ユーロ・パニック!!!


2002年一月、イタリアは久しぶりにパニックに陥りました


そう。ユーロの到着です。
っていうか、イタリア語ではエウロ。複数形になっても形は変わりません。ウン エウロ、 ドゥーエ エウロ。


イタリアの今までの通貨は、リラでした。わたしの愛するリラ。もう名前からしてラブラブちゅうううううう。なリラ。しかも単位がめちゃくちゃおおきい。西欧語の数え方は、とうぜん、何千、というところで区切って読みますから(英語もそうでしょ?万という単位がなくて、一万というのに千が10個、といういい方をする、という意味ね。日本は一万、十万、百万、だけど、西欧は一千、十千、百千、で・・ということね)、その「千」にあたる「ミラ」(単数系はミッレ)を省略していうのが楽チンだったのね。
ううん・・なんていうかなあ・・イタリアで、大体感覚的に千円にあたるのが、10000リラ。なのね。だいたい2冊雑誌が変える感じ。で、これは一万、ではなく、十千、つまりディエチミラというわけです。1200円くらいの感覚では12000リラ、12千リラとなって、ドーディチミラ。一万五千円くらいの感覚では150000ミラ、150千リラといなって、チェントチンクワンタミラ。
ね、全部ミラがつくでしょ? だからこういうときはミラを省略して、10とか12とか150とかっていえば、通じたわけです。

しかしユーロはまあひらたくいってドルみたいな感じ。
日本円で120円が1ユーロ、それより小さいのは何十セント(っていうのかなあ。イタリアではエウロ、とチェンテーズィモ、複数形でチェンテーズィミ、だから普通はなんていうのか・・知らん。)となるのです。
為替レートでいってしまえば、2000リラが1ユーロになったのね。

ではちょっと例をだしてみます。
バスや地下鉄等、公共の切符はいままで1500リラでした。感覚としては、(為替とは別。)150円ってイメージ。イタリア語でいうと、ミッレチンクエチェント。1000リラ札1枚と、500リラ硬貨1枚でした。
それが。ユーロだと、0.77ユーロ、もしくは77チェンテーズィミになってしまうのです。
50チェンテーズィミ硬貨と20チェンテーズィミ硬貨と5チェンテーズィミ硬貨と2チェンテーズィミ硬貨の四種類を1枚ずつ出す、というのが一番理想的な払方ですが、1チェンテーズィモを組み合わせたりなんだリ、まあ、めんどくさいわけ。ああそうそう、ユーロには、2、20、という単位のおかねもあるのです。日本の感覚でいえば、2円とか、20円、さらに200円がある感じ。2000円札も使わなかったわたし達には考えられない事ですけど。

とにかく、イタリア人は後ろにゼロが並ぶ数字になれていたわけ。
基本的には後ろ三つがゼロなのは当たり前。
それが、1000円の感じ、つまり10000リラのもの、イタリア人がゼロ三つ省略して「10」と呼んでいたものが、5エウロ20チェンテーズィミ、とかになっちゃった。このややこしさ、伝わるかしら。

わたくしは日本人、消費税も知ってるし小銭を使うのにもなれてるし、計算も得意。
そのわたくしが、かなりパニックに襲われたのよ! イタリア人の混乱はきわまりました。
第一、二つの単位があるという事が混乱を引き起こすわけよ。エウロとチェンテーズィモ、ね。あちこちで、たとえば5エウロ20チェンテーズィミを払うのに、25エウロはらってしまったり、7エウロ払ってしまったり、という混乱が続出。

しかも、もうすこししたら落ちつくんだろうけど、いままでリラだったものをすべて、為替どおりに変換しているから、端数が出るわ出るわ。たとえば13エウロ74チェンテーズィミ、とかもあるわけよ! そしてイタリア人は小銭を使う事になれてないの!
そしてこんなとき人々はわからないからとにかく、20エウロ札とか、さらに50エウロ札とかを出しつづけました。おつりは任せた!ってかんじで。
当然、お財布の中にたまりまくる小銭。しかし今までは、一番大きくて500リラ、感覚的には50円、までの小銭しかなかったから、なんぼたまってもまあ、たいした額にはならなかったはずの小銭が! エウロ計算では、2エウロ、つまり4000リラ、感覚的にはほぼ500円だまに近い小銭までが混ざっている!

はあ。書いてるだけでつかれた。

そしてわたくしは消費税のとき以来、とりあえず端数を小銭で出してお財布を軽くする、という技を学んでいたものだから・・
やってしまったのです。イタリアでも。13エウロ74チェンテーズィミだったら、とりあえずチェンテーズィミを探す。74なければ24とか、たとえば4だけでもだして、とにかく小銭をなくそう!というあの習慣をイタリア人相手にやってしまったのよね・・
そしてバトル発生。いっくら説明してもわからないレジのお姉ちゃん相手に、なんど喧嘩寸前までいったことか・・はう。
しかも現在、エウロとリラ、両方での支払いが可能。混乱はきわまるばかり。

傑作なのは知り合いのおばあちゃん。「お支払いはエウロ、それともリラ?」と聞かれるたびに、「わたしゃわたしのお金で払う!」「いやだからリラですか、エウロですか?」「だからわたしので払うっていってるだろ!!」「・・」というバトルを繰り返すほか、「今月から年金が少なくなるのよ」「いやエウロ建てになるだけで、額は変わらないのよ、おばあちゃん。」「いや、なんだかわからないけど今月から少なくなるっていわれたのさ!」のいってんばり。

参ったねえ、コリャ。レジはいつでも大渋滞。レジ係の人はストレスではげかかってるし、レジの中、人々のお財布の中ともにあふれんばかりの小銭、小銭、小銭!!

わたしはユーロ開始から10日間、ローマにいましたが、日本人のわたくしすら混乱させるユーロ・パニック。収束は、まだしばらくかかるのではないかと・・

しかもさあ。余談ですが、先ほど、10000リラが1000円の感覚、と申しましたね。
つまり、まあアメリカでは1ドルが100円の感覚なのでしょうから、感覚的な物価として、為替レートで考えれば、イタリア人にとっての百円は、日本円の60円くらい。アメリカ人にとっては120円くらいだったわけでしょ。だからイタリアの物価は、単純に感覚的なことを言えば、アメリカの半分、って感じだったのです。
で、いまユーロになって、ユーロの為替レートはだいたいドルと一緒。1ユーロが1ドル。くらい。
でも今までどおりに言ったら、イタリア人にとっての100円は0.5ユーロ。いってる意味、わかりますよね?

しかし、わたしはとある大学生のエリート君のいってる事を聞いて、愕然としました。
「ユーロの為替はドルとほぼ同じ。僕達はリラよりよほどつよい貨幣を手にいれたんだよ!」
・・それさ、根本的に、なんかちがくない?

説明がめんどくさいので、「うんうん、そうだね・・」といってお茶を濁しときましたが、イタリア人の大部分はそう思ってるみたい・・
やっぱりバカだわ。この人達。ああ、めんどくさい説明だった。


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