しているけど、これを動かすために払った努力については悪い思い
出もたくさんあるよ」今回はそこまで大変ではないと彼は信じているが、ダンサーたちには血
と汗と涙しか保証していない。「これは2週間に2、3公演しか踊らなくて済むような通常のダン
サーの仕事ではない。彼らが経験しうる最もハードなダンスを週に8公演やるんだ」と彼は笑う。
「一体何が彼らを待ち受けているのか、彼らは知らない」

少なくともこの舞台は、彼らが観客と分かち合える経験である。

Jason Piper (The Swan/The Stranger from Swan Lake) interview

the stage online より

Thursday 11 November 2004 02:00 PM

心はピアニストだが職業はダンサー。28歳のジェイソン・パイパーは昨年、自分の人
生には計画性と定期的な収入が欠けていると感じた。
初めてやってきた大きなダンスショーの役のためにオーディションを受ければ、しば
らく契約関係にいられるので受けようと決心した。
「僕はちょっとした収入が得られるナイスな仕事が欲しかったんだ。後ろのコール・ドと
踊る簡単な仕事をね」
しかし結局彼は、マシュ−・ボーンの画期的な「白鳥の湖」男性版の主役に収まった。
「マシュ−は僕に、主役のオーディションの週にやってくるように言って、僕の踊り
について素敵なことをたくさん言ってくれた。僕の自尊心がそのとき勝って、あとは
すでに決まっていたかのようにのように進んでいったよ」

パイパーはこの時点では、おそらく今まででもっとも有名なバレエの主役スワンを演
じるには、通常のキャリア通りの人生を歩んでいたわけではなかった。「きみはダンス
界のデヴィッド・ベッカムなんだよ」
実際、彼はしばらくダンサーではあったが、2週間でロイヤル・バレエ・スクールを退
学した。後ほど、よりクラシカルなコンテンポラリーダンスカンパニー、リチャード・ア
ルストン・ダンス・カンパニーを、賞に輝いたカイリー・ミノーグの「Fever」ワールドツア
ーに参加するために退団した。

日曜の舞台芸術学校でバレエ、タップ、アクロバティック、モダンを学んだ後、パイ
パーは疲労と、女の子たちといっしょに着替えをしなければならないことから7歳で
一度ダンスをやめた。
ナイトン・フィールズ・ダンス・アンド・ドラマ・シアターのクラスに彼を選抜した、レスター
地方バレエ計画のバレエ教師ヴァレリ・エグリと出会うまで、彼はラグビーに熱中して
いた。ナイトン・フィールズで彼はスー・ローゼンブルームとコンテンポラリーダンスを学
び始めた。「もし僕が今ダンスで有利な点があるとしたら、そこでの経験によるものさ。
僕は12歳でダンスを始め、彼らと舞台に立つためにこの世界に戻ってきた。この仲間
たちに出会えたら、もう二度と離れたくなくなる。彼らは若者たちへの素晴らしいダンス
計画を持っている、信じられないほど情熱的な教師たちだ。
プロとして踊っていても、彼らと一緒にパフォーマンスしているときほどの素晴らし
い瞬間は経験したことがなかったよ。」

パイパーはロンドン・コンテンポラリー・ダンス・スクールでの3年間のコンテンポラ
リーダンスの学位を取る前に、ナショナル・ユース・ダンス・カンパニーに参加した。
3年生の時には、ザ・パレス劇場の座付きカンパニーであるリチャード・アルストンと
活動を始めた。「同級生たちがコース卒業に取り掛かっていたとき、
僕はカンパニーと中国でのツアーに参加していた」次に彼はポルトガルのカンパニア
・ポルテギーサ・デ・バイロ・コンテンポラネオで1年間を過ごし、ロンドンに戻って
ジャズエクスチェンジのシェロン・ウェイと活動した。

「白鳥の湖」のワールドツアーでの自分のパフォーマンスについて、「僕の目的は舞
台を面白くすることだ。
僕は正直でいたい。僕は人々が自分が何者であるかをしばらく忘れさせたいんだ」