ばにらちゃんの飼い主さんから、最後の闘病の様子を教えていただきました。

(事務室の方で、少し編集してあります。)




ばにらが亡くなって1年半以上の年月が経ちました。
前回、長寿うさぎアンケートページに様子を報告した98年12月ごろから、ばにらが月に帰る少し前の99年5月くらいまで、我が家では色々なことがありました。

うちにいる他のうさぎ、くるみちゃんが出産してその7つ子の里親探しをしたり、長寿うさぎのるりちゃん(当時9歳)を、よそから引き取ったり極めて多忙でした。
その間、それまでと同じ時間ばにらに向き合っていなかったのでは、と後悔する部分もあります。しかし病気が徐々に進行しつつも大きな問題は起らなかった、幸せな時期だったかもしれません。

その間のばにらは、各メンバーへの牽制も怠らず、新メンバーには時には流血するほどのケンカをふっかけたりするほど元気に暮らしていました。年の功か気性の激しさか、相変わらず我が家のうさぎ階級の頂点に君臨していました。しかし、くるみの子うさぎ達にはなぜか全く手を出さず、暖かく見守っているという微笑ましい雰囲気もあり、にぎやかに暮らしていました。


7匹の子うさぎと、ばにらちゃん(まん中、一番奥)


ばにらの右頬に溜まった膿は止まることなく、毎日少しずつ生産されているようでした。

この頃も膿出しをしていたのですが、どれくらいのペースでやっていたのかは思い出せません。病院に通って膿を出したのは月に1回くらいです。家でもなるべく膿出ししようと心がけていたのですが、毎日の膿の生産量は少しだし(量が少ないと膿出しは難しい)、膿がある程度溜まる頃には切開した傷口は治ってしまうし…というわけで、膿出しできそうな時に処置していたと思います。

(左の写真は、膿出しをして、ホッペタのふくらみがすっきりしたところです)

98年11月ごろのページの画像でもお分かりいただけるかと思いますが、膿が溜まる右頬の頬骨は、膿に侵食されてだんだん変形してきました。膿が骨に到達するのは防ぎようがありませんでした。
左の写真のように、左右の目の高さがかなりちがってきていました。

私自身は顔が変形することはあまり気にしていなくて、毎日見ていると変化が分からないくらいでした。そうは言いながらも亡くなる前には、左の顔より右の顔の方が2倍くらいになっていました。
膿が、顔の骨の中へ、どんなふうに侵食していっているんだろう、目の方にいかなければいいけど…というのが当時の最大の心配事でした。

小康状態だったばにらに、大きな変化がおきたのは、99年6月ごろです。
鼻から膿(?鼻水)が出るようになってしまいました。そのため、呼吸も前に増して苦しそうになり、ハナが外に出てこないので、肺に入ってしまっていると思われました。

病院に行って検査をすると、肺から少しザーザーという音がしていました。
下前歯の歯根から膿が出ているのも心配で、それを抜こうかと思っていましたが、鼻が詰まっているため、吸入麻酔をかけるのが危ぶまれ、積極的な処置はできなくなりました。
結局、無麻酔で前回切開した頬の傷から膿を出し、新たに首に近い頬の部分を切開 しました。ここからもだいぶ膿が出ました。

家でもできれば消毒した方がいいということで、排膿のためのセットと、生食、排膿後に注入するゲンタマイシンを用意してもらいましたが、なかなか簡単にはできませんでした。
痛がるのでかわいそうになり、あまり積極的なことはできなかったのです。

それ以外には 朝晩最低1回ずつ、吸入をすることになりました。
人間用の吸入器(オムロン製)で、人間用の吸入のときに使う薬(薬局で売っています。咽頭炎などに効くようです)を使い、その蒸気を吸わせるというものです。
うさぎをバスケットに入れ、蒸気が逃げすぎないようにバスタオルをかぶせ、その中に蒸気を送ります。
薬の効果のほどは分かりませんが、吸入後はほんの少し楽になっているような気が します。

また、鼻につまった膿を出すために、はな吸い器というスポイト状のもの(人間の赤ちゃん用に薬局で売られています。\600)を使いましたが、それでも難しい時は、私が吸って出すこともありました。(お勧めはできませんが)
はながけっこうねっとりしているため、うまく切れず、殆どいつもズーズーピーピー言わせていて、その呼吸音を聞くのがとても心苦しかったです。
はなと呼吸音は、亡くなるまで改善されることがありませんでした。

薬は、バイトリルを 朝晩2滴づつあげていました。
この時点で、ばにらは あと数ヶ月ではないかと言われていましたが、私の実感としてはもっと短いように感じられました。呼吸がますます苦しそうになってしまいました。

その後1ヵ月くらいはよくも悪くもならず、この状態が続きました。
しかし、食欲は旺盛で、ほかのうさぎににケージ越しにパンチを浴びせてみたり、虫の居所がわるいと、ほかの子にいきなり噛み付く、という八つ当たりまですることがありました。
はな吸い器で ハナをとろうとしてもすごく暴れて、その場でお布団をずーっと掘ったりして抗議するので、手におえない時もありました。

しかし問題がありました。
口で呼吸しているので、お腹に空気がたまるようで、お腹にガスがたまったようなかんじになりました。それが苦しいせいか、食欲も落ちてきました。
好物のシソやヨーグルト、ペレットにもあまり興味を示さなくなってきました。
お腹のマッサージなどもしていましたが、なかなかガスが抜けませんでした。

そこで、そのことを獣医さんに相談し、肺に溜まった膿を溶かす薬(タンパク質分解酵素)と抗生物質をミックスした薬(内服用、ネブライジング用)、お腹のガスを改善する薬を処方してもらうことになりました。
ただし、ネブライジング用のものは、今までの実績から、絶対改善されると断言できるものではないので、お試しというかたちでやってみることになりました。
それから、抗生物質がブレンドされているとはいっても、肺炎になる時は肺炎になるので、大きな期待はやはり出来ないと思う、とのことでした。

そのころのばにらを見ていると、その薬を消費するまで元気でいるかな、という気もしていました。(結局消費できませんでした)
もう寿命は別にして、ちょっとでもクオリティ・オブ・ライフがあがってくれればいいなと思っていました。

ちなみに、ネブライジングの結果ですが、効果があるようにも思えるし、ないようにも思えました。というより、その結果を確認する暇もなく、その数日後に非常に危険な状況になってしまいました。

鼻の通りはますます悪くなり、口で息をした空気がお腹に入るので、お腹がパンパンに膨れてきました。
好きな物もぜんぜん食べないし、ずっとじっとしたままだし、便も出ませんでした。
1週間前に なぜか少しずつ改善して、お腹がへこんで 食欲も出て動きはじめたなと思ったら、その1週間後には 大量の透明なうんちが出ました(以下、便宜的に透明ふんと名づけます)。
しっぽまでぐっしょりぬれるくらいでしたが、これがどうして出るのか、何なのか分からず、対応に苦慮しました。それが3日くらい続きましたが、その間エビオスやラクトーンを20粒くらいあげて、なんとかピークは脱しました。

ちなみに、もう1匹の長寿うさぎ・るりちゃん(当時9歳)の後ろ足が立たなくなっていることを発見したのはこの頃です。しかし、当時はばにらがもう死ぬんじゃないか、という状況だったので、かわいそうですがるりちゃんのことは、あとまわしになってしまいました。

ばにらのお腹の調子はエビオスやラクトーンのお陰で、一時回復したかに見えましたが、またぶり返してしまって・・・また透明ふんが出るようになりました。
ラクトーンはちょっと甘そうな乳酸菌の錠剤です。他の元気な子はこれが好きなのですが、ばにらはこの頃はこの薬も食べてくれませんでした。
ごはんも食べないので、とにかく栄養のあるものをと思い、牛乳に動物用ミルクをまぜてあげていました。

透明ふんについてですが、かかりつけの先生と相談しました。
今までの経過から考えて、これは食あたりとか一時的なものには考えにくいそうです。
体が弱っているので、胃腸もバランスを崩しているせいだろうとのことでした。なので、ビオフェルミンをあげるくらいしかできることはなくて、とにかく食べさせることが大事だと言われました。 そうでないと、ふんが出ない分だけ、透明ふんが出てしまうのです。
透明ふんはお腹の中で、ふんになるものをまとめてくっつけるような役割をしていますが、食べないと、まとめるべきものがなくて、透明ふんだけ出てくるのだそうです。

このころのばにらの体調は、綱渡りのようでした。
食事量はかなり減り、朝から晩までほとんど食べていないこともありました。
私はとにかく何でもいいから食べさせようと必死でした。
たまたま買ったすいかにすごく食欲をかき立てられたようで、白い部分をがつがつ食べ始め、それがきっかけになって セロリやエンハンサーも食べた、ということもありました。
基本的にはoxbowペレットとパンラクミンとエビオスを加減してあげていましたが、ちょっとのことでお腹を壊しやすくなっていたので、その比率に気を遣いました。

7月22日に動物病院へ行き、伸びすぎた上前歯を切ってもらいました。
開口呼吸だと前歯がどうしても伸びてしまうので、定期的に切りに行くことになっていました。
この時、右肺はザーザー言っているので危ないけど、左は大丈夫みたいでした。 
様子を見ながら吸入麻酔できたので、ついでに頬を切開して 膿を出しました。(でもこの時猫の悲鳴のような声を出して、すごくかわいそうでした。)
この頃、もともと3kgほどあった体重が2kgになってしまったので、もっと太るようにペレットを大目にあげていましたが、食べるものならいくらでも食べてほしいという心境でした。

8月3日頃も状況は改善することなく、透明ふんが出ない日はありませんでした。
食欲もムラがあり、エビオスを食べなくなってしまったので困っていました。
この頃は、私が寝転がっていると 寄り添って寝たりするようになり、「今までそんなことはしなかったのに、かわいいなぁ」と思っていました。

その2日後の8月5日、ばにらは私が会社に行っている間に亡くなりました。

この日も暑い日で、クーラーを効かせた部屋の中で留守番してもらおうと思ったのに、ばにらはなぜかキッチンの隅でじっとしていました。呼んでもつついても動かないので、抱き上げて部屋に移動したとき、「ずいぶん軽くなっちゃったな」と思ったのを覚えています。

ばにらが亡くなって1年半、治療を始めてから2年半の年月が経ちました。
前は、歯には牧草が重要だということや、この症状が出たら不正咬合を疑った方がいいよ、という情報はまだほとんど知られていませんでしたが、今や、主にインターネット上で以前より知られるようになりました。
また、牧草が重要だと思う飼い主さんが増えたからか、店頭で売られる牧草の種類も増えてきました。
そして不正交合やそれによる膿瘍については、一部の獣医さんが熱心に研究して下さっとたお陰で、2年半前には危険だと思われていたような大掛かりな手術も成功するようになってきたと聞いています。本当に嬉しいです。

実は、ばにらのつらそうな最後の何ヶ月間を思い起こすと、痛みの伴う治療をたくさんしてきたことはよかったのかどうか、私は1年半以上たった今も答えが出せずにいます。
でも、もしばにらの体験が、世の中の喜ばしい変化にほんの少しでも関わっているのだとしたら、この死には意味があったのかなと思います。そして、試行錯誤しながら治療法を研究して下さった獣医師の先生方と、励まして下さったお友達の皆様にお礼の気持ちでいっぱいです。




ばにらちゃんが、不正咬合と闘い、いろいろな治療法をためしながらがんばる様子に、
どんなにたくさんのうさちゃん達が励まされたことか・・。

ばにらちゃんは、大きなお耳がゆさゆさと揺れる、とってもかわいいうさちゃんで、
ばにらちゃんより大きな耳のうさちゃんは、長寿うさぎ事務室、フレミッシュ以外では見たことがありません。

お月さまでも、お耳を揺らしていそうな気がします。





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